Turker Alkan コラム:アメリカの・・・中にいる人・・・その中身
2007年06月29日付 Radikal 紙

アメリカは、世界で最も豊かで力強い国のひとつ。望んだ場所に赴いては、そこを乗っ取ってしまう。昨日はアフガニスタン。今日はイラク。では、明日はどうかと見てみるとイランか。世界に民主主義をまき散らす。しかし、(アメリカさんの)自宅での色々な問題についてはどうなのか、と仰るだろうか。

この国(アメリカ)では1960年代や1970年代には、人々が路上で寝起きするなんてことはなかった。その当時からすれば、経済はより発展し、一人当たりの収入も増えたが、路上で寝起きする人々の数も増え、数百万人にのぼった。

なぞなぞのような話だ。一方で豊かになりながら、もう一方では国民の相当な部分が貧しくなるとは、どういうことだろう?

彼らは秩序に収まりきらない人々だ。学校で教わったことをくだらないことだとしたり、雇い主が設定した決まりに異議を唱えたり、父親の権威を認めなかったり、愛してはならぬ相手を愛したり・・・

そんな「はみだし者」は何をするだろうか?心を病み、路上で寝起きし、犯罪に手を出し、刑務所を満員にするのである。

昨年、アメリカの刑務所に収監された囚人はいくらだっただろうか?合計224万5000人が「塀の中にいる人」だった。小国ひとつの総人口くらいだ。

「そうだとしても、アメリカは総人口3億人に達した巨大な国家だから、これくらい囚人がいるのはあたりまえでしょ?」と仰る方は間違いだ。人口がアメリカより10億人多い中国での「囚人」(ここでは「囚人」を「塀の中にいる人全員」という意味で使っています【原注】)数は、150万人である。大規模な社会的・経済的危機が生じている総人口1億4000万人のロシアでの囚人数は88万5000人である。アメリカと同じ割合で収監されるとすれば、中国では計900万人が収監されねばならないはずなのだ!

アメリカでの囚人数は、単に多いというだけに留まらず、同時に急速に増えてもいる!アメリカでの囚人数の増加ペースは2.8%である。おおよそ3%だ。「でも、この状況は人口増加の結果だ」と言うことはできない。なぜなら、アメリカの人口増加のペースは0.5%なのだから!人口増加分を抜きにしても、囚人数はやっぱり2.3%という大幅な割合で増えている。

この流れが続いていけばどうなるだろうか?SF(サイエンス・フィクション)に造詣が深い方なら、将来「塀の中の人」が「塀の外の人」に数字上で迫るようなアメリカの姿を思いうかべる方がいらっしゃるかもしれない!つまり、(そうなれば)アメリカは、単に武器生産高や起こす戦争の数という点でトップなのではなく(!)、同時に、貧しさにあえぐ人々や心の病をわずらった人々の数、そして犯罪者の増加数、という点からしても世界のトップなのだ!

この構図から引き出される教訓はふたつある。ひとつはアメリカ人(国民)ではない世界各国の国民にとってのもの。絶対に、ある時期(トルコ共和国第3代大統領)ジェラル・バヤルという名の偉人が語ったような、「小さなアメリカ」にはなろうとしないように、という教訓。そして新自由主義を鵜呑みにしないように、という教訓。

いまひとつは、アメリカ人にとってのもの。確かに、貴方がたは偉大な国民であり、それは認める。飛行機を貴方がたが発明し、原子爆弾を貴方がたが炸裂させた。そして、映画からテレビやコンピューターまで何から何まで貴方がたは作り出した。マリリン・モンローも貴方がたの作品だし、アル・カポネだって。地球温暖化にも酷く貢献なさいました。絶えず戦争に明け暮れたのが貴方がた。「馬千騎での襲撃で童の如く嬉々として駆け回る」オスマン人と我々が呼ぶ人々をさえ、貴方がたは上回る。なんとダイナミックで、創造力豊かで、偉大な方々であることか。

でも、少々立ち止まって考えてみたら、と私は申し上げる。

本当に貴方がたが望み夢見た世界とは、そしてアメリカとは、これなのか?イラクで流れる血からアメリカ国内での囚人についてまで、ちょいとばかり立ち止まって考えてみられよ。

実をいえば、みんなで一緒に考えていこう。我々は一体どんな世界を望んでいるのだろうか?

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( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:11273 )