ガソリン配給制の混乱に便乗してガソリンスタンドや銀行を襲撃した者たち、逮捕される
2007年06月28日付 Jam-e Jam 紙
ポリタンクをもってガソリンを買い求める人々(写真:ファールス通信)
ポリタンクをもってガソリンを買い求める人々(写真:ファールス通信)

【事件部】火曜日の21時にガソリンの配給制が宣言されたことを受け、さまざまな町でガソリンスタンドの前には長い行列ができ、身動きの取れない渋滞が発生した。このことが引き金となって、散発的に騒擾が発生、一部のガソリンスタンドが破壊された。またこれとの関連で、一部の者たちが逮捕された。

 本紙の取材によると、政府関係者らによってガソリン配給制が決定されてから7ヶ月、同決定の実施には遅れが生じたものの、ガソリン・スマートカードの配布にも目処がたったことを受け、石油省の決定にもとづき、ついに火曜日の21時、イラン国営放送の全国放送のニュース番組で、同日24時から供給量に上限が設けられた配給制という形でガソリンが市民に提供されることが発表された。

 ガソリンスタンドに人々が殺到

 この発表を受け、車のオーナーたちは配給制が実施される前にガソリンを補給しようと、ガソリンスタンドに詰めかけた。そのため、ガソリンスタンド近くの通りには長蛇の列ができた。時計の針が24時に近づくにつれ、通りは混雑を増し、ガソリンスタンド前にできた列はさらに長くなっていった。

 ガソリンを買い求めにきた車の横には、ポリタンクやカンを手にして配給前のガソリンを手に入れようと集まってきた人々もいた。このため、ガソリンを買い求めにきた人々とガソリンスタンドの従業員との間で諍いが起き、ガソリンスタンドが騒然となる場面も見られた。このことが原因で、ガソリンスタンドの責任者がガソリンの提供をやめる事態に発展、この決定が一部のガソリンスタンドで起きた衝突や破壊行為の引き金となった。

 銀行や店舗への襲撃事件も発生

 このような事件につづき、抗議運動へと人々を煽動・慫慂することを狙った一部の便乗主義者たちが、ガソリンの供給がストップされたことを口実にして、ガソリン販売所の近くにあった一部の銀行を襲撃する事件が発生、銀行の建物だけでなく、ATM機にも被害が生じた。

 消防庁の広報局長によると、被害は12カ所に及んだとのことである。このような事態を受け、消防車が鎮火作業のために現場に向かったが、激しい渋滞のために迅速に出火現場に到着することは事実上不可能であった。

 本紙の取材によると、便乗主義者たちは、ハキーミーイェ地区及びバハーラーン(ファラーフ)広場にある大型店舗2軒を襲撃し、略奪行為を働いた。

 混雑は夜半まで続いたが、市民の多くは治安維持軍や消防局その他の機関が準備を怠っていなければ、このような事件の発生を防ぐことは容易であったはずだとの意見を述べている。ある市民はこのことについて、本紙に次のように語っている。「イラン・イスラーム共和国が諸外国から経済制裁を受けている現状では、配給制も致し方ない。しかし的確な広報さえあれば、最低でも通りやガソリンスタンドで起きたような混雑は防げたのではないか」。

 被害を受けたガソリンスタンドの名前

 消防庁のベフルーズ・タシャッコル広報局長は、「被害が最も大きかったのは、ハキーミーイェ、及びハッガーニー地区のガソリンスタンドである」と述べた。同局長はまた、消防庁の専門家を派遣して、被害状況の正確な調査をしているところだと述べた。

 便乗主義者たちを逮捕

 本紙記者の取材によると、便乗主義者たちが一部のガソリンスタンドや店舗を襲撃し、公共物を破壊したことに対し、彼らの一部はすでに警察官らによって逮捕され、司法機関に送検されているとのことだ。

 ある情報筋は、「ガソリン配給制の発表を受け、治安関係者がただちにガソリンスタンドに配置された。また民兵部隊バスィージの協力の下、公共の秩序を動揺させようと狙う連中の取り締まりを行った」と本紙記者に語っている。

 治安関係者が配置されたことで、数時間後の昨朝から、ガソリンスタンドは通常の状況を取り戻している。

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( 翻訳者:斎藤正道* )
( 記事ID:11264 )