Yalcin Dogan コラム:トルコに目を向け始めたドイツ
2007年10月17日付 Hurriyet 紙

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は昨日私と握手したとき、目は友情で輝いていた。
「このシンポジウムであなたとお会いできて大変うれしい。ドイツとして、ドイツで生活している移民の方々、またトルコ人の人々に我々の社会に適応してもらうために多くの努力をしている。この会議を大変重視している。我々の行っている取り組みがトルコの関心も引くことを期待している」。

昨日の昼、ベルリンのドイツ外務省。前面は新たに建てられた建物で、後ろの部分は1930~40年代のライヒスバンク、つまりヒトラー時代の中央銀行だ。
この建物で昨日と今日、1つの会議が開かれる。テーマは、21世紀における教育による適応。ドイツで生活する移民をドイツ社会にどのように適応させていくかに関するシンポジウムである。
ドイツのメルケル首相と、会議後に短時間話をする機会を得た。

■本紙に招待状

ドイツの首相が初めて、移民の適応政策について正面から向き合っている。
それとともに国家的な1つの計画が準備された。さらに、法律が出された。法律は、差別だという主張により、とりわけトルコ人からの抗議に直面している。法律によれば、ドイツで生活する移民はドイツ国外で結婚した場合、配偶者をドイツに連れて来るために配偶者はドイツ語を習わなければならない。さもなければ、配偶者にはビザが発給されない。

法律は、EU諸国と、8つの先進国の名前を1つ1つ挙げて、この規定の対象外としている。他の国々、またトルコ人移民は、法律の対象となっている。トルコ人は、法律を差別であり人種主義だとみなしている。当時のアフメト・ネジュデト・セゼル大統領はドイツのケーラー大統領に対し、法律の差し止めのために書簡を送った。しかし、法律は2カ月前に施行された。
そうして、こうした状況の中で、ベルリンで開かれた「教育を通した適応」会議にメルケルは特別な重きを置いた。本紙を会議に招いた。

■初めての発言

会議での演説後、話をしたメルケル首相とのやりとりは次の通り:
メルケル:あなたの苗字もドアンだが、(ヒュッリイェト社主の)アイドゥン・ドアン家と繋がりはありますか?
私:いいえ、ただ名前が同じだけです。
メルケル:我々は適応問題を大変重要視しています。
私:法律に対し明確な批判があります。
メルケル:シンポジウムでお話した通りです。トルコとの関係を私は大変重視しています。

一方で私は重要な情報を得た。一昨日の晩、メルケルとショイブレ内相は、トルコの市民社会組織も含む、ただ宗教組織が多数を占めた夕食会で同席した。イラン人も、サウジアラビア人も、我々トルコ人組織の姿もあった。トルコ人が法律のことを口にするとメルケルは:
「折に触れてレジェプ・タイイプ・エルドアン首相と話をしている。この法律の実施(過程)を注意深く見守っている。支障やマイナス面が出てきたら、法律を再検討する。

ドイツで生活するトルコ人と事態を注視しているトルコ政府にとって、メルケルのこの発言は非常に重要な大きな意味を持つ。こうした発言は初めてである。私の質問に対してメルケルは:
「法律の実施を注意深く見守っている」と話した。何百万人もの人とトルコの大きな関心を引き付けた言葉である。他の詳細には立ち入らない。彼らの考えがトルコに届くことでとても満足だ。

■イスラーム庭園で食事

イラン人、サウジアラビア人、マレーシア人、スーダン人、それに最も数の多いグループであるトルコ人は、一昨日の晩メルケル首相、ショイブレ内相と食事会で顔を合わせた。
食事会では様々な市民社会組織が出席したにもかかわらず、概して、招待客が宗教組織であったことは、招待の性質や場所に適していた。場所は、ベルリンの旧東ベルリン地区にあるイスラーム庭園。招待の理由は、(ラマザン開けの祝祭日である)シェケル・バイラムを祝うこと。食事会の席上、メルケルは心を込めてこう言った:「私は2年前までラマザンで断食をすることを知らなかった。ムスリムはドイツ社会の一部だ。しかし一部のドイツ人はこのことを理解したがっていない。その上、そのうち自分の国で自分たちが少数派に転落することを恐れている。政治家として、私は(この問題の)デリケートさに注意しなければならない」。

この食事会をメルケルにとても近い、ある高官は次のように評した:
「様々な信仰を持つ人々が、同じ場所で、平和の中でどのように共に生きていくか?我々はこの問いの答えを探している。これを1つの立場からではなく、ここで生活している全ての宗教集団の見解を得て、答えを出そうと努めている。宗教授業や言語(習得)義務、学校前教育や学校教育の計画をこの目的で見直している」。

移民問題はドイツの内政において昨今最も重要なテーマの1つだ。

■上からではなく一緒になった解決

ベルリンでの昨日のシンポジウムの開会式でメルケルは演説をした。この席にビル・ゲイツがアメリカから駆けつけた。欧州委員会のバロッソ委員長もベルリンに入り、EUの見解を伝えた。

演説でメルケルは、ドイツには200カ国から来た1500万人の移民が生活していることを明らかにする一方で、60年代のトルコ人移民について言及した。
「彼らの行ったことにより、ドイツの様相は一変した。トルコ人は現在4代目だ。6万6千人のトルコ人が、ドイツで目下35万の雇用を生み出している。我々はトルコ人を含めて、移民の1人1人と向き合っていく必要がある。彼らの社会への適応は、単なる国内問題ではなく、国際的な問題である。問題を、頂上で話をしながらでなく、互いに話し合いながら解決しなければならない」。

権力者として、移民を上から見るのではなく、同じ目線で対話をすること。メルケルの昨日の話で最も気に入った言葉の1つがこれだ。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:12214 )