Yusuf Kaplan コラム:テロは「バランス調節」の道具か?
2007年10月23日付 Yeni Safak 紙

昨今のテロ攻撃は、我が国を悲嘆に暮れさせた。この攻撃は、連鎖的なテロ攻撃の最終末のものである:(総)選挙前に開始された攻撃は、トルコでの選挙に影響を与えることに向けられていた;選挙後の攻撃はと言えば、第一義的に政府に打撃を与えることを目的としている。これらの攻撃が今後、大都市へ飛び火するかも知れないということは想像に難くない。

これらのテロ攻撃の目的は、西洋化/世俗化プロジェクトに“引導を渡した”「世俗トルコ」に打撃を与えることではない。真の目的は、中・長期的に、トルコの前途を開くことができ、自らの社会的、文化的、歴史的深遠さとダイナミズムを動員しながら、直近ではオスマン朝文明の経験により頂点に達した歴史的付託と使命を受けて西洋-軌道以外の新たな軌道の構築にリーダーシップを発揮し、新しい文明の伝播の旗振り役を務めるであろうトルコ(尊厳を持ち、個を大切にし、文明の下に付託と使命を有する将来のトルコ)を攻撃することである。

私はテロを、連鎖的なテロと定義した。テロは、選挙前に、選挙の命運を明らかにするように化けて出た;しかしテロは、目的を達成できなかった;逆に、完全に「はねつけられた」。

連鎖的なテロが選挙後、特にアブドゥッラー・ギュルが大統領就任に続いて南東アナトリアへ向けて行った、政治的、戦略的価値の極めて高い遊説の後に再燃した、もしくは「動員された」ことは、決して偶然ではない:アブドゥッラー・ギュルが集めた大きな関心や、(南東アナトリア)地域において地域住民にもトルコ全体にも世界にも伝えたメッセージは、クルド労働者党(PKK)テロの背後にいる真の勢力をひどくおびえさせるのに十分であった:民族アイデンティティを民族主義ではなく、我々の社会がいかなる困難にも立ち向かうことを可能にするイスラーム的感情を通じて ーオブラートに包んだ、柔らかい形でー 授けるというメッセージは、我々がこの問題をどのように解決できるかを全世界に「示す」メッセージであった。

折りしもギュル氏の訪問直後にテロが激しさを増したことは;この問題を、地域住民を国家全体にいま少し馴染ませることができる我々の唯一の力であり資源であるイスラーム的な感情を強調しながら我々が解決することができる「契機」を、無効にすることを目指した企てである。

地域で生じている問題は、そもそもは民族的な問題ではなかった。今日この問題が「クルド問題」と呼ばれることに耐えられない文民-軍人の世俗的官僚機構が、(アメリカの「原理主義との戦い」戦略とパラレルに)トルコにおいて反動の脅威と危険をちらつかせながらイスラーム的な感情を減退させることは、この問題が民族問題に転化するきっかけとなった。

トルコにおける世俗主義(者)陣営が理解できないことは次のことである;世界ではポストモダン感覚が支配的であるということだ:ポストモダン感覚は、政治的局面において、グローバル化のプロセスで広がる一方、ローカルアイデンティティを煽り立てている。トルコにおいて、世俗的な文民-軍人の官僚機構が、世界で生じているこの重要なプロセスを読み取ることができないことは、「クルド問題」の出現によって決定的となった。

仮に世俗的な文民-軍人の官僚機構が、アメリカ-イスラエルの術中にはまって、イスラーム的感情を減退させようとしていなかったなら、この問題は決して民族問題に転化するはずがなかった。しかしアメリカ-イスラエルの戦略と軌を一にして、トルコでイスラーム的感情を「反動との戦い」プロジェクトによって減退させることは、地域住民の民族感情を煽り立て、アメリカ-イスラエル-EUという悪のトライアングルの餌食となりつつ、PKKによって包囲され挑発される素地を用意した。

ギュル氏が地域へ行った訪問の後に激しさを増したテロ攻撃は、トルコにおいて政府に対しPKK経由で一種の「バランス調整」を行うことが望まれているということを意味する。トルコの一体性や平穏、安定を壊し、このような形で政府が国を運営することができないという印象を生みながら、国の運営が思いもよらない方法で干渉されようとしている。

次のことに必ず留意しておこう:トルコにおいて、政府を「去勢し」、それによって安定と一体性を損なわせるために、「ヨーロッパ(戦略的、政治的に)」;アメリカ-イスラエル(軍事的、戦略的、政治的、経済的に);国内の一部の”闇の勢力”(自らの汚い/下劣な利益のみを考慮しながら)が一緒になって行動している。

ちょうど今差し掛かっているこの危機的なカーブで、政府が毅然とした行動をとること、特に首相が軟弱な、やる気のない印象を与えないこと、そして状況をコントロールしていることを示すことが極めて肝要となる。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:12235 )