クルド語禁止が再燃 -嘆願書28行中、45文字が反政府的
2007年11月20日付 Radikal 紙

クルド語の文字Q、X、Wへの、トルコの検察官らの異常なまでの嫌悪感が、言語禁止にまで発展した。アルナク氏が2か所で訴えられることになった「クルド語の請願書」は、民主市民党(DTP)解党の論告にも引き合いに出されている。

マフムト・アルナク民主市民党元カルス県支部長が、タイイプ・エルドアン首相にあてたクルド語の請願書は3つの裁判を引き起こすことになった。アルナク氏については、1928年の文字改革の結果できた法律に反したという理由によりアンカラで、また政党法違反という理由によりカルスで起訴された。クルド語の請願書は、最高裁判所検事局がDTP解散を求めて行った起訴の141の理由の一つとなっている。検事局はその理由のなかで、「請願書は社会を挑発し、分断し、緊張状態におくものである。また国民を扇動して、テロ組織の目的に相通ずる。」と述べた。

アルナク氏は、二月にエルドアン首相にカルス問題について述べた請願書を送った。返答が来ないままに請願書をクルド語に訳し、1月5日に再び送った。アルナク氏は自らの声をエルドアン首相に届けることができなかったが、裁判所がそれを見過ごすことはなかった。1928年に制定された1353号付「トルコ語文字使用に関する法」に反するという理由で、トルコ刑法(TCK)第222条により2ヶ月から6ヶ月の禁錮刑を求め、アンカラ第四地方裁判所に起訴されることとなった。アルナク氏の請願書に対して2度目の「返答」がカルス刑事裁判所から来ることとなった。裁判所では政党法第81条に違反し、また「トルコにマイノリティーが存在することを主張し、トルコ語以外の言語でプロパガンダをおこなった」といった理由で、アルナク氏にさらなる訴えが起こされた。

請願書の不運はこれだけではなかった。最高裁判所検事局は、民主市民党解散に関する論告で、請願書を理由にした。論告ではカルスでの起訴を指摘し、請願書は「社会を挑発し、分断するもので、また緊張状態に置くものである。また国民を互いに挑発させようとするもので、これはテロ組織の目的に一致する。」と主張した。

アルナク氏は請願書を、カルス問題へ目を向けてもらい、クルド語にダブルスタンダードが課されていることを強調するために送ったものだと明らかにして、以下のように述べた。「検事は政治家のような態度だった。検事が新たに持ち出した考え方のために、こうした悲劇が起こっているのだ。検事の考え方はもう古い、それは非難されるべき考え方であり、貧しい考え方である。私はこの検事に同情します。」

■ 禁止はトルコ語だけのために
アルナク氏に関して、「トルコ語文字使用に関する法」に反するとしてなされた起訴は、ある議論も同時にもたらした。文字改革によってアラビア文字の使用を禁止するために出されたこの法律は、国語たるトルコ語において、決められた29文字以外の文字使用は禁止されることを条文に盛り込んでいる。しかしながらアルナク氏の請願書はクルド語である。
ガーズィー大学法学部のイッゼト・オズゲンチ教授はこの状況を以下のように総括している。「人は英語を書くが、英語にはwの文字がある。ドイツ語を書いてもウムラウト付のaという文字がある。これらはトルコ語のアルファベットの文字ではない。文章をドイツ語や英語で書くならば、その言語が必要とする文字を使用しても、刑法の観点から、何ら責任問題は生じない。ここで、特に思い出していただきたいのは以下のことである。認めようが認めまいがそれはべつの問題だが、トルコ刑法の第222条では、トルコ語を使用するとき決められた文字を使用しないことは、刑法による制裁の対象であるということである。トルコ語を書くとき、たとえば、「yakup」を「yaqup」と書くなら「şov」という単語を「show」と書くならば、処罰もありうるということである。」
アルナク氏は1353号付の法律の唯一の犠牲者ではない。以下のように以前にもいくつかの起訴が行われている。
■ディヤルバクル市長オスマン・バイデミル氏に対し、新年のカードにクルド語で「新年おめでとう」と書かれた件、クルド語のパンフレットが作られた件、ある祭りでクルド語で「虹色で会いましょう」と書かれた件、第7回ディヤルバクル芸術文化祭で、クルド語で招待状が印刷された件など。
■「多言語で行政を行った」という理由で解任された民主市民党のスル市市長アブドゥッラー・デミルバシュ氏に対し、臓器提供キャンペーンでクルド語のスローガンがあったこと。
■テヴン放送のメフディ・タンルクル社長が、ディヤルバクルの検事ムアメル・オズジャン氏をクルド語で非難する発表を行ったこと。
■ クルド語で「Navenda Çand ü Hunera Botan」と書かれたプレートがボタン芸術文化センターに掲げられたこと。
■ノールーズ(クルドの新年)の横断幕に、民主市民党のドウバヤズィット市支部長ダルハン・カヤ氏と元スィイルト県支部長ムラト・アブジュ氏がクルド語の文章とwの文字を使ったこと。

Tweet
シェア


現地の新聞はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:大田垣綾子 )
( 記事ID:12488 )