「小アジアの国」の「カッパドキア人」 ―サルコジ仏大統領候補、TV討論でトルコを揶揄
2007年05月04日付 Radikal 紙

フランス大統領選挙で、(大統領の座を)日曜日の第2回投票で争う連立与党・国民運動連合(UMP)のニコラ・サルコジ党首と社会党候補のセゴレーヌ・ロワイヤルは昨晩(2日)、2000万人が視聴したテレビの生放送の討論番組で激しく意見を闘わせた。
800万人近い態度未定の有権者の支持を呼び込もうと努めている2候補による経済、失業、治安に焦点を当てた討論では、熱のこもったトルコ論争が沸き起こった。サルコジがトルコのEU加盟反対を表明する際に用いた「カッパドキア人、アナトリア人」という言葉や、「イスラームとクルド問題をヨーロッパに持ち込まないこと」という問題認識は、(サルコジが)選挙に勝った場合、トルコ・フランス両政府の関係が後退するであろうことを示す兆候である。
「政治的ヨーロッパの擁護者」であり「際限のない拡大には反対」のサルコジは、トルコへの反対姿勢を次のように説明した:「これは民主主義やイスラームの問題ではない。トルコがヨーロッパでなく、小アジアにあることに起因している問題だ。トルコをEUの一員にさせたがっている人々は、政治的ヨーロッパの反対者だ」。
「拡大小休止」論者であるロワイヤルは、サルコジを「人々をそのような言葉でどう喝してはならない」とたしなめる一方で、トルコとの加盟交渉が始まっていることを想起させた。ロワイヤルが「その時が来ればフランス国民にも国民投票で意見を尋ねることになるだろう」と述べたのに対し、サルコジはロワイヤルを次のような言葉で論破しようと努めた:「トルコはEUに入るべきか、入らないべきか、それをおっしゃってほしい。1964年以来、トルコは引きとめられている。もう我々が彼らを必要としているのか否かを明言する時が来た。つまり我々は強大なトルコ国民に対し、EUではなく地中海連合の中心になることができるだろうと言わなければならない」。対するロワイヤルの返答はといえば、加盟交渉の開始をフランスも承認しており、この約束を守らなければならない、であった。

■「当面は小休止しよう」

サルコジが「あなたの態度は『トルコにノン』なのか」と尋ねたのに対し、「当面は小休止だが、変わるかもしれない」と答えたロワイヤルは、次のような逃げ口上を使った:「(トルコのEU)加盟は唯一の選択肢ではない。強固な協力関係、あるいは特別な関係というのもあり得る。そもそもこれらは10年後の問題だ。トルコには民主主義者の勢力もいることをお忘れにならないでほしい。彼らを支援すべきだ。トルコ国民は大きな国民で、トルコは大きな国だ。これほど無作法な言葉でトルコのような強大な文明と大きな国民に門戸を閉ざすなら、世界のバランスをも危うくすることになる。あなたの前には大きな国民がいて、もしかしたらヨーロッパに入りたいという意欲を持っているかもしれない。この問題をこれほど無作法な言葉でドアをピシャリと閉めて解決することはできない。

■「小アジアの国」

サルコジUMP党首は、今度は「カッパドキア人にヨーロッパ人であることをどのように説明するつもりなのか。カッパドキア人にヨーロッパ人であることを説明するときに、ただ1つのことをおやりになるだろう。それはイスラームを強固にすることだ」と発言。一方のロワイヤルは、「トルコは民主的で世俗的な国であり、毎日世俗主義や民主主義のためにまい進する民主主義者は支援される必要がある。最近あった世俗主義のデモをご覧なさい」と述べた。これに対しサルコジは「クルドカード」を切った:「トルコは、世俗的であれ小アジアの国だ。私はフランスの子どもたちにヨーロッパの境界がイラクとシリアであると説明することはできない。クルディスタン問題をヨーロッパの問題としたときに、我々がそれほど前に進んだことになってはいない。際限のない拡大は政治的ヨーロッパを死に追いやっている。したがってトルコ人には「共通の関係を築きましょう、貿易をしましょう、でもあなた方はEUのメンバーにはなれないでしょう。なぜならアナトリア人であってヨーロッパ人ではないからです」と言わなければならない。

フランスのマスコミがロワイヤルの方が「攻勢」であったと判断した一方で、調査会社オピニオンウェイのアンケートは視聴者の53パーセントがサルコジを、31パーセントがロワイヤルを「説得力があった」とみなしたことを明らかにした。リベラシオン紙が「サルコ(サルコジ)は負けなかったがセゴ(セゴレーヌ)が勝った」と伝える一方、フィガロ紙は「結局サルコジは自動操縦で(特に何もせずに)存在感を示した」との評価を与えた。専門家たちの討論では、サルコジが53.5パーセント、ロワイヤルが46.5パーセントの票を得るという結果を示した最新の調査機関IPSOSのアンケートに最大で1~2パーセント影響するという見通しが出された。このこともまた、第1回投票で18パーセントの票を得たフランス民主連合のフランソワ・バイル議長と、10パーセントの票を得た極右国民戦線のジャン=マリ・ルペン党首に投票した有権者を(勝敗の)「鍵」を握る存在にしている要因である。ルペンが有権者に「棄権」を呼び掛ける一方で、これまで有権者の自由意志に任せていたバイルは昨日、「私はサルコジには投票しないだろう」と発言した。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:10818 )