大統領選候補ギュル外相に仏紙が注目
2007年04月27日付 Cumhuriyet 紙

フランスのメディアがトルコの大統領選に多くの紙面を割いた。フランスのル・モンド紙は26日付の紙面で、アブドゥッラー・ギュル外相について、「穏健イスラームを支持しているが、世俗主義的な人々には信頼感を与えていない」と述べた。一方、ル・フィガロ紙は、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相はギュル外相を擁立することで、大統領府へのとびらを自らのために開け放ったという見方を示した。

ル・モンド紙は、トルコ大統領選についての社説、報道記事とともにギュル外相のプロフィールを掲載した。そして公正発展党(AKP)の支持層とカイセリ(ギュル外相の地盤)の保守層が、ギュル外相夫人のイスラーム風スカーフ着用を高く評価していると述べ、このことが「ケマリスト・エリートたちをぞっとさせている」と論じた。同紙はまた、ケマリスト・エリート層がギュル外相のこの特徴(夫人のスカーフ着用)を、エルドアン首相と同じく、トルコの世俗主義的価値観を「心の底」では支持していない証拠とみているという見方を示した。

また同紙は、エルドアン首相がギュル夫人のイスラーム風スカーフのおかげで、「深層国家」支持者に対して、「軍の圧力に屈していないことを示す機会を得た」とも主張している。

その一方でル・モンド紙の社説は、アフメト・ネジュデト・セゼル大統領の任期満了により、エルドアン首相に「抑止力はなくなった」とも述べている。そして同首相がこれまでの穏健路線を放棄し、トルコのイスラーム化を加速させるのかどうかを問いかけている。

さらに同紙は、トルコ国民の大部分が西洋的な生活スタイルに傾倒し、EU加盟を目標としていることが、この国のイスラーム化に対する二つの障壁だと位置づけた。社説は、「(トルコで)世俗的な国家体制が徹底的に糾弾されること、それはすなわち、EU加盟に関連するトルコ側のあらゆる期待がかなわなくなることを意味する」と述べてる。

右派よりの仏紙ル・フィガロは、大統領選挙をアブドゥッラー・ギュル氏に譲ったエルドアン首相について、自らの「右腕」を選ぶことで、大統領府への扉を自らのために開けておくことに成功したという見方を示した。ギュル外相については、「未来の大統領は、EU加盟を支持する人物であり、信仰心厚いムスリムからなる新ブルジョワジー層の代表だ」と述べた。

また同紙は、ギュル外相を「エルドアン首相よりも開放的で、独善的ではない」とし、同外相が「軍部とナショナリスト官僚をうまく煙に巻くことができる」と述べている。さらには「エルドアン首相は世俗主義者のバリケードに撤退したが、秋の選挙ではリベンジを考えている」と述べた。

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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:10747 )