ギリシャの映画監督コスタス・フェリス、イスタンブル入り
2007年01月22日付 Yeni Safak 紙

 イスタンブル、アテネ、アレクサンドリアを世界の三つの主要都市として挙げたギリシャの映画監督コスタス・フェリス氏は今日、『世界の中心で会う』という企画にデルヴィシュ・ザイム氏と共にコメンテーターとして招かれた。

ギリシャで最も有名な映画監督であるコスタス・フェリス氏は、『天国を待ちながら』の監督デルヴィシュ・ザイム氏と一緒に、『世界の中心で会う』という企画にコメンテーターとして招かれイスタンブルを訪れた。出演前に短い談話の時間を持ったフェリス氏は、イスタンブル、アテネ、アレクサンドリアを世界の三つの主要都市として見ているという。

イスタンブルは実際に世界の中心にある都市であると考えており、「イスタンブルにはどの側面から考えても追憶されるべき事柄があり、都市の石ころや土にも声が宿っていて色々なことを物語る」という。ついで、アテネとアレクサンドリアも自宅のように感じられる都市だとして挙げた。人類の最も重要な文化がこの三つの都市で築き上げられ、世界の中心と認識するこの三都市は、東西に橋を架けたという。ニューヨーク、ニューデリー、ロンドン、パリを含めて多くの都市に滞在した経験があるなかで、その三つの都市こそ自宅のように感じていて、これは自身が東方出身であることに関係している、と話した。

■エーゲ海両岸の共通の過去

フェリス氏はカイロでギリシャ系の家族に生まれた。家族と共に、子供のころキプロスへ、その後ギリシャに移住した。1983年に撮影した作品であり、バルカン半島の多様な文化構造について表した『レンベティコ』によって世界に名を轟かせた。その後は1988年から撮影をしておらず、現在は再び『海の娘エフテリヤ』という作品を準備している。この作品は、イズミルの小さな町で暮らすギリシャ人の少女の話である。現在はまだシナリオ作成中であり、近親者全員がギリシャへ行ったにも関わらず、エーゲ海のトルコ側に留まるエフテリヤの悲劇を通して、エーゲ海両岸が共に経験した過去を物語ることになるという。また、『ナイルの子供たち』というプロジェクトも進めているという。

■アタテュルクはレンベティカの音楽を禁止していた

1983年に自ら撮影した作品『レンベティコ』により、エミール・クストリッツア監督の『ロマ(ジプシー)達の時』も含めた多くの映画にインスピレーションを与えたという。フェリス氏は、自身の映画でその生活を語り、バルカン半島の多様な文化構造で重要な位置を占めるレンベティカの担い手と自身との間に特別なつながりがある、と考えている。

レンベティカの音楽は、20世紀初頭でギリシャにおいて「トルコ音楽」として禁じられ、同じ時期に新生のトルコ共和国でアタテュルクによって「ビザンツ音楽」として禁止されたという。しかし、どちらともつかないレンベティカの担い手は、実際はバルカン半島の多くの民衆の姿を総括した在り方であったという。

トルコのEU加盟を支持するフェリス氏は、カイロ、イスタンブル、アテネの間を旅行しようとした際、自身にビザやパスポートを要求されることを悲しんでいるという。1993年にはトルコの映画監督のアリ・オズゲンチュルクとゼキ・オクテの両氏がギリシャへ彼を訪問しようとした際にはビザを取得できず、国境の取り除かれた世界への憧れでいっぱいだ、と語った。

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( 翻訳者:堀ノ内夏子 )
( 記事ID:4421 )