Sami Kohen コラム:総選挙、正しくない外国メディアの見方
2007年07月25日付 Milliyet 紙

連日、世界のマスコミはトルコでの選挙の結果について分析や解説を発表している。
これらの報道の分析を我々が行う前に、次のような喜ばしい事実を明確に示しておこう。すなわちどの国の、どういった政治的傾向の人々であっても、全ての外国人評論家の言ったことは、この選挙がトルコで真に民主主義の産物であり、民主主義の成熟(を示すもの)であるということである。西洋のメディアでこの点が賞賛を持って伝えられる一方で、アラブや(中東)地域のマスコミでは総じて羨望とともに言及されている。第1の人々(=前者)は出来事を他者にとっての「お手本」として、第2の人々(=後者)は彼ら自身にとっての「インスピレーションの源」として論じている。

■宗教要因

外国メディアがトルコでの選挙結果をどのように評価しているかといえば、西洋であっても、世界の他の地域であっても、マスコミは再度はじめから選挙キャンペーンをおさらいする一方で、ほとんど1点のことに頭を集約させていた。すなわち、この選挙は宗教と世俗主義、イスラームと民主主義という要素の周りで行われていた... (選挙の)戦いも、与党の「イスラーム主義」政党と、「ケマリスト」の世俗主義者の間で動いていた... これは、大統領選挙の際に生じた(そして軍・野党と公正発展党(AKP)を対立させた)摩擦の延長であった、と...

起こったことを最初からこの観点から見ていた人々は、結果を同じ理屈で解釈し、多くの新聞の一面の見出しに載った次の判断に達した;トルコの有権者におけるイスラーム主義者、あるいは穏健イスラームの勝利... 世俗主義者、あるいはケマリストの不成功...
西洋の世論におけるイスラームに関する先入観や懸念を念頭においたとき、トルコでの選挙がただイスラーム-世俗主義という要素の周りで展開したと主張したり、何よりもまず投票箱から出た結果が「イスラームの勝利、世俗主義の敗北」という形で伝えることは誤りを導く。
今回の選挙キャンペーンにおいて(そして特に大統領職をめぐる危機のときに)世俗主義-宗教という論争または摩擦が生じたことは正しい。この観点から宗教要因がこの選挙で何も役割を果たさなかったとは言えない。
しかし選挙における唯一の(その上最も重要な)要素はこれではなかった。AKPに投票した人全員が(さらに大部分は)「宗教家」とはみなされない。今回の選挙で票(の行き先)を定めた主要な要因は、「イデオロギー」というよりも「実際の」経済・社会的理由であった。本紙で昨日掲載された調査(※)の(AKP勝利の)10の理由の1つだけしか宗教と何らかの形で関連がないことは、この事実を明確に示している...

■軍の要因

同じことは、やはり外国メディアで今しばしば繰り返されている誤った解説についても言うことができる。
外国の評論家の一部は、選挙結果を軍-文民関係に結びつけ、軍がこの出来事から敗北を喫したと主張している。軍-文民関係は、大統領危機のときに((参謀総長による)電子覚書事件によって)生じた。これは選挙キャンペーンにおいても密かに利用された。しかし投票箱から出た結果が、ただ「軍への返答」だと主張することは正しくない。上に述べた本紙の分析における10の理由のうち、1つだけがこの要素と関係している。A&G調査会社のアディル・ギュル社長も言っているように、覚書はAKPの勝利の重要な要素ではない...

要するに、トルコでの選挙結果を主に宗教-世俗主義、軍-文民の観点から見る人々は、判断を誤っている。トルコ政治の真相は表面的な観察で理解できるほど単純ではない。


AKP'nin 10 altın vuruş(AKPの10の決定打)(トルコ語)

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:11478 )