Semih Idiz コラム:来年の採決も微妙な米のアルメニア人大虐殺法案
2007年11月01日付 Milliyet 紙

人々の目が北イラクに関連した事態の進展に釘付けになっている。しかし、周囲を今度はすっかり混乱させた、アメリカ(連邦)議会の106号アルメニア人大虐殺法案に関する最新の動向も見逃してはならない。この法案が今年下院で採決される可能性は先週なくなった。法案の議会通過を推し進めていた4人の下院議員がナンシー・ペロシ議長に書簡を送り、法案を今年の本会議で採決にかけることを断念したいと申し出たことがこのことを決定づけた。
今年の採決を断念した理由はといえば、投票にかけた場合、法案が否決される可能性が確実となったからだ。これも、もちろん、ブッシュ政権の圧力と、トルコの毅然とした態度と、アメリカ在住のトルコ人の大きな働きかけの賜物だろう。

■傷を負った民主党

法案を擁護した人々は、条文が本会議で否決されることが自分たちにとって最悪の結果であることを知っている。こうした局面を迎えて、法案の来年の承認のために努力していくことを明らかにしている。しかし、それもまた確実ではない。というのも、カリフォルニア州選出の共和党議員であるデヴィン・ヌネスがメディアに語ったことが正しければ、この法案が来年協議事項に上る可能性もまたほとんどない。ヌネスと彼と同じ様に考える人々は、民主党は来年同じ問題を取り上げることを控えるだろうと確信している。
この法案への支持が民主党と(同党出身の)ナンシー・ペロシ下院議長にとって望まない政治的コストとなったことは確実だ。アメリカではアルメニア人大虐殺ではなく、民主党が国内で退潮している時代に、どうしてトルコとの極めて重要な関係をわざわざ壊そうとしたのかが議論された。

■アルメニアでは失望感

(民主党は)ブッシュ大統領をイラク戦争の敗北に導くためにこの法案をこのようなタイミングで提案したのだという見方もまた、民主党にとっては痛手となった。
一方で、トルコ‐アメリカ関係をすっかりピリピリさせたこの出来事の最も興味深い側面の1つがアルメニアの態度であった。大統領、首相、それに外相が事態に介入したアルメニア政府は、この法案の通過のために多大な努力をした。このこともあって、現状に満足することは不可能だ。
実際、ヴァルタン・オスカニャン外相は失望を数日前にぶちまけた。ロイターとのインタビューでペロシが法案を今年再度採決にかけることに対する期待感を示しながら、「トルコ-アメリカ関係がこの法案を廃案にできないほどもろいものであることに驚いた」という表現を用いた。

■期待とは裏腹の状況

オスカニャンの態度は、アルメニア政府の全ての計画が法案が今回必ず承認されるという確信に基づいて立てられていたことを示すものである。来年行われる予定の大統領選挙に向けて準備の進むアルメニアでは、政府もコチャルヤン大統領もこの向きで政治的期待を育んでいたことは明らかだ。
しかし状況は期待とは裏腹となった。法案が承認される可能性はひとまず消滅した。今後どうなるかは議論が必要だ。他方で、もちろん、トルコをこれにより(=法案承認で)望む形でコントロールするという野望もまた水泡に帰した。前にも申し上げたが、アルメニアには取るべきより建設的な方法があるはずだ。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:12325 )