創造論は、人権への脅威―関連案件を欧州委員会議員会議が可決
2007年10月07日付 Radikal紙

欧州委員会は、学校で創造論が教えられることについて、「人権への脅威になり得る」として反対した。欧州委員会議員会議(AKPM)が11月4日(訳者注:原文ママー10月4日の間違いと思われる)に行った会議においては、「教育における創造論の危険性」という表題のレポートと、関連案件が取り上げられた。会議で行われた投票で、「創造論が学校で科学の一分野として教えられること」に反対する決定が、反対25票に棄権3票、賛成48票で可決された。
トルコ代表メンバーである共和人民党のアブデュルカーディル・アテシ議員とギュルスン・ビルゲハン議員も賛成票を投じたこの決定では、47カ国のメンバー国政府から、「種が自然選択をしながら進化を遂げてきたことを否定する創造論が、進化論と同レベルの科学的一分野として教えられることに断固反対」する意思が示された。決定では、「我々が注意深くならなければ、創造論は委員会の最大の関心事である人権に対しても脅威となるだろう」と警告された。

■アドナン・オクタル氏についても説明
ベルギー、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ポーランド、ロシア、セルビア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリスといった国々における例も挙げられたレポートでは、「アドナン先生」として知られるアドナン・オクタル氏と、彼が「ハルン・ヤフヤ」というペンネームで著作、刊行した『図解 創造論』に関してもかなりのページが割かれた。
ルクセンブルグの元教育大臣であったレポーターのアン・ブラッスール氏は、投票後の説明で、「これは、信仰と科学を向かい合わせにしているという問題ではありません。ただ、信仰が科学と逆になってしまうことを防ぐべきでしょう」と主張した。

レポートと、その関連案件においては次のようなポイントが注目された。

■科学の授業にとってふさわしくない:創造論は、インテリジェント・デザインの例にあるように、どのような形であっても現実に耐えないものであり、科学的な議論は用いておらず、内容も科学の授業にとっては、決してふさわしいものではない。創造論を、ヨーロッパの学校で進化論と一緒に、さらには、進化論の代わりに教えようなどという呼びかけを行っている者もいる。科学的な観点からは、地球上に於ける私たちの生物認識において、進化論が主柱であることに疑いはない。AKPMは、メンバー国の教育監督者に対し、科学的知識と進化論が教育されるよう奨励した上、創造論が科学の一分野として教えられることに関しては断固反対するように呼びかけた。

■目的は教育である:その多くがクリスチャン、もしくはムスリムである創造論者たちの主な目的は教育である。創造論者たちは、彼らの考えを学校教育のカリキュラムに組み込むのだ、という断固たる意思を持っている。しかしながら創造論は、科学の一分野ではありえない。
子供たちの脳内で信仰と知識の深刻なもつれが生じ得る、といった現実的なリスクがある。神々しい説明とは全く無縁の進化論は、現実的に構成されている。もっと抜け目なくつくられているインテリジェント・デザイン論はというと、そのアプローチを科学的なもののように見せようとしている。そして、危険性が潜んでいるのもそこなのである。創造論は長い間ほとんど、アメリカ人の間で問題になってきたことだった。現在はというと、創造論はヨーロッパで根を張ろうとしており、その広がりは欧州委員会メンバー国にかなりの影響を与えている。

レポートの「ヨーロッパにおける創造論」という項目では、トルコの例が挙げられ、アドナン・オクタル氏に関する情報も載せられている。

■クリスチャンもムスリムもいる:キリスト教の創造論だけでなく、ムスリムの創造論もある。イスラム運動が80年代に高まったことで、キリスト教起源の創造説に関する研究論文がムスリムの間でも読まれるようになった。

■ハルン・ヤフヤ批判:最近では、その深い信仰心から創造論者たちはヨーロッパで受け入れられようと努めている。その結果ここ数年の間、ユーラシア大陸におけるこの奇妙な運動は、主な標的を学校に定めて動いているようだ。2007年の初めに、進化論のペテンを非難する内容の『図解 創造論』の著者であり、自身のこの最新書をかなりの数フランス、ベルギー、スペイン、スイスなどの学校に送りつけたトルコ人創造論者ハルン・ヤフヤ氏が批判された。フランスの教育省は、専門家に問い合わせた後、クラス教育で予定され必要とされているような内容に全くふさわしくないとして、この本を各地の学校の研究施設から排除するよう勧告。すぐさま反感を露にした。

■いわゆる科学的方法:ハルン・ヤフヤは、ダーウィンの主張に対抗する数多くの調査で、悪魔の最大のごまかしの結果である進化論は科学に反した性格であるとして、その馬鹿馬鹿しさを証明しようとしている。
 しかしながら、『図解 創造論』という著書で用いられているいわゆる科学的方法というのも、全く科学的とは言えない。著者は、進化の論拠を詳細に調べ、挑み、科学に反するものであると証明しようとしている。(自身が行った)以前の異議については全く触れていない。
 また、化石の写真を現存種とだけ比較する際にも、これに関しての解説は全く科学的ではない。もっとよい例がある。著書の60ページ目の解説で、何100万年もの年月を経ながらも進化を遂げなかったと書かれた、巨大淡水魚シーラカンスの化石写真が載っている。しかしこれは間違っている:化石の入念な調査の結果、今日生きているシーラカンスが逆に大いに進化を遂げていたことが分かっている。ヤフヤ氏の著書はこの手の嘘でいっぱいだ。論説のすべてが科学的な論拠に耐えるものではない。そして著書は基本的な神学的調査のようにしか見受けられない。

