アフマディーネジャード大統領、中央アジア3カ国を歴訪:カルザイ・アフガニスタン大統領と会談
2007年08月15日付 E'temad-e Melli 紙
写真:メフル通信
写真:メフル通信

 アフマディーネジャード大統領による3日間にわたる地域諸国歴訪の旅が始まった。大統領とその随行団は、アフガニスタン、トルクメニスタン、キルギスタンを訪問する。マヌーチェフル・モッタキー外相、アリー・ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記、モジタバー・サマレ=ハーシェミー大統領顧問、〔アフガニスタンなどに隣接する〕ホラーサーン・ラザヴィー州の知事、その他の省庁の次官らが、アフマディーネジャード大統領の三カ国歴訪の旅に随行している。

 アフマディーネジャード大統領は最初の訪問地として、カーブルを訪れ、アフガニスタンのハーミド・カルザイ大統領の歓迎を受けた。アフマディーネジャード大統領にとって、大統領就任以来これが初めてのアフガニスタン訪問となる。とはいえ、アフガニスタンのハーミド・カルザイ大統領はこれまで数回、イランを訪問しており、アフマディーネジャード大統領とも会談している。

 アフマディーネジャード大統領による今回の歴訪では、最後にキルギスタンの首都ビシュケクを訪問し、同地でモンゴル大統領やインド及びパキスタンの各外相らとともに、第7回上海機構会議にオブザーバとして参加する予定だ。タジキスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、ロシア、そして中国が上海協力機構の加盟国となっている。

 アフマディーネジャード大統領とその随行団は、キルギスタンを訪問する前、カーブルからトルクメニスタンの首都アシガバートを訪問し、グルバングルイ・ベルディムハメドフ大統領と会談する。この訪問は、トルクメニスタン大統領がホルダード月〔5月22日〜〕にイランを訪問したことへの答礼訪問である。

 イランとアフガニスタン両指導者らの会談の過程で、5つの協力文書と1つの共同声明が調印された。また今回の訪問で、3件の研究プロジェクトが両国大統領が見守る中、開始された。

 両国大統領が署名した共同声明の中で、ハーミド・カルザイ大統領はアフガニスタンにおける平和と安定の回復に対してイランが果たしてきた前向きかつ建設的な役割に感謝の意を表明した。マフムード・アフマディーネジャード大統領もまた、アフガニスタン中央政府の強化と同国における安定の確立に対して、イランが継続して支援を行っていく方針であることを強調した。

 イラン・アフガニスタン両国の指導者はまた、アフガニスタンにおける平和と安定の完全な達成に向けたよりいっそうの支援を国連及び国際社会に求め、さらに互いへの敬意と近隣国としての善意、そして国民主権に基づいたイラン・アフガニスタン関係の拡大を呼びかけた。

 アフマディーネジャード大統領に随行したイラン側高官らとアフガニスタン政府閣僚らとの間で締結された協力文書では、保険衛生面での協力や、アフガニスタン省庁の効率化の取り組みへのイランの参画が盛り込まれ、イランのモッタキー外相とアフガニスタンのアンワルルハック・アハディー財務相が調印を交わした。

 その他の分野としては、ファラーフ街道の建設、麻薬密売の撲滅、組織犯罪やテロとの闘い、鉱物資源の開発・採掘などの領域で協力文書が交わされた。

 アフマディーネジャード大統領はテヘランを発つ前、記者団に対し、今回の訪問では特に、経済問題、投資、開発プロジェクトの実施、地域の治安問題、さらにはアフガニスタンが自らの闘争と革命の道を全うし、完全な治安と繁栄を強固なものとするべく行われる同国への支援のあり方について話し合う予定であると述べていた。

 同大統領はまた、「アフガニスタンともトルクメニスタンとも、われわれは共通の課題を抱えている。われわれの地域に外部の者たちが入り込んだことで今日拡大を見せている、麻薬問題やその他の悪との闘いを、可能な限り広範囲な形で組織化することが必要だ」と指摘していた。

 カルザイ大統領とアフマディーネジャード大統領との会談

 イラン・アフガニスタン両国首脳らによる公式協議の中で、イラン側はアフガニスタンの発展と平和の確立に向けて前向きな姿勢を示した。

 アフマディーネジャード大統領はこの協議の中で、麻薬対策においてイラン・イスラーム共和国が被ってきた人的・物的損害について言及した上で、「イラン・アフガニスタン両政府は、麻薬撲滅のための共通のプロジェクトを実行することが可能だ」と述べた。

 ハーミド・カルザイ大統領も、両国間の貿易・経済・文化・教育関係の拡大を呼びかけ、麻薬密輸対策については同問題を重視する姿勢を示し、イラン・イスラーム共和国側の努力に謝意を表明した。

