Besir Ayvazoglu コラム:ベヤズト国立図書館略史
2007年09月06日付 Zaman 紙

ベヤズト国立図書館は、私が度々足を運び、そんな私にたくさんの成果を与えてくれた、この上なく重要な図書館だ。

この巨大図書館を、多くの不備不足を抱えながらも、うまく運営してきたシェファーレッティン・コジャマンさんと、つい先頃、ずいぶん長く話をする機会があり、どうすれば読者にとってより使いやすくなるだろうか、と知恵を絞りあった。

シェファーレッティンさんは頭の痛い問題を抱えていた。というのも、11,120点の写本、約550,000点のアラビア文字、ラテン文字による刊本をはじめとして、25,000種類もの雑誌や豊富な新聞コレクションが収蔵された同図書館には、館長や助手を含めても27名しか職員がいないのだから。これだけの少人数で職務を滞りなく進めていくのは、本当にとても困難なことだし、己を犠牲にすることが要求されるものだ。あと少しでも紙幅に余裕があって、国立図書館の職員の方々がこれまでに行ってきた仕事をひとつひとつ挙げてみせられればいいのだが。

幾度も私が書きながら、解決を見なかったこの極めて重要な問題について、新たに就任した文化観光相エルトゥールル・ギュナイ閣下に注意を喚起申し上げるとともに、この場を借りて大臣就任をお祝い申し上げます。

ベヤズト国立図書館は、単に大学関係者や研究者が憧れるような充実した図書館なのではなく、同時に、様々な国民的記憶の価値ある一部であり、維持しなければならない財産なのである。ゆえに、他の図書館とは別格の存在だと位置づけられねばならないのだ。

国立図書館開設という考えを、記した覚書によって、トルコで初めて口にしたのはターヒル・ミュニフ・パシャであった(1871年)。ペルテヴ・パシャは、当時まだ[「パシャ」の称号を授与されておらず、より下位の称号である]「エフェンディ」であったミュニフ・パシャの覚書にいくらかの付帯意見を添えて、大宰相であったアリ・パシャに具申する。しかし大宰相は、修正さえほどこしたこの覚書をファイルに収めて忘れ去ってしまう。

しかし、国家の高官や知識人の中には、官立で、広範な大衆の利用に供されるような、そして、将来的に帝国内で出版印刷されたあらゆる資料が集約され、流通しているものを購入したり寄贈されたりすることで、内容が絶えず充実したものになっていくような図書館が必要だと考える人々がいた。[そして]約10年の時を経て再度議論されることになるのである。このような図書館の重要性を即座に見抜いたアブデュルハミト2世の命が下るや、図書館用地に選定されたベヤズト2世[モスク]複合施設群の給食院区画が修繕された。こうして、1884年ラマザン月1日(6月24日)、文献において「最初の国立[官立]図書館」として登場する「オスマン総合図書館」、今日のベヤスト国立図書館は、書架にまず『ナイマ史』全巻を収めて、祈祷とともに開設された。

オスマン総合図書館の図書(写本と刊本)と雑誌コレクションは急速に充実していった。1934年に公布された法律番号第2527号「印刷図書・図画収集法」は、この流れがより確実に進むことを保証した。なぜなら、図書館が収集すべき図書の[刊行時にはその]各1部をベヤズト国立図書館に寄贈することが法的に義務付けられたからである。国際基準にそった分類方法が実施されたのも同図書館が最初であり、その後、デューイ十進分類法へと移行した。

イスマイル・フェンニー・エルトゥールルの9150巻におよぶ膨大なコレクションのような多くの寄贈を通じて内容が充実し、研究者にとっての必須の図書館の様相をみせるようになったベヤズト図書館の前には、1940-50年代、開館時間前にやってくる読者で長蛇の列ができるようになった。というのも、同図書館は現在と同じように、当時もイスタンブル大学の門と隣り合わせだったのだから。

図書収集法の公布ののち、図書が寄贈されるペースが極めて速くなったため次第に手狭になり始め、そのために読者に良質なサービスを提供できない状態に陥ったベヤズト国立図書館の首脳部は、[イスタンブル大学]歯学部に、同学部が新校舎に移転したのだから図書館の隣りで空いたままの旧校舎を無償で[使わせて欲しい]と求めた。しかし、当時のハーシム・イシュジャン市長はこの歴史的建造物を壊して駐車場にしようと決めていたのだった。

[当時の]ムザッフェル・ギョクマン館長が、歯学部[の旧校舎]を、むやみやらたな解体工事から救わんとイシュジャンに対して行った抵抗ぶりは、信じられないほどのものだった。

歯学部旧校舎への移転が叶って、快適になり、蔵書が充実していく様はそのままのベヤズト国立図書館は、3、4年前にハック・タールク・ウス図書館の豊富なコレクションをも収蔵することとなった。

2004年、知識を渇望する人々にとっての「秘蔵っ子」のようなベヤズト国立図書館は開設120周年を迎えたが、[特別なことは]なにひとつ行われなかった。インシャッラー、125周年つまり2009年は、他の図書館とは別格に扱われるようになり、様々な不備不足が解消されたうえで迎えられますように。

(後略)

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( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:11853 )