Murat Yetkin コラム:8月30日戦勝記念日のテスト
2007年08月11日付 Radikal 紙

新大統領が8月28日に選出されれば、8月30日の戦勝記念日の催しに参加することになる。

新議長のキョクサル・トプタン氏の最初の仕事は、期待どおり第11代大統領選出プロセスを開始させる事となった。これは幾つかの観点から重要な決定だった。

まず、エルドアン首相が大統領選出を宙吊りにし、10月21日の国民投票プロセスの後まで引き伸ばし、第11代大統領も国民に選ばせようとしているという憶測が終息した。

第2に、選挙後少しでも早く任務に戻り働きたいという宣言に即した第一歩となった。こうして大統領選挙と、そしておそらく新内閣の組閣を既に終わらせた状態で、議会は10月1日の新会期を新大統領とともに開会するだろう。新たな1ページを開く可能性のある日程だ。(訳註:「新たな1ページ」とは選挙後にエルドアン首相が与野党に和解を呼びかけた談話を指すと思われる)

第3に、エルドアン首相はこの日程によって世論の目には徐々に大きくなりつつあるテストも前倒ししたことになる。
つまりこういうことだ。参謀総長ヤシャル・ビュユクアヌト陸軍大将の4月12日の記者会見、4月27日のインターネットでのアナウンスメント、そして5月4日にドルマバフチェ宮殿でのエルドアン首相との会談が、ある心理的ムードをつくりだした。このムードは、2002年11月3日の選挙以前に、口コミで広まった「(公正発展党が)選挙に勝利しても、(軍部が)組閣させないだろう」というプロパガンダによって形成されたものとは異なる特徴を有している。というのも、当時はこのプロパガンダの根拠となる証拠やシグナルはなかった。現在においては、4月12日と4月27日がある。そのうえ、4月28日に政府が示した反対意見の表明とポーズがある(以前には全く見られなかったことだ)。もちろん5月4日にどのような会話が交わされたのかは、私たちは知りようがない。エルドアン首相もビュユクアヌト参謀総長も語らなかった。この問題に関する解説、さらには提言された「ドルマバフチェ基準」の定義は、耳障りのよいものであっても、推測の域を出ることはできない。

醸成された心理的ムードは、もしギュル外相が第11代大統領に選出されたら、7月22日の選挙で獲得された47%近くの票に反して軍部がこれを黙って見ていないだろうという仮説からきている。もしかすると軍部に対し不公平な見方だったということになるかもしれないこの仮説を口にする人たちは、大統領が「軍の最高司令官」であるという点に注目させようとする。そして全く明確には言われないにしても、問題はイスラーム風スカーフもしくはスカーフの問題でもつれてしまうのだ。
 
昨日(10日)発表された日程によれば、第11代大統領選出のための第1回投票は8月20日、第2回は8月24日に行われる予定だ。もしキョクサル・トプタン氏のように他政党からも票を獲得する候補者が出なければ、367票を要するこの2回の投票で大統領が選出される可能性は低い。しかし、8月28日の第3回投票では絶対多数、すなわち267票が必要となる。民族主義者行動党のデヴレト・バフチェリ党首が「出席すること」を表明して以降、公正発展党が希望する候補者を3回目の投票で選出するとほとんど確実視されている。

言い換えれば最悪の場合でも、8月28日には第11代大統領が判明することになる。アフメト・ネジュデト・セゼル大統領が、必要な手順どおり直ちに日程調整に応じ、同日または次の日に引き継ぎを実現させれば、8月30日の戦勝記念日は、第11代大統領が国民の前に立つ最初の機会になるだろう(つまり8月30日に関する最初のテストは、セゼル大統領が引き継ぎの日程調整に応じること、である可能性が高い)

8月30日、大統領のお目見えは、順序に従って、朝、アタテュルク廟での式典、続いてヒッポドロームでの軍隊パレード、夕方にはガーズィー将校クラブで参謀総長の主催で催される伝統的なパーティーとなる。もし新大統領、もしくはその夫人がスカーフを被っていなければ(この時点でエルドアン首相が過去に受けたテストについて我々は議論していることになるだろう)、この国民へのお目見えは式典自体の他にはニュースの価値もなく、なんの議論にもならない。エルドアン首相が、昨日(10日)、議会において「候補者となる我々の友人たちは」という(複数を示唆した)発言は、失言あるいは新たな「ちゃんばらごっこ」でなければ、この可能性を注視する必要がある。

もし我々の新大統領がギュル外相で、当然ながらこれらの式典の少なくともひとつに(軍部のパレード、またはパーティー、もしくは両方ともに)夫人を同伴させれば、人々の視線はおそらく大統領夫妻よりもむしろ、主催者たちに向けられるだろう。この時点で我々は皆、テストを受けていることになる。
単に深刻な政治的アナウンスメントという点からではない。姿勢と振る舞いという点からだ。主催者としてビュユクアヌト参謀総長とビュユクアヌト夫人は、もし大統領と最高司令官にギュル氏がなった場合、ギュル夫妻をいかにもてなすのだろうか?今後の日程で、ギュル氏とギュル夫人が10月 29日の共和国記念日(同日はアブドゥッラー・「ジュムフル」・ギュル氏の誕生日でもある)のパーティーが催されたら、どのように受け入れるのだろうか?

このテストは、国内外の誰もの目前で行われる。そしてトルコ共和国が84年目を迎えようとしている今、おかれている内部の様相を示すことになる。

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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:11625 )