 両国政府関係者の間で文書・覚書が交わされた後、両大統領は記者会見の場に臨んだ。アフマディーネジャード大統領はこの会見の中で、イラン・イスラーム共和国は、アフガニスタンとの学術・文化面での関係拡大、及び〔学術的な〕資料や学生、研究活動の交流促進を図る姿勢であることを明らかにした。

 同大統領はまた、今日アフガニスタンでは安全と繁栄の拡大を目にすることができるとした上で、「アフガニスタン国民の発展は地域諸国すべてにとっての利益であると、われわれは考えている」と述べた。〔中略〕

 アフマディーネジャード大統領はまた、アフガニスタンの治安問題に関する議論が首脳会談の重要なテーマであったとし、さらに「アフガニスタンの発展の邪魔をしようとする者はこの国の一部ではなく〔※〕、障碍を設けようとする者は基本的にアフガニスタン国民の発展を望んでいない者たちである。今日、すべてのメディア、特にアフガニスタンのメディアは、世界の連帯と団結のために仕事をすべきである」と指摘した。
〔※訳注:「この国」というのがアフガニスタンを指すのか、イランを指すのかは不明。アフガニスタンを指す場合は、「外国分子がアフガニスタンの発展を阻止している」という意味になり、イランを指す場合は「アフガニスタンの発展に対してイランは否定的役割を演じていない」という意味になる〕

 アフガニスタンのハーミド・カルザイ大統領もまた、この記者会見で、イラン・イスラーム共和国とアフガニスタン共和国との関係は同胞愛に基づいた強固なものであると強調した上で、「イランとアフガニスタンは同じ言語を共有する隣人であり、友人である」と述べた。

 同大統領はその上で、次のように語った。「両国ははるか過去より今日に至るまで、互いに善隣関係を有してきた。両国関係に関する合意文書が交わされて以降の最近の5年間、さまざまな分野、特に治安の確保やテロとの闘い、両国の協力関係にとって望ましい環境作りなどの分野で、この関係はこれまで以上のものとなっている」。

 カルザイ大統領はまた、イラン国民がアフガニスタンの諸問題に対して深い理解を示してくれていることに言及した上で、「われわれは、あらゆる方面で支援を差し伸べ、アフガニスタンの現状の改善に尽力してくれたことに関して、イラン国民に感謝している。イラン・イスラーム共和国は全力でアフガニスタンの政治プロセスを支持してくれている」と述べた。

 この会見の続きで、アフマディーネジャード大統領は、何故イラン政府はアフガン移民を同国から退去させているのか、とのVoice of Americaの記者の質問に、次のように答えた。「実際のところ、イランには250万人のアフガン人の同胞が住んでおり、多くの点で〔イラン人と〕平等の権利を享受している。アフガン移民の存在は、われわれにとって決して問題とはなっていない。しかし、イランにはさまざまな国から不法に入国してきた人々がいることも事実である」。

 さらに大統領は、「移民してきた人々は、移民先の国の法律をきちんと守らねばならない。不法に入国した一人の人間の行為によって、250万人の人々の行いに傷が付くというのは、正しいことではない」と付け加えた。大統領はその上で、「われわれはアフガニスタン国民ならびに政府と友好的な関係を維持しており、このことが両国の今後の関係強化の基礎となるだろう」とも語った。

 アフマディーネジャード大統領はまた、「イラン政府のマークが付いたとされる軍事物資がアフガニスタンで発見されたが」との、同じ記者からの質問には、次のように応答した。「イラクでも同じような主張がなされた。われわれはすでに、自らの立場を明瞭に表明している。イラン・イスラーム共和国は全力で、アフガニスタンの政治プロセスを今後も支持するつもりだ。なぜなら、アフガニスタンの治安の影響はまず最初にイランに及ぶというのが、われわれの考えだからである。それゆえ、われわれの考えでは、《強いアフガニスタン》はイランにとって最良の友人なのである」。

 アフマディーネジャード大統領はさらに、「数千キロメートルの彼方からやってきた者にこそ、地域に流通している武器についてきちんと答える義務があるだろう〔※かつてアメリカがアフガニスタンに侵攻したソ連軍に対抗するために、アル・カーイダなどのゲリラ組織に武器を供与したことを指しているものと思われる〕。これらの武器は、マークを確認する必要などないほどはっきりとした形で市場に出回っている」と続けた。

 会見の続きで、アフガニスタンのテレビ局の記者がアフマディーネジャード大統領に、「イラン・イスラーム共和国はアフガニスタンへの5億ドルの支援を無償供与にする意志はないか」と質問したところ、大統領は笑みを浮かべて、「あなたのご質問に感謝します」とだけ述べた。

 アフマディーネジャード大統領はまた、カーブル訪問の一環として、アフガニスタンのスンナ・シーア両派のウラマーらとイラン・イスラーム共和国大使館で会見し、演説を行った。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:11670 )