イラン核エネルギー開発問題をテーマとした初のコンピュータ・ゲームがお披露目
2007年07月17日付 Hamshahri 紙

 学生イスラーム協会連合の尽力により、2年以上にわたる開発期間を経て、イラン核エネルギー開発問題をテーマとした初のコンピュータ・ゲームが、第5代イマーム・モハンマド・バーゲル生誕日に合わせる形で、お披露目された。

 ファールス通信の報道によると、「特別作戦85」〔この「85」とは、イラン暦1385年、西暦2006年のことを指しているものと思われる〕と銘打たれたこのコンピュータ・ゲームのお披露目式は、ティール月25日月曜日〔7月16日〕に、「青少年思考教育協会映画館」にて行われた。

 学生イスラーム協会連合のモハンマド・タギー・ファハリヤーン総書記は、この式典の中で、次のように語っている。「学生に価値観を伝え、訴えるためには、一般学生に影響力のあるツールを利用する必要があった。この目的のために私たちが選んだのはアートであり、その中でもコンピュータ・ゲームを選択した」。

 彼は現在イランで遊ばれているコンピュータ・ゲームはいずれも、輸入物のゲームばかりであると指摘した上で、「各国で作られているコンピュータ・ゲームには、制作者の意図が織り込まれており、ゲームを通じて彼らは自らの目的を実現させている」と語った。

 ファハリヤーンさんはその上で、「私たちとしては、このゲームが自己犠牲と殉教の文化の普及に資するよう努力した。自己犠牲と殉教の文化を、聖なる防衛〔イラン・イラク戦争のこと〕の時期に限定してはならない」と述べた。彼はさらに、「このゲームでは、核問題を通して学生らの国民的・宗教的精神を強化するものとなっている」と続けた。

 ファハリヤーンさんはまた、「今回提供されたこのゲームには、科学的・技術的な点から批判もあるかもしれない。私たちは批判を受け容れるつもりだ。いずれにせよ、私たちはこの種の仕事を他に先駆けて始めたことに変わりはない」とも述べた。

 彼は、このゲームはテロリスト養成につながるとの批判があることについて、「私たちのこのゲームは、不当に捕らわれの身となっているイラン人外交官問題など、自らの権利を守ることを高らかに訴えるものである」と反論した。

 他方、イラン核エネルギー開発問題をテーマとした最初のコンピュータ・ゲームを開発したグループの責任者で、プログラマーのアリー・レザー・マサーイェリーさんは、この式典の中で「このゲームは殉教主義の文化に基づいて、自己犠牲の精神を学生に高めてもらうことを基本的コンセプトとして制作されたものである」と語った。

 マサーイェリーさんはまた、「ゲームのストーリーは、イランで2ステージ、イラクで2ステージ、イスラエルで4ステージがプログラムされている」と述べ、さらに次のように続けた。「このゲームの制作費用は、他の中東諸国なら100万ドルはかかったであろうが、われわれは2500万トマーンから3500万トマーン〔約320万円から450万円〕で作ることができた。開発チームは約10名であった」。

  このプログラマーはまた、「このゲームは小学校5年生から高校1年生くらいまでを対象にしている」と語った。

 ゲームの内容

 イラン核エネルギー開発問題を扱った初のコンピュータ・ゲームは、サイード・クーシャー博士とその妻マルヤムに関するストーリー仕立ての3Dゲームだ。二人はイランの核エネルギーの専門家で、カルバラーに旅行に行った際、米占領軍に捕らえられ、どこかに連行されてしまうという筋立てである。

 イラン情報・安全保障特別部隊の司令官で、聖なる防衛〔=イラン・イラク戦争〕でクーシャー博士の父と戦友であったバフマン・ナーセリーが、クーシャー博士とその妻をイラク占領軍から救出するというミッションを与えられ、軍事作戦を開始する。

 バフマンは同時に、イラン原子力庁に勤める専門家シャープール・ファルマーンファルマーをめぐる事件を調査するミッションも与えられる。シャープールは、ニセの証明書によって、同庁に採用された人物で、イランとイスラエルのハーフである。その彼が、核に関する貴重な情報を国外に持ち出していたのである。

 バフマンは、シャープールを追跡するうちに、サイードとマルヤムがイランを出国するという情報をシャープールが米軍に伝えていたことを突き止める。さらにバフマンは、ジャクソンという名の人物の指揮下で、イラン領内で米軍が軍事行動を起こす準備をしていることも突き止め、ジャクソンを逮捕、彼から貴重な情報を獲得する。

 その後のステージでは、バフマンはイラクに乗り込み、罪のないイラク市民を救出する、ナジャフでの爆破計画を阻止するなどの活躍をする。

 プレーヤーが首尾よくゲームを進めることができれば、バフマンは最後にサイードとマルヤムを解放し、同時にイラクには恐ろしい刑務所に捕らえられた囚人がまだいることを発見することになる。そしてバフマンは刑務所の場所を見つけ、ゲームのもっとも緊張する場面で、ハージ・アフマド・モタヴァッセリヤーンを初めとする囚人が救出される、という筋立てになっている。
〔註:ハージ・アフマド・モタヴァッセリヤーンとは、1982年にレバノンで行方不明になったイラン人外交官の一人の名前。イランは、これらの外交官がファランジ党によって拉致され、イスラエルに連行されたと主張している〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:11435 )