ラップ音楽、取り締まりへ
2007年12月03日付 E'temad-e Melli 紙

【AFP:アリー・レザー・アミール=ハージェビー】イラン当局はテヘランでのラップ・ミュージシャンの活動に不快感を示しており、下品なことばを用いているとの理由から、この種のアーティストに対する取り締まりを始める予定であるという。

 イラン国営通信(IRNA)はこのように報じた上で、この問題に関して文化イスラーム指導省音楽監督・評価評議会の局長とインタビューを行っている。その中でモハンマド・ダシュトゴリー局長は次のように語っている。「この種の音楽それ自体に問題があるわけではない。ただ、下品なことばを用いていることが、不法であると認定される理由となっている」。

 同局長はさらに、一部のラップ・ミュージシャンがすでに〔不法な活動をしているとして〕特定されているとした上で、「治安維持軍公共地域局と連携して、この種の作品を制作している無認可のスタジオを取り締まる予定である。スタジオは封印され、ラップ・ミュージシャンも法的に対処されるだろう」と付け加える。

 イラン当局者らはこれまで幾度となく、イランの文化状況に不快感を示し、堕落した音楽を通じた文化的侵略に対して警告を発して、取り締まりを行ってきた。イラン当局は、文化的侵略によってイスラームの価値が損なわれると考えている。

 IRNAの報道によれば、モハンマド・ダシュトゴリー局長はさらに、「しかしこの種の取り締まりにも、効果という点で限度がある。というのも、ラップ・ミュージシャンらは自らの作品をインターネットを通じて流すなど、その他の方法を簡単に見つけてしまうからだ。この問題についても、対策を考えなくてはならない」と続ける。

 ラップ音楽は現在、テヘランの若者たちの間で広く普及している。この種の音楽では、イランの社会・政治状況などが歌詞の中で率直に歌われている。イランの法律によれば、音楽アルバムの制作やコンサートの開催には、文化イスラーム指導省の正式な許可が必要とされる。ラップ音楽は一種のアンダーグラウンドな現象・アートであると考えられているが、それにもかかわらずラップ音楽のアルバムは闇市場で広く流通している。この種の音楽は、ロサンゼルスのイラン人ラップ・ミュージシャンの作品からインスピレーションを得ている。

 イランはバッド・ヘジャーブ〔女性の好ましくない服装〕や音楽の密売に対する取り締まりを最近強化している。保守派はこの種の取り締まりを、道徳や純潔さを社会に普及させるものとして重視しているが、その一方で一部の中道穏健派からは、経済的な問題が社会的弱者を苦しめている中でこの種の取り締まりを行うことは誤っているとして、疑問・反対の声が上がっている。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:12611 )