今年はラマザン月が、アメリカでも感じられる
2007年09月20日付 Zaman 紙

 ニューヨークのトルコ文化センター「ユニバーサルファンデーション」の門をくぐると、アザーン(礼拝への呼び掛け)の美しい声が迎えてくれる。夜の礼拝を終えた男たちは、女や子供たちとともにイフタール(断食明けの食事)に向かう。
 コーラン、談話、ハーフズによるコーラン朗誦、日没後と夜の礼拝、そして祈りが次々と行われるラマザンの長い夜が始まる。

 アメリカ同時多発テロ事件(9月11日)の6周年が近づき、「イスラムとテロ」に関する様々なニュースが入り乱れるこの時期、まずユダヤ教徒のローシュ・ハシャナー(新年)祭が行われ、つぎにイスラム教徒のラマザン祭が続いた。ユダヤ人が多く住む地域では職場も休暇となり、新年の祝福が街にもあふれていた。今年はアメリカではラマザン月も実感することができる。ニューヨーク、ニュージャージー、シカゴにある何十ものモスク、礼拝所、イスラム文化センターは人でいっぱいだ。ホテルや学校のキャンパスでは、様々な宗教、文化を持つ人々にイフタールが振舞われた。

 アメリカのメディアではラマザン月に関するニュースが、前年よりも多く放送されている。「ラマザンとは?断食はどうやるのか?断食は健康や精神面でよい影響を与えるのか?ムスリムがこの一か月に行う宗教的行為はなにか?貧しい人々や身寄りのない人々をどう助けているのか?」など、全国ネットや地元のテレビ局、新聞でほぼ毎日この種のテーマのニュースが扱われている。ラマザンの意味や重要性はイスラムの宗教関係者たちによって、客観的に、深い解説をすることなく伝えられている。バーンズアンドノーブル(アメリカ最大の書店チェーン)では、イスラムや預言者ムハンマドに関する本がより多く目につくようになった。

 同時多発テロ以降高まった世論のイスラムに対する不安が、様々なメディアによって取り除かれようとする一方、ムスリム団体やアメリカの公的機関が振舞ったイフタールは、異なる宗教や文化を持つ人々にとってよりよい相互理解のきっかけとなっている。ラマザン月のために祝福のメッセージを送ったブッシュ大統領は、ホワイトハウスでクリントン政権時代に始まったイフタールの伝統を受け継いでいる。イフタールにはイスラム諸国の大使たちやイスラム団体のリーダーたちが招待され、大統領と夫人がもてなした。国務省も公にイフタールを用意した。ニューヨーク市、ブルックリン市もイフタールを準備し、関係者を招待した。市長や警察署長、その他要人らがラマザンのために、ムスリム代表者たちとともに一堂に会した。そこではお互いに祝福のメッセージを伝えあっている。
ラマザン月には、ムスリムたちもモスク、文化センター、職場、さらには自宅へアメリカ人たちを呼ぶことが多くなる。イフタールへ、宗教や人種、国籍を区別せず、隣人、同僚、学生が招待される。異文化間対話を試みるトルコ文化センターのプログラムでは、ラマザンと断食についてアメリカ人に紹介するプレゼンテーションが行われている。
 
 トルコ人の住むほとんど全ての州でアメリカ人がイフタールに招待されている。トルコ文化センターは、ニューヨークで昨年ヒラリー・クリントン氏も参加したイフタール・プログラムを、今年も行う予定だ。異文化間対話の試みで注目を集めるワシントンのルーミー・フォームもキャピトル・ヒルで下院議員や上院議員をイフタール・プログラムに招待している。

 ラマザンのイフタールのテーブルでは、敬意や愛に基づく対話という架け橋が築かれているのだ。

■ニュージャージー州、対話と愛のためのイフタールへ

 アメリカニュージャージー州で異教徒間対話センター(IDC)の行った今年で四度目のイフタールの夕食会には、異なる宗教に属する宗教関係者たちを含め350人が集まった。「存在の核とは愛である」という主題のもと実現した対話は、その晩を特別な日に変えた。ムスリムたちとともに、キリスト教、ユダヤ教、仏教など異なる宗教関係者たちがひとつのテーブルを囲みイフタールを共にした。

 IDC会長レヴェント・コチ氏の行った歓迎スピーチに、招待客は熱心に耳を傾けた。アザーンが誦まれると一斉にイフタールの席で食事を始めた客たちは、一方ではトルコを紹介するビデオを鑑賞した。

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( 翻訳者:上田悠里 )
( 記事ID:11967 )