Sami Kohen コラム:「北イラクへ行け!」と言うだけで終わるのか?
2007年10月20日付 Milliyet 紙

トルコ大国民議会の越境軍事作戦に関連した決議は最初の政治的影響力を示し始めた。アメリカ政府に続き、イラク中央政府と北イラクの地域政府が積極的に動き始めた。
こうした中、イラクのジャラール・タラバーニー大統領とホシャール・ズィバーリー外相が ―クルド系であるという観点からも― クルド労働者党(PKK)のイラクからの撤退に向けた呼び掛けを行っていることは意味深い。
2人のリーダーによる公の要望に対してPKKがすぐに武器を放棄する、あるいは陣地を去ることを期待するのは楽観的に過ぎるのは確かだ。
今興味を集めているのは、バグダッドの中央政府と北イラクの政府が、(北イラク)地域におけるPKK部隊がすみやかに終わりを迎えるために実際に何をするか、もっとはっきり言えば思い切って具体的な行動を起こすか否かという点である。
そう、もしかしたらこれまでイラクやクルドの指導者はPKKに対してこれほどはっきりと、断固とした態度を取ったことはなかったかもしれない。しかしもはや期待されることは、新しい態度が単に言葉だけでなく行動で示されることである。

■策略でなければ・・・

はっきり言ってこの問題について、トルコにはここ数年で形成された一種の「疑念と不信感の集積」がある。これは、イラク・クルド側にとっても言えることだ。クルド出身のリーダーのこのごろの発言は、彼らがトルコが越境軍事作戦に及べば主要な標的はPKKだけでなく、北イラクのクルド人全体となるだろうという懸念を抱いていることを示している。
トルコ政府が予想される越境軍事作戦の目的とその範囲について行った公式の発表がこの懸念を払拭していないのは明白だ... イラクやクルドのリーダーによるPKKの自国からの撤退に関する発言が、トルコで懐疑的に受け止められ信用されていないように...
地域政府のトップであるマスード・バルザーニが依然として挑戦的な発言を続けており、(マフムト・オスマンのような)一部の(イラクの)クルド人国会議員が、PKKに対処することはイラク政府と軍とに課せられた仕事であり、(従って)この問題でペシュメルガ(クルド人民兵組織)は何もしない、と言っている状況で、この不信感を取り除くことはかなり困難だ。イラク中央政府や地域政府から届く様々な声は、「これは一種の戦術か策略なんだろうか?」という問いさえ脳裏によぎらせる。
でなければ、これらが策略でないことを証明することは、これらリーダーの仕事である...

■どうなるのだろうか?

タラバーニー大統領の息子でクルド地域政府の(アメリカ)代表であるクバト・タラバーニーは、昨日「ワシントン・タイムズ」に掲載された談話で、2つの重要な事柄について考えを明らかにした:1つは、トルコが北イラクに対する軍事作戦に及んだ場合には、「これまで地域で構築された経済的、政治的な発展が途絶える」ということである。もう1つは、このような状況の中で「アメリカが無反応のままでいること」、つまりクルド人を手助けしないだろうという懸念である。
それならば、クルド政府の目下の第1の目的と(なすべき)努力は、トルコの(軍事)干渉に余地を残さない状況を作り出すこと、つまりPKKを撤退させることに違いない。
これがどのようにして実現されるのか、おそらく彼らの方がよく知っている。重要なのは、トルコの期待した結果が得られることである。
これ(=PKKの北イラクからの撤退)は、同時にトルコにおける不信感を払拭し、時とともにより正常な関係を築くための契機をもたらすことになる。
PKKとの戦いにおいて、トルコが北イラクの地域政府を味方に付けることは、最新の分析では多くのことを変え得る。そのための方法とは、イラク中央政府、または北イラク地域政府との交渉チャネルと建設的な対話の道を開いておくことである...

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:12217 )