生まれること無き胎児たち:イランの違法中絶事情
2007年11月11日付 Jam-e Jam 紙

【社会部:マストゥーレ・バラーダラーン・ナスィーリー】タブーであるとして、口にすることがはばかられる話題というのものがある。たとえ口にされたり報道されたりすることがあっても、オブラートに包んだ言い方で一般的な議論がなされるばかりで、問題の重要性が理解されることは少ない。医師協会会長のシャハーボッディーン・サドル博士が国際産婦人科医会議において、「国内において行われている不衛生な中絶が、未だに母親や子どもの生命を脅かしている」と語ったような、中絶に関する話題も、まさにそのような話題の一つである。

 中絶についての統計は存在しておらず、その数は知られていない。当然ながら、この問題は我々の文化や宗教において容認されてはおらず、忌むべき行いとみなされている。しかし、いずれにせよ非公式の統計や、我々ジャーナリストが言うところの情報筋からの情報や伝聞によると、不衛生な秘密の診療所で中絶が行われており、母親には〔中絶が引き起こす可能性についての〕病気や危険が伝えられず、暴利を追求する悪徳業者が状況を悪用するなど、問題を声に出して明らかにすることがタブーとされているがゆえに解決への道が閉ざされてしまった、そういう危険な状況が存在しているという。

 政府や公式筋は現在に至るまで、国内で行われている非公式かつ不法な中絶の方法・種類・件数について、いかなる統計も提供していない。過去の非公式な統計では、年間8万件の中絶があったという統計が出ているが、これはイブン・スィーナー研究所の医療倫理委員会メンバーが3年前、ISNA〔イラン学生通信〕に対して語った数値である。しかし当時、この統計は否定されている。

 保健・医療教育省家庭公衆健康局の元総局長もまた、2年前に記者会見で、一時間に9人、一日に221人、一年に約9万人の胎児の中絶が、国内で合法または非合法的に行われていると述べたことがあるが、この統計の正確性についても、現在保健省において詳しい調査がなされないままとなっている。しかし現実はこうである。あなたがこの記事を読んでいるまさに今、多くの産婦人科の診察室では、また一部では地下で、数多くの望まれない胎児の中絶が非合法に行われており、関係当局は中絶が行われている状況を全く監督していないのである。

つづく‥‥

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( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:12461 )