Ismet Berkanコラム:選挙結果の読み方
2007年07月23日付 Radikal 紙

 有権者は決定を下した。道を一人で歩くとき、もしこちらが公正発展党(AKP)に投票しなかったとしたら、向こうから来る人は投票したのだと今となってはわかる。そう、トルコではほぼ2人に1人がAKPに票を入れたのだから。

 この成功はまた、複数政党制導入以降まれに見るほどの勝利である。この真実を受け入れずして選挙結果を正しく読み解くことはできない。

 AKPの成功に影響を及ぼした要素はいくつも存在する。なかでも、経済と外交でしばしば成功をおさめ、そして不成功と評価されるような政策を決して行わなかったことがその筆頭に挙げられる。さらに、保健部門で行われた重要な改革や、保健サービスへのアクセスを容易にしたことも、この結果に影響を及ぼしたに違いない。

 しかしもちろん、4月27日夕刻に軍部が出した警告が特別に重要な要素であろう。この警告がなかったなら、つまり政治に対する外部からの干渉が起きなければ、アブドゥッラー・ギュル外相が大統領に選ばれていたとしても、AKPの票が47%にまで達することはなかっただろう。これは当て推量などではない。選挙がわかる人間なら誰でも知っている単純な事実である。

 AKPがおさめた〔勝利という〕結果が重大なものであるように、共和人民党(CHP)がおさめた結果も同じくらい重大な失敗であった。CHPの愉快な指導者とその仲間たちは、さまざまな言い訳を弄してこの失敗を成功だと言いくるめようとするに違いない。これは確信をもって言える。

 何年も前からこのコラムで書き続けていることだが、トルコのもっとも重大な民主主義上の問題の一つは野党が存在しないことである。CHPは真の野党とは言い難い。なぜなら、CHPが進めてきた恐怖政治に対し、人民が心から支持することはなかったからだ。CHPが、恐怖政治や人々を不安に陥れて支持をとりつけようとする〔従来の〕野党のあり方をやめて、希望に満ちた政策や自由を唱え、トルコが自尊心をもって世界に開かれた国となるために奉仕し、人々の価値に敬意を払うならば、すなわちある意味でよりよいトルコの実現を誓うのならば、そのときこそCHPは成功をおさめるであろう。それまでは無理である。

 選挙で成功をおさめたもう一つの政党が民族主義者行動党(MHP)であることは疑いない。前回の選挙の2倍の票を得てこの政党が台頭したことは、当たり前のこととして受け止めねばなるまい。EU加盟交渉を進めている他の国々と同様に、トルコでも民族主義や内向主義が台頭している。この〔右派〕台頭の最大の分け前を獲得したのはCHPではなく、もちろんMHPである。

 では、このあとは何が起こるのだろう?

 今日からトルコでは緊張の代わりに常識と民主主義への敬意が現われるべきである。トルコは大統領を問題ない形で選ばなければならない。

 その責務は再び政権に就いたAKPにかかっている。つまり、トルコにおける緊張を緩和し、AKPに対して恐怖に近いほどの懸念を抱いている人々を落ち着かせ、彼らに世俗主義から外れることはないと確約するという責務は、過去においてもこの政党に課せられてきたが、今日でも同様である。「2人に1人が我々に投票した」などとうぬぼれてはならない。
 自分に都合の悪い裁定が下っても法律を守り、法治国家を守ることが与党のつとめである。このことを決して忘れてはならない。

 そして最後に、トルコのマスコミに対してこう言いたい。トルコをどれだけよく知っているのか、トルコをどれだけ誤りなく表現しているのかという問いを、勇気をもって自らに問うていかなければならない。我々がごく身近な世界から窺い知るトルコと真のトルコとの間にはかなりの距離があるという事実こそ、この選挙が我々に教えてくれたものに他ならない。
  

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( 翻訳者:宇野陽子 )
( 記事ID:11460 )