イラン・米友好議連設立の動きをめぐって国会内で賛否
2007年05月16日付 Iran 紙

【政治部】イラク問題をめぐり、イラン・米両国が話し合いを行うことで合意したのに続き、一部のイラン国会議員は米議会との友好議連をイラン国会内に設立する要望を、イラン国会に正式に提出した。

 イラン紙国会担当記者の取材によると、イラン・米友好議連設立構想は当初、先週国会少数派所属のある議員によって提出されたものだった。ところが、昨日ハッダード=アーデル国会議長にこの件について正式の要望書を提出したのは、国会内のさまざまな派に属する議員らであった。

 イラン・米間の国交が断絶して以来初めてとなる今回のイラン国会の動きは、少なくとも15名の議員の署名によって起こされたものである。要望書に署名をした議員の中には、ある委員会の委員長や国家安全保障外交政策委員会の第一副委員長の名前も見受けられる。

 この提案を作成した議員らは自らの目的を、イラン・米間の公式・非公式の外交チャンネル(そのほとんどが非公式のものだ)に存在する障害を取り除くこと、そして両者の利害の相違点や共通点を透明化することであるとしている。しかし、前例がなく、また十分な準備も行われることなく、第7期国会でこのような内容が提案されたことに対し、反対派議員からは厳しい反応が示されている。

 国会のエネルギー委員会のキャマール・ダーネシュヤール委員長や、国家安全保障外交政策委員会のモハンマド・ナビー=ルーダキー副委員長、国会少数派に属するエスマーイール・ゲラーミー=モガッダム、ナーセル・ナスィーリー、ダーリユーシュ・ガンバリー、セイエド・ジャラール・ホセイニーの各議員、そして昨年コンドリーザ・ライス米国務長官に対して辛辣な批判を浴びせたショクロッラー・アッタールザーデ議員などが今回の要望書の末尾に最初に名を連ねる一方、他の議員らはこの行動がもたらす結果に対して警告を発している。

 国会の内規によれば、このような議員連盟を設立するためには国会議長団と国会議長の承認が必要とされている。しかしこの提案が提出された最初の日にすでに、同提案に反対する声が広範囲から出されており、国会の場で米との友好関係を模索する道のりは平坦ではないということを、賛成派議員に示す格好となっている。

 一部の有力議員から反対の声が上がっているのに加え、国会を構成する主要3派からも、同提案に対して前向きな反応は示されていないのが現状である。複数の憶測を総合すると、《原理主義派》、《団結と実践派》、《少数派》の3派はいずれも、米議会との友好議連を設立することには反対する立場を正式にとるものとみられる。

 さまざまな批判に対して、反対派議員らは、米議会が反イラン的な立場から反イラン決議を可決していることを賛成派議員らは見過ごしていると指摘する。他方、一部の賛成派議員は、これらの批判を和らげようと必死だ。ある国会関係者によると、議連設立提案がなされた最初の日も終わろうとしている頃、新たな話し合いが議員らの間で始まったとのことである。この新たな試みは、当初の提案の文言を見直し、これまでの米議会の否定的な行動をきちんと指摘し、米政府の公式の政治的決定を総体として批判した上で、米議会との関係構築に向けたより適切な仕組みを準備することを目的としている。

 この話し合いは、きわめて少数の議員らによって始められた議連設立原案の場合とは異なり、一部の影響力の強い有力議員らが中心となって今後も続けられていく見通しであり、合意が形成された場合には、友好議連設立の正式要望書は国会各派の支持と多くの議員らの署名をもって、国会議長に提出されることになるであろう。

 ▼ 賛成・反対両派の議員の見解

 国会の国家安全保障外交政策委員会のアラーオッディーン・ボルージェルディー委員長や《団結と実践派》の領袖を務めるモハンマド・ミールモハンマディー議員らは、「イラン紙」とのインタビューの中で、友好議連設立案は早急に過ぎるとし、イスラーム共和国の外交基本原則である《名誉、国益、知恵》を逸脱していると批判する。

 ボルージェルディー委員長は、「友好議連の提案者らは、米議会がいかなる活動をし、どのような決議を可決してきたのか、ご存じないようだ。彼らは〔イラン反体制運動を盛り上げるために〕数千万ドルにも及ぶ予算を認め、大規模な反イラン制裁を制定してイラン人民を苦しめているのだ」と述べている。

 〔中略〕

 これに対して友好議連設立提案に賛成するナーセル・ナスィーリー議員やキャマール・ダーネシュヤール議員は、「われわれが望んでいるのは、米国民とは何の問題もないということを示すことである」と語る。ナスィーリー議員は「米議会と関係を確立するだけでは十分ではないということは、われわれも分かっている。しかし、そうすることで米国民と対話するための適切な基礎を築くことができるはずだ」と明言している。

 ダーネシュヤール議員も、「シオニズムに影響されたメディアは、平和を望まぬ国であるかのようにイランを描いている。これに対して、われわれは友好議連を通して、イランの本当の姿を伝えたいと考えている」と述べている。

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( 翻訳者:斎藤正道* )
( 記事ID:10903 )