Taha Akyol コラム:トルコのアイデンティティーを考察する
2007年12月01日付 Milliyet 紙

 サバンジュ大学のアリー・チャルクオール教授とエルシン・カラユジュオール教授による「2007年総選挙」の考察は、総選挙以降におけるトルコの考察を反映している。私はまず「アイデンティティー」の項を見た。何故なら、トルコにとって最も重要な問題だからだ。
 この問題をより大きな苦しみへの契機とすることなしに、民主主義の中で我々が乗り越えることが必要だ。
 調査によると、4280万人の有権者のうち535万が「クルド語を話す人々」であり、人口の12%に相当する…民主市民党(DTP)所属で、今回無所属で立候補した人々の得た票は170万票にすぎない!
 以下のことが言える:クルド分離独立主義者の運動は看過しえぬ大衆的基盤を保持している、しかしクルド人のトルコ国民の大部分が支持している訳ではない!

■小資産家がクルド主義である
 調査の非常に重要な点は、DTPに投票した有権者の社会的背景である。DTPは、「最下層の社会的位置」からはそれほど票を得ていない:公正発展党(AKP)に投じられた100票のうち7.8票が「最下層」からである。共和人民党(CHP)はこの層から7.3票を得ている。
 DTPの無所属立候補者達が得た、100票中、わずか5.9票が「最下層」からのものである。なぜなら、この階層において最優先されるのは「職とパン」であって、「アイデンティティー」ではないのだ!
 事実、「社会的階層」の観点から第2階層に目を転じると、DTPの得票においてこの階層の占める割合は20.6%に跳ね上がる!第3階層は35.3%にもなるのだ!
 以下のことが言える:開発はエスニックなナショナリズムを育てているのだ!
 これは理論にも適合している。
 しかし、これもまた理論に適合していることだが、有権者の社会的地位がもう少し上昇すると、DTPの票も減少し始める。結局、社会的階層の第4層に入ると、DTPの得票は26.5%に減少する。第5層では8.8%にまで落ちるのだ!
 最上層においては、統計的に殆ど皆無といえる状況だ!
 よって、クルド民族主義は、「貧者の運動」ではない、と言える!「中の下」の階層の運動であり、「小ブルジョワのナショナリズム」である。そして、上部の階層に向かうにつれてそれは後退していく。
「上位への運動性」や「経済的統合」が民族的ナショナリズムの灯を消すのに、かなり有効であることを示す論理に、この状況はかなり適している。

■軍への信頼!
 AKPは全得票のうち7%をアレヴィーから得たようだが、総選挙の後、微増がみられた。CHPの票においては20%がアレヴィーからである。AKPの票のうち15%が「クルド語使用者」からであり、総選挙後、微増した。CHPはというと、100票中僅か6.3票が「クルド語使用者」からで、総選挙後、微減したようだ。
 以下のことを明らかにしよう:健全な民主主義において、選挙時の投票に際し、アイデンティティーはある程度影響する、しかし、あらゆるアイデンティティーから票を得る大きな大衆政党が形成されることは社会的統合や民主主義を強化する。
 AKPは右派においてこの様相を呈している;左派においては、残念ながら、非常にこれは弱い!
「最重要問題」が問われる時、失業、テロ、大統領選挙、重油の価格、経済情勢、教育、といった点がまず挙げられる。反動妄想どころか、これは「セキュラーになった」社会の図である。
 そして、「政治文化」の共有ということがある。それはスンナ、アレヴィー、トルコ語、クルド語といった差異を問わない。「最も信頼しうる組織」として我々は軍を見ているのだ:トルコ全体では8.3%、アレヴィーで8%、クルド語話者でもこの割合はあまり変わらず7.2%。
 そこで結論:トルコは長い時間をかけることが出来れば、アイデンティティーの問題を解決できるはずなのだ。

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( 翻訳者:関口 陽子 )
( 記事ID:12578 )