Gungor Uras コラム:テロに付ける薬は「生産」 ― イラク国境地帯での取り組み
2007年10月26日付 Milliyet 紙

誰しもハッキャーリでのテロ事件とテロに奪われた命に涙している。しかしハッキャーリにあるのはテロだけではない。いい出来事も起こっている。そしてこうしたいい出来事が増えた分だけ、テロも後退し、涙が止まるだろう。
10月20日土曜日の夜、ハッキャーリの山岳地帯でテロリストが我が国の12人の兵士を殺害した。このつらいニュースのため、同じ日にハッキャーリで開かれた「ハッキャーリブランド製品第1回展示会」と、この展示会の一環で行われた「植物性・動物性製品と産業発展のハッキャーリ県の開発における役割」をテーマとする会議は、誰にも知ってもらう機会に恵まれなかった。
それにもかかわらず、この展示会と会議はハッキャーリの「笑顔」(の面)であった。
展示会も会議も、ハッキャーリ県庁が主催した。ハッキャーリにはこれまで成功を収めてきた、その職務が好きな知事の1人がいる。これまでスィノプ、ギュムシャーネ、トカトで知事を歴任し、赴任したそれぞれの県で経済の活性化のために尽力したアイハン・ナスフベイオールは、今ハッキャーリにいる。トカト県知事の時代に県内のトマトの生産量を1万トンから100万トンに引き上げることに成功した人物である。

■テロに付ける薬は「生産」である

ナスフベイオール知事は、「テロは世界で1つのセクターとなっており、テロを防ぐにはよりよい教育、よりよい保健、よりよい生産、そしてよりよい行政が必要である」と指摘した上で、次のように話した:「このテロセクターは、後進国や不当に扱われ、抑圧された国が発展することや、教育水準が上がることを望んでいない。なぜなら教育が施されていないことや後進性、貧しさがテロを持続させているからだ。よりよい保健、よりよい教育、そしてより高い福祉水準に到達するためには、テロに対抗しなければならない。私は東部と南東部の諸県で21年間任務に当たっている。私の知っているこの地域の住民は平穏さを求めている。
我々の任務は地域住民にこうしたサービスを提供することであり、情報を提供することである。彼らがより多くの生産を行うことができる環境を提供ことである。生産のある場所には正義があり、成熟さがあり、話し合いによる解決がある。協力して農業や産業を盛んにし、我々の県と我が国の両方を前進させるために努力している」。

■生産は仕事であり、料理を意味する

ナスフベイオール知事は、以前に知事を務めた県で知り合い、一緒に仕事をした専門家たちをハッキャーリへ招待したそうだ。ヤシャル・アクチャ博士はハッキャーリで2年間に5万本以上のクルミの木が植えられ、ザップ谷にクルミの森が作られる予定で、この取り組みが貧困対策のために重要であると話している。
ハサン・ウナル博士は、ハッキャーリへ試験(栽培)の目的で(自身の運営する育苗場である)グロウ・フィデから2万本以上の接ぎ木のトマトとスイカの苗を送ったそうだ。試験がうまくいったため、県は今年住民に5万本以上の接ぎ木の苗を配ったらしい。(病害虫に強い)接ぎ木の苗のおかげで1ドニュム(919平方メートル=約9アール)当たり10~15トンのトマトを収穫でき、7~8千新トルコリラ(約68~77万円)の収入を得た地元の人々は沸き立ったそうだ。県では来年、50万本の接ぎ木苗を配布予定だ。
ナスフベイオール知事はトカトで実現させた「一村一品」プロジェクトに似たものをハッキャーリにも導入した。このプロジェクトによってハッキャーリでは家畜生産が急速に伸びている。村々から都市へ移住した少女達にはキリム作りが教えられている。キリムを織る少女たちは月に300新トルコリラ(約2万9千円)の収入を得ている。チュクルジャのザクロ、シェムディンリのハチミツが地域にお金をもたらしている。まだ産業化はしていないが、農業と家畜生産での生産増大がハッキャーリで生活している人々の所得水準の向上をもたらし始めた状態だ。
物事の筆頭にくるのは生産だ。生産は増大する。生産の増大は、失業者の減少と住民のより多くの収入の確保をもたらす...
ハッキャーリの渓谷や山岳地帯を人々は手に武器を持って衝突するのではなく、農業をするため、家畜を育てるために歩き回ることになる... そしてそのとき、ハッキャーリから「よりよいニュース」がやって来る。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:12299 )