Derya Sazak コラム:越境軍事作戦に事実上のゴーサイン - 土米首脳会談
2007年11月06日付 Milliyet 紙

ホワイトハウスでのブッシュ-エルドアン首脳会談は、トルコによる北イラクのクルド労働者党(PKK)キャンプに向けた「越境」軍事作戦に対し(アメリカが)「情報」支援を行うことで合意に達した。
エルドアン首相は、国民記者クラブの開いた記者会見で、トルコがPKKテロの抑止について国際法に基づく権限を行使することを明確な言葉で表明した。エルドアンは、予定されている軍事作戦の性質を明らかにする一方で、「我々は戦争をしたがっている訳ではない。軍事作戦を行う決議を受けたのだ。どういう形になるかは我が国の参謀本部と治安維持部門が明らかにするだろう。ターゲットはテロ組織PKKであり、作戦により南東アナトリアの同胞ならびに北イラクの民間人は被害を受けないだろう」と述べた。

■エルドアンは満足

エルドアンがこれほどきっぱりと話したため、サロンにいたトルコの新聞記者達からは「ホワイトハウスは軍事作戦にイエスと言ったのか?」という質問の声が上がった。首相も、「越境軍事作戦」を行う権限はトルコ大国民議会から得ているが、ブッシュ大統領とはテロ対策についての意見が一致したと述べた。
ホワイトハウスでの代表団同士の会談に参加した副参謀長のエルギン・サイグン大佐もまた、アメリカ側のカウンターパートであり、イラク駐留米軍を指揮しているペトラウス将軍と軍事的協議、情報収集、技術の各レベルで情報交換を続けていくと発表した。
エルドアンはこのプロセスを「情報」の売り買いと定義する一方で、ホワイトハウスでの「歴史的な首脳会談」を満足して終えたことを明らかにした。首相のこの安堵感は、アメリカがトルコが予定している軍事作戦の障害とはならないだろう、あるいはブッシュが北イラクのバルザーニ政権とイラク中央政府に不快感を与えない形でのPKKに向けた空からの軍事作戦を承諾した、という見方を生んだ。エルドアン首相もまた「青信号はともったのか?」という質問に対し、トルコはPKKに対して国土の一体性と公共の秩序、国民の生命を守るために国際法から生じた権利を行使すると語った。

■ブッシュと差し向かいに1時間

ホワイトハウスでの1時間近い会談の間、エルドアン首相とブッシュ大統領は互いに顔を突き合わせた。エルドアンは、アリ・ババジャン外相を伴って会議場へと入った。
代表団は遅れて会場に呼ばれた。

■カウントダウン始まる

エルドアン首相の昨日(5日)のホワイトハウスでの首脳会談後、トルコのPKKをターゲットとする「越境」軍事作戦に対する障害はなくなった。アメリカは、トルコと一緒に作戦には加わらないが、情報は提供する。
トルコは、主に空からテロ組織PKKの北イラクとカンディル山にあるキャンプを攻撃する。包括的な陸上からの軍事作戦は行われない。エルドアンの記者会見後、「アメリカはトルコによる北イラクへの軍事作戦に理解を示していない。ブッシュはやめてくれ、というだろう」というような観測はほとんど消え去った。
エルドアンは、安堵感を胸にワシントンを立つ。トルコとアメリカの間の軍事チャネルもオンの状態だ。
(記者団は)エルドアン首相が国民記者クラブ(の記者会見)を後にする際、冬という気候条件の作戦への影響を尋ねた。「雪が降る前に軍事作戦は始まるのか?」と。
首相は「雪が降り始めたとしても(関係ない)」と言った。

■パキスタン問題の影響

ホワイトハウスでの首脳会談を前にパキスタンが混乱状態に陥り、ムシャラフ大統領が非常事態を宣言して反対勢力の押さえ込みに努めたことは、アメリカ政府にとってみれば悩ましい状態だった。これほど混沌とした状況の中で、北イラクが混乱することもまたブッシュ政権にとっては不都合なこととなる可能性があった。しかしエルドアン首相は、911事件ののちにトルコが「テロとの戦い」の点からアフガニスタンにおいてアメリカに行った支援や、イラクの正常化におけるトルコの貢献を訴え、PKKテロの抑止を求める世論の期待を伝えた。そして求めていた支援を得た。
ブッシュはPKKをイラク、トルコとアメリカに対する「共通の敵」と宣言した。
すでに軍事作戦のカウントダウンが始まっている。

Tweet
シェア


現地の新聞はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:12368 )