イランに対する経済制裁、アラブ首長国連邦にも波及
2007年09月02日付 E'temad-e Melli 紙

 アメリカの政策の下、米金融機関を通じて加えられている圧力の波は、今やアラブ首長国連邦〔以下ア首連〕にも及んでいる模様だ。

 イランの貿易パートナーであるア首連は、イランとの商取引の総量に制限を加える上で強い影響力を及ぼす法案を可決し、アメリカの政治的利益に資する構えを見せている。この新法案は、ホワイトハウスがブラックリストに掲載したイラン企業との取引を禁止するようア首連に求めたことを受けて、まさに間髪置かずして可決したものである。同法により、ア首連政府は国家安全保障上・外交政策上の問題を理由として、対外輸出を制限し、あるいは禁止することが可能となる。

 ア首連はこれまでつねにイラン系企業の商活動から恩恵を受けてきたが、それにもかかわらず、この措置によって同国は、対イラン経済制裁の拡大を図るアメリカの目論みの実現に向けて、重要な一歩を踏み出した格好だ。

 確かにア首連は、アメリカの製品にとって強固な販売拠点に数えられており、〔アメリカは〕ドバイに対して毎年120億ドルの輸出を行っている。しかしながら、ア首連からイランへの商品の輸出によって生じる莫大な収入を無視することも、同様に不可能だ。政府関係筋が明かした統計によると、イランとア首連の間の貿易規模は130億ドルに上り、そのうち大部分は、ア首連からイランへの輸出が占めているのだ。

 もし仮にイラン・ア首連の貿易関係がもつ価値と、アメリカ・ア首連のそれとを比較するならば、イラン系企業の活動や、40万人に及ぶ貿易関係者がア首連で経済活動に従事している事実を指摘しないわけにはいくまい。

 しかし、イランに対する制裁の厳格化を目指すアメリカ政府の決意はきわめて固く、躊躇することなく性急にアメリカの目論みに応ずることを、ア首連政府に決意させた模様である。

 このようなア首連政府の措置は、大量破壊兵器の製造に利用される機器の輸出に関してホワイトハウスがブラックリストに掲載した企業に対し、制限を加えるようアメリカ政府が同国政府に要求したことを、まさに受けたものである。

 新法により、政府は衛生上・安全上の理由や、環境や国家安全保障上・外交上の懸念から、物品の輸出入や再輸出を禁止、または制限することができる。ア首連政府はまた、同法を施行するための新たな委員会を立ち上げており、この委員会のメンバーには、閣僚や民間企業の経営者らが参加する予定となっている。

 このようなア首連政府の行動に対して、ドバイの商工会議所からは、批判の声が上がっている。AP通信の報道によると、ホワイトハウスがブラックリストに掲載したイラン系企業との取引を禁止するよう要求するなど、アメリカ政府がア首連に対して圧力を加えていることに対し、ドバイ商工会議所は侮辱的な行為であると批判したという。ドバイ商工会議所のハーミド・ブーアミーム事務総長は、アメリカ政府に宛てた書簡の中で、「再輸出に関する法規制は、アメリカの圧力なしに制定されるべきものであり、この件に関して判断を下すことができるのはアラブ首長国連邦政府のみである」と述べたという。

 いずれにせよ、イランに対する制裁の新たな波が、現在形作られようとしていることに変わりはない。このことについて、イラン政府当局からは明確な表明はないが、しかし複数の情報筋はこのことを示唆している。

 ドイツのニュース報道局であるドイチェ・ヴェレは、「アメリカとイラン:脅しと制裁」と題されたリポートの中で、「イランに対してジョージ・ブッシュが辛辣な非難を繰り広げるのと時を合わせる形で、アメリカはヨーロッパ諸国の銀行に対してイランとの取引を停止するよう、圧力を強めている」と報じている。

 また、イランとの取引を停止するよう、さまざまな銀行・金融機関に対してアメリカが圧力を強化し続けていることに関し、フィナンシャル・タイムズは、イランやキューバ、リビア、スーダンといった国々への制裁に違反した行動を取っているとして、アメリカ当局がヨーロッパ系銀行数行に対して法的訴追を検討していると伝えている。

 イラン学生通信によると、ある信頼できる筋の発言として上記報道を伝えたフィナンシャル・タイムズはさらに、〔制裁に違反しているとして〕非難された一部の金融機関があり得べき処罰を避けるべく、アメリカ当局との協議に乗り出し、自らに加えられた非難を打ち消す努力を続けているとのことだ。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:11813 )