サウジアラビア人医師、イスラエルで眼科手術を決行
2007年06月03日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ サウジアラビアの医師がイスラエルと医療の“関係正常化”
■ イスラエルとユダヤ人を賞賛

2007年06月03日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ナザレ:ズハイル・アンドレアス】

 「サウジから射した光」―イスラエルの『マアリブ』紙は、一人のイスラエル女性の人生を救う外科手術を行うため、あらゆる障壁を打ち破ってテルアビブに到着したサウジアラビアのムハンマド・アンワル医師の話題をこんな見出しで報じた。(訳注:医師の名前「アンワル」が光を意味することと、眼科手術で患者の目に光が戻ったことを掛けた見出し)

 マアリブ紙によれば、世界で最も偉大で著名な眼科専門医の1人であるアンワル医師は、テルアビブに行くなというサウジアラビアの同僚たちからの忠告を受け入れず、サウジアラビアとイスラエルには外交その他の関係がないにもかかわらず、この旅に踏み切ったという。

 サウジアラビアでの同僚たちはアンワル医師に対し、この時期にユダヤ人医師たちを手助けすることは許されないと伝えたが、彼は頑として聞き入れず、当初は単にスパイ活動にかかわる問題かと疑っていたイスラエル当局もついには入国を許可した。アンワル医師は短いイスラエル訪問の間に、何十人ものユダヤ人医師を相手に長大な講義まで行い、彼が医療界に新たに導入した革新的な角膜移植法を説明して見せた。その証拠に手術は数分間で終わり、手術を受けた女性患者はほんの数日で全快するという。一方、従来の角膜移植法では、患者は手術が成功したか否かを知るまでに2週間を要し、快復するには丸1年間待たなければならなかったと、このサウジ人医師はイスラエルの医師達を前に語った。

 マアリブ紙の独占レポートによると、アンワル医師とイスラエルの医師らと調整は数ヶ月前にさかのぼり、多くの患者が手術のために登録し、その数は数百人にのぼった。しかしアンワル医師は世界中を回っては最も難しい症例を選んで角膜移植の手術をしており、今回は16歳のイスラエル人女性に白羽の矢が立った。彼女は奇妙なアレルギー症状に見舞われて以来、片方の角膜を難病に侵され、イスラエルの複数の病院で数々の手術がなされたが、そのすべてが失敗したため、病んだ方の視力を失いつつあった。そして彼女は北部ティベリヤのブルヤ病院に運ばれてアンワル医師の外科手術を受け、手術は成功裏に終わったのである。

 さらにマアリブ紙によれば、アンワル医師のイスラエル訪問はイスラエルの医師や外科医の喜びを掻き立て、ブルヤ病院は手術の過程を医師たちが見られるようにと、イスラエル各地の病院へ手術映像を生中継さえしたという。

 手術終了の数分後にはイスラエル人女性の目に視力が戻り、女性の父親は同紙に対して、「我々は娘の目に視力が戻るとは信じていなかった。しかし、ムハンマド医師はそれを成し遂げた。我々にとって彼は、再び人生を照らしてくれた光である」と語った。アンワル医師は3日間過ごした後イスラエルを発ったが、同紙の質問に「とても美しい国」だと答え、イスラエル人に対しても「とてもよい国民だ」との賛嘆の意を表した。しかし中東地域の政治問題について答えたり発言したりすることは拒否し、「自分はイスラエルに人道目的で来たのだ」と語った。

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( 翻訳者:新谷美央 )
( 記事ID:11070 )