Sukru Kizilot コラム:軽油をめぐる攻防
2007年06月23日付 Hurriyet 紙

このところ、我々が最もよく取り上げる質問はこれだ。

テレビ番組や生中継の電話インタヴュー、あるいは我々と面と向かい合った方々が、こんなふうに尋ねるのだ。

「軽油は、(1リットルあたり)1新トルコリラ(*)になるんでしょうか?」

各党首脳の発言と選挙公報を見てみる。

人によって、また政党によって、そうなるかも知れないし、そうはならないかも知れない。言う人によっては1新トルコリラ未満に値が下がるらしい。国民のアタマはとってもこんがらがった。

■(この話が)どこから出てきたのか?

読者の中にも、「何の前触れもなしに、軽油が1新トルコリラに値下げされるという話がどこから出てきたのか?」と訊かれる方がいらっしゃる。

その理由ははっきりしている。近づく総選挙だ。

農業や酪農業に携わる零細な生産者は苦しい生活の中にある。与党であれ、野党であれ、この事実に気付いている。ゆえに、各党の選挙マニュフェストでの公約のひとつが、農民に向けられた追加支援に関するものである・・・。各党は決め手になる公約によって、村人の関心と票を得たいと望んでいる。

これを踏まえたとき、最も決め手になる公約のひとつが、軽油価格の値下げに関するものなのだ。

■数字が示しているのは?

―トルコで、2006年に燃料用石油製品から得られた特別消費税(ÖTV)は200億55万6千新トルコリラである。これに対する付加価値税(KDV)は37億新トルコリラである(ご存じない方のために注記しておくと、特別消費税には別枠で付加価値税がかかるのです【原注】)。軽油そのものにかかる付加価値税を合算すると、税収総額は約260億新トルコリラとなっている。

―2007年に燃料用石油製品から得られると予想される特別消費税は230億新トルコリラである。これに対する付加価値税は41億4000万新トルコリラである。それとは別個に燃料用原油に掛けられる付加価値税を合算すると、燃料用石油製品によって約300億新トルコリラの税収があると目されている。

―トルコにおいて消費される3,300万トンの燃料用石油製品のうち、900万トンが軽油である。

―軽油1リットルあたりの製油所販売価格は74新クルシュ、特別消費税が83新クルシュ、付加価値税が61新クルシュ、税相当額は合計で1.44新トルコリラである。店頭価格も2.26新トルコリラである。この数字からすると、軽油価格のうち64%が税金ということになる。

―900万tの軽油から徴収される税収総額は約130億新トルコリラである。

つまり、軽油への課税をなしとした場合、そこから生じる税収の損失額は、2007年の数値に従えばおよそ130億新トルコリラになるとされる。

―農民が(トラクター燃料などに)用いる軽油は222万2千リットル。そのうち、税相当額(特別消費税+付加価値税)は、32億新トルコリラである。

ここでは、船主や漁師、ヨットのオーナーや国際航路に就航している船舶のなかに特別消費税が免除された燃料用オイルを買っている場合があることは、また別の話である。

■値下げ、でも、どうやって?

各党の値下げ公約を見てみる。

与党(公正発展党)にはこの種の公約はひとつもない。もしもあったとしたら、きっと国民は「じゃあ、何で今まで値下げしなかったのさ?」と訊くだろうから。他の党を見てみることにしよう。

―青年党は、1新トルコリラに、民主党はというと、1新トルコリラ未満に価格を引き下げると明言している。

―共和人民党は、農業用途向け軽油の特別消費税のみを撤廃すると表明している。付加価値税はそのままなので、税相当額は20億新トルコリラとなる模様。

―民族主義者行動党は、零細な農民の消費する軽油の特別消費税と付加価値税を撤廃し、中規模、および大規な農民の消費する軽油については、特別消費税と付加価値税双方を、いずれも現状の50%に減税する予定であると明言している。税相当額は20億新トルコリラ弱である。

軽油に対する値下げの一件について眺めてみると、共和人民党と民族主義者行動党の公約が、より現実味があり実施可能な方向性をもっているように見受けられる。

問題の実のところは、農民が実際に極めて苦しく困窮した状況にあることである。特に、零細な農民の状況を改善し苦労を和らげるための対策が、少しでも早く講じられることが必要である。軽油の値下げもその一環だ・・・。


* 1新トルコリラ(YTL)≒94.3円(2007年6月23日22時時点)

Tweet
シェア


現地の新聞はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:11223 )