Deniz Kavukcuogluコラム:歴史は毎朝、新しく書き始められる
2007年06月20日付 Cumhuriyet 紙

労働を最高の価値と認め、人間が人間によって搾取されない平和な世界、異なる肌の色、人種、宗教、言語からなる平和の園・・・

境界もなく、自由そのもの・・・

このような世界ではなかったのだろうか?我々が夢見て、求め、創造しようと切望した世界は。

かなわなかった、敗北だ。殺戮の的になった。命を死刑台にささげ、鉄格子の中や亡命先で年月を費やした。裏切り行為にあった。ひどい裏切り行為に・・・

我々の敗北、我々の死、我々の失われた年月、我々が受けた裏切りは、「歴史の終焉」と宣言された。今までに聞いたことのないような大嘘だったが、信じた人々もいた。恐れたからかもしれないし、信じたほうが都合がよかったからかもしれない。そう信じて、態度を変えた。

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どうやったらこのような嘘を人は信じることができるのだろうか、歴史の終わりが来ただなんて。ましてや全く逆に、ちょうど彼らが歴史の終焉を宣言したそのときに、実は歴史が改めて始まろうとしていたのに。状況はなにも変わっていないのに、このようなでたらめをなぜ信じられたのだろう。

そうは思いませんか?

「現実社会主義」がマルクスやエンゲルスが驚愕するくらい堕落、腐敗し、崩壊したときに。
世界が一極化し、帝国主義が「グローバル化」してこれまでよりもずっと冷酷でもっと残虐な搾取権力と、自己の利益のための新たな世界秩序を構築したときに・・・

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ベトナム戦争の泥沼化以後、帝国主義はこれほどあらわになり、その残虐な顔をこれほどあからさまに見せたことは無かった。嘘と偽りに占領され、血の海と化した我が隣国イラクを見よ。互いに殺しあう様々な部族や信条のイラクの人々を見よ。終わらない、終わりを許されない殺戮を見よ・・・

すべてが皆の目の前に起っているではないか!

しかし、帝国主義に反対しただけでは、解放され、自由を得て、自由な生活をおくることはできない。イラク人にとっても、我々にとっても、世界人類にとっても、現実はこうであり、同じなのだ。帝国主義から解放されるためには、まず資本主義に打ち勝つ必要がある。資本主義に打ち勝って、労働を自由にしなければならない。

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資本主義に対して戦いを挑み、労働を解き放たなければ、人間も国も、そして民主主義も救われない。あの平和の世界、あの無限の友愛の園はまったく実現できない。

この苦しい世界で一人ぼっちになったとしても、我々のユートピアを、もうひとつの世界という夢を追い続けましょう、と私は言いたい。

忘れないでいたいのだが、歴史は毎朝書き直されるものだ。歴史に終焉はない。人類が生きている限り、終わりなどありえない。

***

7月22日に投票所に行ったとき、一票を投じるときによく考えてみましょう。

解放され、自由で平和な世界、友愛の園というユートピア、我々の夢を誰が共有してくれているのかを。

人道に対する罪である帝国主義とその基盤である資本主義に対する戦いを、誰が考えてくれているのかを。

労働の自由、労働の解放、そして人間が人間によって搾取されない世界を、誰が望んでいるのかを。

それ以外の人たちはただ饒舌なだけだ。

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( 翻訳者:イナン・オネル )
( 記事ID:11218 )