ガス版OPEC構想をめぐる東西対立
2007年04月11日付 Hamshahri 紙

【経済部】:天然ガス輸出国による協力関係強化の努力が継続されるなか、ヨーロッパ諸国やアメリカは、これら輸出国によるOPEC型の機構創設に対する激しい反対を示しており、ガス版OPEC構想を無に帰そうとしている。

フランス通信(AFP)の報道によれば、国際問題の専門家らは次のように指摘している。ロシアの国家首脳がガス産出諸国の舵取り役として、表向きには、ロシアはガス版OPECのようなカルテル創設を支持してはいないと明言しているのは、アメリカとヨーロッパ諸国が激しく反対していることによる。しかし実際には、ドーハで開かれたガス輸出国フォーラム[訳者注]で表明されたように、強固な機構設立による協力関係強化に向けての、ロシア主導によるガス輸出国の動きは、加速度を増したように見える。

[訳者注]ガス輸出国フォーラム(GECF):天然ガス生産・輸出国15か国で構成される非公式の機構で、2001年に設立された。ロシア、イラン、カタール、ベネズエラ、アルジェリアなどが参加しており、今回のドーハ会議は6度目の会議となるが、従来、それほど活発な活動は行われていなかった。

これについて、アルジェリアのエネルギー相は、カタールの首都ドーハで開催されたガス輸出国フォーラムの最後で、西側の記者らに対し、「ガス版OPECと名づけられた新機構の創設には、少なくとも10年から15年が必要である」と述べた。また、同エネルギー相は、ドーハ会議の結果を肯定的に評価するとともに、「主要ガス輸出国は、ガス版OPECの創設に向けた努力を今後も継続していく」と強調した。

ブルンバーグ通信社の報道によると、同シャキーブ・ハリール・エネルギー相は、さらに、「ガス市場の様々な側面や問題の検討と、ガス価格の決定を目的とした特別委員会の設置は、ガス版OPECの創設に向けた大きな一歩である」と発言し、「もちろん、ガス版OPECの創設には時間が必要だ。この計画が最終化されるまでには、今後10年から15年かかるだろう」と述べた。

OPEC加盟国代表として参加したリビアのリビア石油公社総裁シュクリー・ガーニム氏は、ガス版OPEC創設を支持し、産出国の利益の擁護が、機構創設の最も重要な要因であると述べた。

また、ボリビアのカルロス・ビジェガス・エネルギー相は、ガス版OPEC計画への支持を表明し、次のように述べた。「天然ガス輸出国間の協力は、現在では、多くが地域的なものにとどまっているが、これはいまやグローバル化の方向へと動いている。そのため産出国は、ガスの世界市場に対峙する準備を整えておかなくてはならない」と述べた。

主にエネルギーを輸入する立場であるヨーロッパは、現在、ガス生産国・輸出国の動向と変化を非常に警戒して見ており、厳しい論調で激しい反対を表明している。

また、米エネルギー相がOPECに類似したガス輸出国の協力機構創設に対し、改めて警告を発しているのも、同様の背景による。サミュエル・ボドマン米エネルギー相は「OPEC型機構の創設を求めるガス産出国は、消費国に損害を与えることで、最終的には産出国自体にも害を及ぼすであろう」と再度警告した。

同エネルギー相は記者会見で、「反競争的な行動は、消費国にとって問題となるだけでなく、産出国にとっても問題を引き起こすことになるだろう」と述べ、さらに、「市場に介入しようとするガス供給国の努力は、必要のないものであり、成功することはないであろう」と付け加えた。

同相は、このようなカルテルが価格上昇の原因となることを指摘し、ガス価格の上昇は、生産国自身にとっても損失につながるだろうと強調した。さらに、ボドマン米エネルギー相は、ガス価格の上昇により、生産国の短期的な利益は保証されるかもしれないが、巨大消費国との関係崩壊により、彼らは最終的にはこのゲームの敗者となるだろうと発言している。

EUの懸念表明
日本とEUもまた、カタールでのガス輸出国フォーラムにおける協議の進展と、天然ガスの価格調査委員会設置の決定に対し、懸念を表明した。

フランス通信社(AFP)の報道によれば、アンドリス・ピエバルグス欧州委員会エネルギー担当委員は、主要ガス輸出国の決定に関する声明の中で、天然ガス価格調査委員会の設置について、以下のように述べた。「EUはこの問題に関するガス産出国らのあらゆる行動を注視していくつもりだ。」

2006年8月、アルジェリア国営企業ソナトラック社(アルジェリア炭化水素公社)とロシア国営ガス・プロム社による協定成立ののちも、EUはガス版OPEC創設の問題に対する懸念を表明していた。

日本の経済産業相、甘利明氏もまた、ガス版OPEC創設に対する反対の立場を示し、以下のように述べている。「天然ガスは、いかなる市場でも、個々の自由貿易協定の下で取引されるものであり、石油とは事情を異にするものである。」           

相互協力関係をより強化しようとするガス輸出国の姿勢は、ドーハ会議がOPEC型の『ガス連合』創設には至らず、機構設立の可能性が将来に託されたという点において注目に値する。

会議の最後で顕著に見られたのは、ガス輸出国各国が互いに緊密な協力関係を築いていこうとする意志をもっていることである。そして、これが、カタールの首都ドーハで開かれたガス産出・輸出国の代表者会議で表明された結論なのである。

また、世界第一位の天然ガス埋蔵量をもつロシアは、ガス輸出国フォーラムの次の開催国となる予定だが、このことは、ロシアにとってのガス協力の重要性が増したことを示している。というのは、2001年に同フォーラムが設立された際には、ロシアは積極的な参加の意向を自ら示していなかったのである。

Tweet
シェア


現地の新聞はこちら
(ガス輸出国間の協力を目的としたドーハ会議が終了:アメリカ、ガス版OPEC創設に警告)

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:南・西アジア地域言語論(ペルシア語記事翻訳) )
( 記事ID:10717 )