Oral Calislarコラム:諸々の政治的展開
2007年05月01日付 Cumhuriyet 紙

もはや日々の展開を前もって分析することも、予想することも不可能にみえる。そもそもそれが必要だとも思わない。重要なのは長期においてどのような「トルコ」が現れるかだ。先に「総選挙の早期実施」が見えてきているので、この前倒し総選挙の後で我々が何に遭遇するかが重要になってきた。

憲法裁判所が定足数367の条件を必要とみなせば、それは「総選挙の早期実施」を意味する。必要だとみなさなくても、近い将来において総選挙の早期実施はやむをえないと思われる。前倒し総選挙があるという前提で今後を考えるのが筋だろう。

前倒し総選挙は、高い可能性で現行の選挙法及び政党法のもとで行われるであろう。公正発展党(AKP)、共和人民党(CHP)も10%の最低得票ラインを下げるつもりはなさそうだ。そのような動きを見せそうな兆候さえない。10%の最低得票ラインは、相互に議論されない数少ない議題のひとつなのだ。

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もともと危機の主な理由のひとつは、この最低得票ライン10%であった。10%の最低得票ラインのために、2002年に実施された選挙で投じられた票の45%、総有権者の55%によって選ばれた代表が国会議員になれなかった。最低得票ラインが5%であれば、民族主義者行動党(MHP)、正道党(DYP)、青年党(GP)、民主人民党(DEHAP)が議席を獲得し、公正発展党(AKP)が34%の得票率で単独過半数を占める政権にはならなかったはずだ。

そうすれば大統領選も一党が決定するような選出にならなかったはずだ。正確にいえば、この状況を引き起こしたのは公正発展党ではない。この状況の責任は今まで選挙法を改正しようとしなかった者たちにある。例えば、以前、選挙が行われる前に、民主人民党が議席を獲得しないようにという意図で、直前になって最低得票ラインの下方修正が回避されたことがあった。

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前倒し総選挙の結果はどのようなものになるだろうか。4月14日及び4月29日の大集会も示しているように、公正発展党の政策を不快に思う非常に多くの人たちがいる。この人たちの一部は、おそらく前回の選挙のとき、共和人民党とその指導者たちに怒りを覚えていたので、選挙に行かなかった。今は状況が少々異なっている。公正発展党に反対している人たちは声をあげるために投票しに行くであろう。

投票へ行くのはよいが、誰に投票するのだろうか。大集会の場で訴えられた主な要望は、野党の団結だ。10%の最低得票ラインがある限り、楽観的にみれば、共和人民党はその他の左派政党に対し「我々に協力してほしい」といい、彼らにいくつかの議席を与えるだろう。社会の両極化が加速すれば、中間の政党はある意味で弱体化する可能性がある。そのため野党のなかでは共和人民党だけが最低得票ラインをクリアできる唯一の政党として前に出られる可能性をもっている。

中道右派の正道党(DYP)や祖国党(ANAP)も、軍部が警告を出した今となっては、あまりチャンスが残っているとは思えない。なぜなら正道党と祖国党の支持者たちが、共和人民党と同じ側に並ぶのを好まないからだ。

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最終的に、予想されている前倒し総選挙の結果は、現在の構図からして2002年の総選挙とあまり変わらない結果になる可能性がある。唯一の相違点は、公正発展党も共和人民党も得票数を増やすかもしれないということだ。両極化は両サイドに一時的な利益を与えるかもしれない。もう一つの可能性としては、民族主義者行動党が最低得票ラインを超えるかもしれない。それも今のような緊張状態では確信できないと言える。

そうするとどうなるのだろうか。今の国民議会に似たような構図が再び出現することになるだろう。新たな議会が大統領を選出するとすれば、今回と同様の問題が再度現れるだろう。なぜなら、憲法裁判所が定足数367(議席)条件を確定させれば、どの議会もこの367問題に遭遇するからだ。

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ここで考えておきたいのは、9月12日(1980年軍事介入)時代の名残であるこの制度が根本的に変えられない限り、トルコは危機を脱することができないということだ。トルコは、周辺地域の動きやダイナミックな構造のおかげで、当該地域で最も影響力が大きく、最強の国になる可能性を秘めている。しかし、9月12日に基づく制度が発展を妨げている。

国民議会における代表制の危機が次の総選挙にも継承されていくようだが、このままでは、危機が一時的な解決をみても、根本的な危機は解消されない。

トルコは、世俗制(政教分離)に関する不安を、強固な民主主義の伝統を確立することによってのみ乗り越えることができる。その方法は、まず選挙法と政党法の改正することである。

どうなるか、見守っていこう。

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( 翻訳者:イナン・オネル )
( 記事ID:10789 )