Taha Akyol コラム:アメリカ訪問は成功なのか?
2007年11月07日付 Milliyet 紙

この問題に国内政治という観点から解答を探すのは間違いである。何故なら、エルドアン首相を支持する方々は肯定的に、支持しない方々は否定的に捉えるでしょうから。
正しい見方は、問題が何であるのか、そして、アメリカ訪問で下された諸々の決定事項が適用される段になってどのような意味を持つことになるのかをよくよく吟味することだ。
問題が何かという点については、ヒルミ・オズキョク大将が、我々の同僚であるフィクレト・ビラに対して語った中で明らかになった。「越境軍事作戦によってPKKをせん滅できはしない・・・。」
現に、1999年に3万の兵力によって実施された各種の軍事作戦によって[PKKは]せん滅できなかった。しかし、越境作戦は、PKKとの武装闘争において「ふさわしい形で」行使されねばならない要素である。
「ふさわしい形」とは、まず、作戦が、今日の世界に「侵攻」だというイメージを与えてしまうような、そしてトルコ軍が地域の諸勢力と紛争に及ばざるをえなくなり一種のトルコ―クルド戦争という結果に繋がるような、大規模な軍事行動にならないようにすることである。それは、トルコに軍事的能力がないからではなく、政治上の重大な誤りとなってしまいかねないからである!

■技術的情報とは?
アメリカ自身は、アフガニスタンとパキスタンの山岳部でアル・カーイダとタリバーンのテロの根を絶やすことはできなかった。衛星情報技術を総動員したにもかかわらずである!
それでもやはり、アメリカから現代的な技術に基づいた情報を得ることは重要である。
首相と共にアメリカへ向かった副参謀長エルギン・サイグン大将と、アメリカの同職ジェームス・カートライト[海兵隊]大将が即座に実務に取り掛かったことは、信頼感を与えるような第一歩である。情報および作戦実務の協同体制にはイラク駐留アメリカ軍司令官のデーヴィッド・ペトロース大将も参加する予定である。
退役した将軍ではなく、作戦面での権限をもった司令官が実務に当たることが、今回の件の要である。[今後]アメリカ側に弛みがあれば、それには誰よりも先にトルコの参謀本部が気付くことになるはずである。アメリカは、同支援を、終始貫徹して実施することが必要となろう。
とはいえ、大規模な越境軍事行動がPKKを葬るどころか、死者を増やすばかりであるのと同じく、目下の情報に基づいた拠点[攻撃]作戦でPKKが一掃されることはないだろうし、死者は増えていくと予想される。

■エスニック・ナショナリズムとは?
エスニック・ナショナリズムに基づいたテロは、単なる武装闘争ではない。つまり、[テロの背景にある]様々な政治的、社会的諸要因は、どんな場合であっても、見過ごされるべきではない。
政治[的要因]について言えば、アメリカがPKKに対してより一貫した態度をとることが重要である。ブッシュの口から、単なる「テロ組織」ではなく「敵」であると宣言されたことは、政治的にはこの上なく重要な新展開である。
PKKがアメリカにとっても敵だとすれば、無論いまにアメリカが自らのイラクにおける親友であるバルザーニーをどのように処するのか、を我々は目のあたりにすることになろう!
PKKに対してアメリカがより一貫した政治的態度をとること、トルコ軍が実施する予定の軍事作戦に対して情報支援を提供すること、軍の上級レベルで協同体制が確立されたこと――これらは明らかに肯定的なものだ・・・。[これらは]訪問の成果部分に記されるべき事柄である。
しかしこれらは全て「第一歩」であり、十分な判断を下すためには今後の足取りを見ていかねばならない。アメリカのこの件に対する態度によって、土米関係に関する疑念は、増えもしようし、減りもしよう。
最も重要な問題は、PKKが「我々の中にある」エスニック・ナショナリズムによって培われてきたということ、である。エスニック・ナショナリズムは、一体どうすれば影響力のない状態にできるのだろうか?我々が実際に解答を探さねばならぬ問題はこちらである!

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( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:12373 )