Fikret Bila コラム:PKKの主張と重なるクルド会議報告書(Milliyet紙)
2007年01月17日付 Milliyet 紙

アンカラで2日間にわたって開かれた「トルコはその平和を求める」と題する“クルド会議”の最終報告書に示された見解は、クルド労働者党(PKK)の方針に近いものに留まった。参加者の満場一致で承認されたことが明らかにされた報告書は、方法、内容の両面でPKKの主張や要求と重なっている。

■政治的な要求

最終報告書に記された10項目から成る「政治的提言」は、PKKとその方針を擁護する政党・組織が掲げている要求と軌を一にしている。
1- 報告書では、(クルド)問題に「暴力とテロリズムの問題」というレッテルを張ることをやめるよう求めている。これはPKKのアプローチである。一般にテロ組織は、問題を「テロ問題」としてではなく「政治問題」とみなし、テロの原因や理由として説明する。テロ組織には政治的な標的があるものだ。
2- 武力を伴う衝突の「相互による」即時停止を求めている。会議はPKKに武器とテロの放棄の呼び掛けをしておらず、(やろうと思っても)できていない。トルコ国軍とPKKに同時に「武器を放棄せよ」と言っている。これもまたPKKの主張だ。
3- 民族政党と議員を求めている。この要求もPKKの政治化に向けた働きかけの一翼を成している。
4- 新しい憲法を求めている。会議では新憲法に何を盛り込んでほしいかは明らかにされていない。一方PKKは、新憲法(制定)に向けた準備と、新憲法で「トルコ民族とクルド民族」が国の創設者たる2つの民族であることを明文化するよう求めている。
5- 政治的な恩赦を求めている。PKKもアブドゥッラー・オジャランを含む恩赦を求めていることで知られている。
6- 監視員制度(※)の廃止を求めている。この要求もまたPKKのものであることが知られている。

■経済的な要求

経済的な要求の中では、地域の天然資源が地域当局によって利用されることを提案している。この提案は、その中に少なくとも自治権(の要求)を含んだ提案である。中央集権体制や予算・財政の一体性、特定の歳入を特定の歳出のために保持できないようにする原則に反する連邦体制に近い提案であることも明らかである。
「社会的、文化的」要求の中ではあるが、クルド語の公用語化を間接的な表現で求めている。「多言語によるサービス提供と政治活動」という言葉で説明されたこの要求は政治的な性質を帯びている。

■「平和を実現し損ねる」

報告書の最後に記された「20世紀の最初に共和国が建国されたときに実現に失敗した平和を新たな世紀の最初に実現し損なわないようにしよう」という表現は、会議の参加者がトルコ建国の原則と哲学に反対していることを表している。民族的な観点から出されたこの反論の矛先が、トルコ共和国の民族観と中央集権体制にあることは明らかだ。会議が「2つの民族による事実上の連邦」国家体制を支持しているということができるが、この立場はPKKの方針と近い。
アブドゥッラー・オジャランが(収監されている)イムラル島での発言で「連邦制」を否定しながら「中央集権的体制」の枠内で要求したのは、トルコにとっては事実上の連邦制、中東地域にとっては国家連合体制という構想である。
国が中央集権体制の中で「個々人の権利と文化的権利」を行使するという方針を保っていることを鑑みれば、会議はPKKの要求を繰り返し、問題を「片側の立場に立って」とらえたということができる。


※監視員制度:1985年に始まった村落監視員制度。参考:ウィキペディア「Gecici Koy Korucusu」 http://tr.wikipedia.org/wiki/Ge%C3%A7ici_K%C3%B6y_Korucusu(トルコ語)

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:4389 )