アゴス紙のアラト・ディンク氏、刑法301条により1年の禁固刑
2007年10月12日付 Hurriyet 紙

 シシュリ第二下級刑事裁判所は、アゴス紙の編集責任局長アラト・ディンク氏と同紙発行人であるセルキス・セロプヤン氏に「トルコ性を侮辱した」罪でそれぞれに一年の禁固刑を言い渡した。両被告人に前科がないことから、執行猶予がつけられた。

 殺害されたアゴス紙の元総編集長フラント・ディンク氏の息子、アラト・ディンク編集責任局長と同紙発行人のセルキス・セロプヤン氏は、トルコ刑法第301条にある「トルコ性を侮辱した」罪を犯したとして、シシュリ第二下級裁判所から一年の禁固刑が言い渡された。

 両被告人の人柄と前科がないことに着目し、裁判所はトルコ刑法第51条に則って刑の執行を猶予した。法廷審議終了後、裁判所の判決をすぐに控訴したディンク家の弁護士フェティエ・チェティン氏は、この判決が「第301条の廃止反対。この法は適用されるべく残されるように」と主張する人たちに対して重要な回答となったと述べ、「ジェノサイドがあったと考えるのも罪、これを報道するのも罪」と語った。裁判が行われたシシュリ裁判所の前で警察は広 範囲に警備網をはった。両被告人が欠席した裁判では、フラント・ディンク氏の弟オルハン・ディンク氏と弁護士らが臨席した。共和国検察庁シシュリ支部が 2006年9月18日に作成した起訴状には、2006年7月21日付アゴス紙が「第301条に反対する一署名」という見出しで、トルコ性を侮辱したと説明されている。

■ 間違いなくジェノサイドです

 問題の記事では、フラント・ディンク氏がロイター通信にした「間違いなく『これはジェノサイドだった』と私は思います。4千年もの間、この大地で生きて きた一民族がこの出来事とともに消えてしまった状況を見てお分かりでしょう」という発言が報道されたことが指摘されている。そしてフランク・ディンク氏、 アラト・ディンク氏、セルキス・セロプヤン氏に、トルコ刑法第301条に則り、刑罰を科すことが求められたのだった。

■ 父のような新聞記者

 アラト・ディンク氏は妻ラケルさんとフラントさん夫妻の第二子。新聞記者業を父の元で始めた。ダラルさんという名の姉と、セラさんという妹がいる。アラト・ディンク氏は、過去の裁判のひとつで、叔父のオルハン・ディンク氏と一緒に訴えられたこともある。

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( 翻訳者:永井ひとみ )
( 記事ID:12135 )