Ercan Kumcu コラム:トルコ農業の生産性
2007年06月17日付 Hurriyet 紙

近年、トルコの産業セクターでの生産性は向上した。
経済成長の大部分は生産性の向上がもたらした。従って、経済成長は雇用には期待されたほどは結びつかなかった。
農業では、産業で見られる発展とパラレルの、同じ質の生産性向上が生じなかった。逆に、農業セクターは徐々に自らを養えない状態となり、農業における隠れた失業は都市における明らかな失業に変わった。潜在的な失業が顕在的な失業となったのだ。
トルコ経済の最も深刻な問題の1つは、農業セクターにおける生産性の低さだ。農業セクターでの生産性の低さは農業所得にマイナスの影響を及ぼしている。結局、生産性の低さをもたらしている低い所得は、さまざまな仕組みが考案されて国の支援により高められるよう努力されている。要するに、農業セクターでの生産性の低さのツケの一部分は高い価格という形で社会全体と納税者が支払っているのだ。
多くの穀物で国内価格は国際価格の2倍に達している。高い国内価格は輸入の制限によって維持されている。生産過剰があった場合、多くの農産物は損をしながら輸出されている。

■国際競争

農業における国際競争は次第に激しくなっている。世界の主要な農業生産国は農業セクターの生産性を徐々に高めている。生産性向上は農業価格を相対的に押し下げている。(他の産業セクター)同様の(生産性の面での)進展がないため、トルコにおける農業セクター支持は徐々によりお金のかさむプロジェクトとなりつつある。
アメリカ合衆国は、世界農業で非常に重要な位置を占める経済主体である。過去50、60年で多くの農産物の生産を増やした。しかし、アメリカの農家数は減少しつつあり、農家一戸当たりの平均耕地面積は拡大している。
アメリカでは農家の数が1940年で640万世帯だったのに対し、2005年には210万世帯に減少した。農家数が過去65年間で3分の1に減った一方で、(一農家当たりの)平均耕地面積は同時期に2.5倍(705ドニュム※(約65ヘクタール※※)から1800ドニュム(約165ヘクタール)へと)拡大した。総耕作面積は同じ期間に15.6パーセント減少した。同様の現象は農業セクターの強い他の国々でも見られる。

■トルコ:規模が生産性向上のネックに

農業センサスによると、トルコには約300万の農業経営体がある。一経営体当たりの平均耕地面積は約60ドニュム(約5.5ヘクタール)である。土地耕地が50ドニュム(約4.6ヘクタール)以下の農業経営体は全体の65パーセントを占める。近年、農業で利用される総耕地面積が無視できない水準で増加している。
農業に従事している世帯数は約410万世帯である。農業セクターの世帯の構成員の大半は、自営あるいは家族と同居した無給の労働者として働いている。要するに、トルコ農業は市場向けに生産する構造とは未だほとんどなっていない。
トルコ農業における肥料の使用や機械化、かんがいは昔に比べて大きく進み、今でも進展しつづけている。しかし、耕地の狭さは農業セクターにおける生産性の低さの主要な要因の1つである。トルコ農業における最も深刻な側面には規模の問題がある。
このような構造の中で、トルコの農業セクターが国際競争力の(水準に)たどり着くことができると期待することはできない。同様に、農業セクター支援が市場経済のロジックの中に収まることは、この構造では短期間では難しいように思われる。


(※)1ドニュム=919平方メートル=0.0919ヘクタール
(※※)ちなみに日本は1.25ヘクタール(2000年。北海道、自給的農家を含む。参考:農林水産省

Tweet
シェア


現地の新聞はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:11168 )