■政教分離のトルコが創造論のゆりかごに?:アタテュルクによって打ち立てられて以来、公式に政教分離国のひとつとなったトルコが、イスラームの科学的な創造論の発祥の地のひとつであるかのように見受けられる。ジャック・アーノルトが「トルコは原理主義派の、最も活動的かつ最もうまく形作られた中心地のひとつであるように見える。」と主張したように。

■オクタル氏のアメリカとの関係:本名がアドナン・オクタルであるハルン・ヤフヤ氏は、この運動の最も象徴的な人物の一人である。氏は50代だが、20年近く創造論もしくは宗教に関する研究を発表してきている。その中心地はイスタンブルのグローバルという出版社である。オクタル氏は1991年に科学調査ワクフ(BAV)というセンターを設立した。BAVは、トルコの教育システムの中で、進化論に拠っている参考書の全てを無くすべきだとして、積極的に活動している。BAVが、アメリカの創造論調査研究所(ICR)とも近い関係にあることが推測される。

■図解 創造論による攻撃:ハルン・ヤフヤ氏が2006年12月に発表した最新の本の題目は『図解 創造論』というものだ。全7巻シリーズの初巻である。本は豊富な写真で飾られ、722ページに渡ってダーウィンの進化論を虚偽であるかのように説明している。結論は明らかだ。「創造論は真実だ」、そして「進化論はペテンだ」。さらに著者は、「ダーウィニズムとファシズム、そして共産主義のような、血にまみれたイデオロギーのあいだにある秘密のつながり」についても強く非難している。2007年初頭にヤフヤ氏は、著書をヨーロッパ、そして世界各地に大量にばらまくことを目的に攻撃を開始した。

■75%の高校生が進化論を信じていない:トルコの教科書のなかには、創造論者の考えが載せられているものも有ること、高校生の75%が進化論を信じていないことも、注目すべき点だ。こういったことに対し、トルコでは反対運動も始まった。進化論の考えに対する創造論者の攻撃や批判に応え、国民に警告する目的で1998年に委員会が設立された。トルコ科学アカデミー(TÜBA)とトルコ科学技術研究機構(TÜBİTAK)は進化論に賛成の立場をとっている。

■インテリジェント・デザインとは何か?
アメリカで、ブッシュ政権が学校教育のカリキュラムに取り入れようとしていたのは、「インテリジェント・デザイン」「万物の頂点に立つ存在によるインテリジェント・デザイン(高度な知性による設計)」であることが分かっている。ブッシュ政権下で、宗教的な信仰心が高まる傾向となり、インテリジェント・デザインに対する関心も同時に高まった。この論説は、1990年代にアメリカ人のある科学者によって明らかにされたものである。初めて大々的に発表されたのはリーハイ大学の生化学者マイケル・J・ベへ教授の「ダーウィンの黒い箱:進化論に対する生化学的反抗」という著書においてである。ベヘ教授は、生きた細胞がダーウィンの時代には中身の分からない黒い箱とされていたことや、いざ細胞の詳細が解明されてみると、そこで大いなる複雑な仕組みが明らかになったことなどを説明した。これによると、生物の複雑な仕組みが、自然選択と突然変異によって、つまり無意識的な働きだけで現れてくることは考えられないことであり、細胞も意識的なかたちで設計されたものであることが示されている。

■決議は拘束力があるのか?
欧州委員会には2つの基本的組織がある。
1)決議は満場一致をもって行われ、全メンバー国の外相が参加する外相会議が決議機関である。
2)欧州委員会議員会議(AKPM)は、それぞれの国の議会から人口率に応じて選ばれた630名のメンバーから成る諮問機関である。
 議会では様々な政治グループの活動が見られる。これらは社会主義者グループ、右派ヨーロッパ国民党、自由-民主連合、緑の党、左派ヨーロッパなどと、無所属である。
 
議員会議では、様々な議題のために委員会がつくられる。この委員会で作成されるレポートは、総会に提出され、投票にかけられるか、外相会議に向けた勧告決議となる。
 議員会議での討論と外相会議にむけた勧告決議は、欧州委員会の主要な部分を占めている。欧州委員会議員会議の決定は、外相会議に対する勧告から成り立っている。
 AKPMの決定には拘束力はないが、全く無力なものということでもない。もし、ある国がAKPMの決議にどうしても従わなければ、会議から追われることになる。そうなれば、他の問題が次々と出てくることになる。国がAKPMのメンバーでなくなれば、欧州委員会のメンバーの地位も中断される。つまり、その国がメンバーであることから得ていた経済的、政治的利益も失うということである。たとえば、「9月12日クーデター」後、トルコはAKPMから追いやられた。その後総選挙が行われ議会が成立し、トルコはようやくAKPMに戻ることができたのだった。

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(翻訳者:田林玲)
(記事ID:12103)