北キプロスで議論に -夏休みの空き校舎を利用してコーラン学校
2007年06月22日付 Milliyet 紙

北キプロス・トルコ共和国の教育文化省(MEB)が、すべてのプライベートスクール、幼稚園、および小学校の校長に送った「夏期クラス」に関する通達が、混乱を招いている。キプロス・トルコ教師協会(KTOS)は、「夏期クラス」で児童に対しイマームらによる宗教教育が行われることが判明したことを受け、「迷信では教育にならない。公正発展党(AKP)は世俗主義の秩序を乱している」とのコメントを発表した。

エルドアン・ソラクン教育文化省事務次官は、宗教教育は専門の教師らが行うと述べた。だが、ハティジェ・ドゥズグン教育文化省初等教育局局長は、教育はイマームが行うことを確認し、「一部の学校には、宗務庁からイマームが派遣された」と話した。

北キプロス・トルコ共和国では6月6日から夏休みが始まっているが、同国での世俗教育に関する議論は、ハティジェ・ドゥズグン局長が6月5日に学校長らに送付した「夏期クラス」編成に関する通達をきっかけに始まった。一部地域では、村のイマームらが学校を訪問し、学校長に「夏期クラス」を受講する児童数を知らせるよう求めた。

■モスクでだめなら学校で

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相の親しい友人とされる北キプロス共和国宗務局アフメト・ヨンルエル局長は、昨年「宗教の授業」をモスクで開催した際「モスクは教育の場ではない」との反発があったため、今年は「宗教の授業」が学校で正式に行われるようにとの要望があると述べた。教育文化省の「夏期クラス」を今年は自分たちが行いたいと述べたヨンルエル氏は、「クラスは教育文化省が準備しています。昨年『モスクで宗教教育が行われている』といわれました。今年は学校で行われることになります。これは法的な根拠に基づいています。」と語った。

ソラクン教育文化省事務次官も、夏に開講される教育クラスに宗教教育が盛り込まれると発表した。ソラクン事務次官は、宗教教育は、騒がれているようにイマームが行うのではなく、専門の教師らが行うと話した。

一方で、「夏期クラス」で、宗教教育を担当するのは望ましくないとされるイマームらが、準備を進めていることもわかっている。イマームらは反発に怒りを示し「教える権利を剥奪された」と主張している。

昨年の夏も、モスクで宗教教育を行うことについて議論が起こっていた。宗務局は、100のモスクでイマームらの監督の下、子供たちに宗教教育を行った。

「夏期クラス」に関する議論を受けて、キプロス・トルコ教師協会(KTOS)は学校長らに「学校をイマームに明け渡してはならない」と呼びかけた。「夏期クラス」での宗教教育に反対するKTOSセネル・エルチル事務総長は、公正発展党(AKP)がヨンルエル局長を介して世俗的な教育を崩壊させようとしていると主張した。さらに「北キプロス・トルコ共和国首相は、このムフティー(ヨンルエル氏)からアドバイスを受けている。」としたうえで、次のように話した。

「闘いましょう。昔からの村に新しい慣習などありえない。キプロスのトルコ人は世俗的なアタテュルク主義を貫いた教育を守り続けている。我々の子供たちは夏休みを奪われ、「コーランクラス」に法的根拠が作られようとしている。キプロスの公正発展党(AKP)議員らは、学校にコーランのコースを持ち込み、世俗的な教育に染みをつけようとしている。」

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( 翻訳者:倉本さをり )
( 記事ID:11213 )