Hasan Cemal コラム:銃剣の陰に民主主義はない!
2007年05月05日付 Milliyet 紙

真夜中に出た4月27日の(軍部の)警告を大目に見ること、なんだかんだと正当化すること…。

ある者は知りつつ、意識的にこれを行っている、つまり、軍部の介入を支持している。ある者は知らずに、無自覚に行っている。

第一グループの人たちを問題にしない。警告をはっきりと支持する人々は実際、少数派である。世論でもそうだし、メディアでも同様だ…。これに対するメディアの全般的な雰囲気も、(新聞のコラム)コーナーと論調も、軍部の介入を快くは思っていなかった。

真夜中の警告を未消化の人々は、非常に大きな衝撃を受けた。「この時代にまだ軍部が介入?…」と言う人々は今回、メディアで少数派ではなく、多数派であった…。
民主主義の観点から希望を与えるこうした点を明らかにすることは有益である。世論やメディアでの全般的な雰囲気はこうであるが…。「しかし」があるのである。

警告を消化できなかった数多くのグループで、関心を引く議論の様子はそうしたふうで、ご覧の通り、一時的に警告に間違いを見出すも、警告を大目に見る傾向、論理がおそらく無自覚に現れたのである。警告はほどなく脇にやられ、今は公正発展党(AKP)と政府が批判されている。

批判的雰囲気はそのように激しさを増していき、ご覧の通り、警告は顧みられることなく、政府はそこかしこから批判の矢を向けられている。もしあれをこれをしなかったならと、(レジェプ・)タイイプ・エルドアン首相と政府に責任が帰され、警告を顧みない。

まあよかろう、批判の一部は正しいものである。大統領選の経過はもっと異なる、より理に適った運営がなされたかもしれなかった。大騒動を起こすことのない合意の道を通りえた。

世俗主義の問題について敏感に感じることと杞憂を、態度と言葉で反対する姿勢は、ここ5年で示せ得た。この問題では与党と政府はその表看板ででも、人事でも、より注意深く振る舞うことができたろう。

(しかし)そうではなかった。この観点からさまざまな間違いがなされた。

こうした誤りが、AKPに対する不信任の壁を高くする中、特に世俗主義に関する恐れと懸念を、一部の層の中で高めたのであった。そしてこのことが、望むと望まざるとに関わらず、大統領選で混乱を引き起こした体制への介入願望を育み、こうして「軍の下請け人たち」を勇気づかせたのである。

ジェンギズ・チャンダル氏は先日レフェランス紙(5月2日付、15面)のコーナーで次のように書いていた。
「AKPに対し、我々のような人々が反対の立場をとるのには、多くの要因がある。例として、『民主的諸改革』を一年以上の間怠っていたこと、トルコを窒息させたままにし、かつ『民主的体制』の基盤を形成する『表現の自由』を抑えこむトルコ刑法第301条を擁護する態度、得票率10%での切り捨て(註1)を強く主張して、社会の(望む)議会の正当な代表の前に生け垣をつくること、国務における人事での態度、特定党派的振舞いなどなどを、一時も受け入れることはできなかった。」

チャンダル氏は、「これらすべてに反対」と述べた後で次のように追記していた。
「しかし、AKPに対する反対は『銃剣の陰』ではなし得ない。『銃剣の陰』では、『民主的基礎』の上で行動することになりえないし、軍の『市民先遣隊』になることの他に、なんら我々の特色は残ってはいまい。こうした体制の名称は民主主義ではない。」

さて、ここに注意が必要である。
これが最も重要なポイントである。

そうしたことにならないためにも:
AKPと政府に向けて正当な批判をする一方で、軍部による体制への介入を大目に見て、無自覚に正当化するロジックに陥るのを回避し、(軍部の)警告と民主主義に関わる議論を最重要とみなすことが、好ましいと考えている。

銃剣の陰に民主主義はない!銃剣の陰に身を隠しながらの民主主義などない!

註1:
得票率が全国平均で10%未満の政党は議会で議席を獲得できないという足切り条項。1983年以降、小党乱立傾向を抑制する趣旨で設けられたが、全体の2~3割程度の得票率の政党が、議会では圧倒的な議席を獲得することになるなど、死票の多さも問題視されている。前回2002年選挙では、AKPは得票率34.3%で363議席獲得し、CHPは19.4%で178議席獲得した(定数550議席)。


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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:10815 )