Hasan Cemal コラム:今こそ「司令官殿、ご命令を」姿勢からの脱却を!
2007年11月09日付 Milliyet 紙

(ミッリエト紙コラムニストの)フィクレト・ビラが本紙で展開した、退役司令官とクルド労働者党(PKK)の連載は興味深い。歴代の参謀総長と軍の司令官が、これまでのいくつかの誤ちを明らかにする一方で、ところどころ限定的ではあるが告白に及んでいる。
いい、素晴らしいことだと言ってやり過ごしておいていいのだろうか?
そうは思わない。
正しいことは議論することである。
詳しく取り調べることである。
これらの告白と反省の見地から、国の今日の公の政策を吟味することである。
このようなプロセスにこれまでの首相たちも巻き込むことである。
可能ならば、責任を問うことである。
なぜ?
なぜなら、特にこの25年間にPKKが招いた火難は、我が国に物質的、精神的観点から多大な代償を負わせたからだ。トルコの発展に費やされるはずの資源は残念ながら底なしの井戸に消えてなくなった。
そしてその過程はまだ終わってはいない。
血と涙はいまだ流れ続けている。
まさにこのためである:
もし過去から教訓を引き出すことを重視しているのであれば、退役司令官の告白をよく精査し、議論することに意味があるのは。
なぜなら南東部問題、あるいはクルド問題と呼ぼうが、単にテロ問題とだけ言って済ませようが、この問題は昔から軍の“専売特許”の問題であったという現実を忘れてはならないからだ。
軍は、この問題を自分の手で国内に封じ込め、(選挙により)選ばれた政府を可能な限りこの問題のかやの外に置くことに努めてきた。
さらに、官僚機構の文民側からのいくつかの働きかけに対しても、「この問題に関わるな!」といって門戸を閉ざし続けた。
退役司令官の本紙でのいくつかの告白は、このために重要である。クルド問題とPKKが、トルコを苦しめ、苦難を与え続けているならば、この問題での過ちの最大の原因は軍にある。
選挙で選ばれた文民や首相の実務上の「司令官殿、ご命令を!」という姿勢もまた過ちの定型化をもたらしたことは疑問の余地がない。
クルド問題に関連して、今日まで、オザル首相を幾分除けば、歴代首相のほぼ全員が軍がお墨付きを与えた国家政策を遍く実行してきた。(首相たちは)閉ざされた扉の後で行っていた「軍批判」を実行するために必要なことを、政権の座に着いているときにすることを避けていた。
話を移そう。
退役司令官たちの語ったことを読んだとき、私はある点に特に注目した。いくつかの誤りを告白していたが、やはり問題の根幹をとらえられてはいなかった。
クルド人とクルド語をついに受け入れた。
しかしいまだに問題の名前をクルド問題とすることができずにいた。この問題がクルド人のアイデンティティや文化の「否定」に端を発していることもまた理解できていなかった。
さらにある人物は、クルド人アイデンティティについて言及することをいまだに国賊行為だとみなしているほどだった。
他の人物も、(1980年)9月12日軍事政権によるディヤルバクル軍事刑務所の弾圧は組織的ではなかったといまだに主張しさえしていた。
問題が司令官たちの頭にいまだに(アイデンティティや文化の問題ではなくむしろ)テロ問題として残っていることが見て取れる。棒(=力、武器)で解決できるであろうという誤った考えが続いている。
次のこともまた明白であった:
トルコを民主的、法治国家の枠の中に据え置く“ゲームプラン”は彼らの頭にはほとんどなかった。その代わりに「アメリカやEUは我々を分割しようとしている」という言い古された文句に込められた欲求に関心を集中させていた。
アメリカと、あるいはEUと衝突してトルコはどこへ行けるというのか。このような衝突コースは、トルコを分割のリスクや不安定化のリスクにより大きくさらすことにならないかという疑問は、退役司令官たちの頭にはほとんどなかった。
こうした点において、ヒルミ・オズキョク将軍はまた違った立ち位置にいる。オズキョク将軍は、参謀本部に奉職していたときにも自身が(他の人物とは)異なる視点を持っていることを周りに知らしめていた。例えばPKKの無力化において、トルコがEU加盟を目指すことの重要性に幾度となく言及していた。
簡潔にこう言えるだろう:
退役司令官たちの今回の発言が、軍内部においてもクルド問題とPKK問題における過去と将来の分析の契機となることを願う。
国内の軍人・文民の共通プラットフォームにおいても、過去と将来の議論がなされることを祈念する。
最後の願いはと言えば:
エルドアン政権が政治的イニシアチブを行使し、アメリカ、EU、北イラクのバランスにも気を配りながら、多面的な「ゲームプラン」を一国も早く議論の俎上に乗せることである。
機はまさに今熟したところだ。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:12425 )