Ekrem Dumanli コラム:適切な時期の意義ある訪米
2008年01月08日付 Zaman 紙

 トルコ‐米国間の関係は新たな段階に入った。「冬の只中に春の陽気」といったような光景だ。なぜなら、つい昨日まで、両国間には冷たい風が吹いていたことは周知だからだ。

 袋の事件(注)や(北イラクへの)攻撃認可の危機の後、一部の人々によれば、両国間の関係は完全に破壊されていた。米国人達がこれらの事件に激怒していると思った人々は、政府が実行した慎重な攻撃認可の政策をも批判し、責めた。そのように言う人々によると、トルコ‐米国間の関係に生じた亀裂はもはや決して修復出来ないほど大きいものであった。ワシントン訪問に際し新聞記者達の質問に答えたアブドゥッラー・ギュル大統領は、攻撃認可の後に生じた危機を一文で説明した。すなわち、「困った事態となり、両国はその影響を受けたが、今は新しい段階だ」と。

 ギュル大統領のこの認識について考えてみる必要がある。近頃行われた努力の結果、幾つかも障害が乗り越えられた。これには様々な理由がある。重要なのは以下の点である:トルコが自国の利益のために実行してきた政策と、米国の中東での経験、およびその経験にもとづいたやり方(政策)の間には、不一致がある。そうだ、ギュル大統領は文字通りこの表現を使用した;不一致。この言葉を口にするとき、ギュル大統領は、細かい点で違いがあるのかもしれない、と付け加えることを忘れない。

 誰が何と言おうとも、以下のことは確かである:ここ数ヶ月間、米国‐トルコ関係は、ここ数年のうちに生じた亀裂を忘れさせるほどに、距離を非常に縮めた。タイイプ・エルドアン首相が行ったワシントン訪問の際にも、この信号は実は発せられていた。ブッシュ大統領がPKKに言及した際、「彼らはイラクの敵であり、トルコの敵であり、米国の敵である。」と発言したことは、実は、新たな方向を指し示していたのだ。実際、米軍が制空権を握る地域で、トルコ軍は軍事行動をしたのだ。秘密情報の共有のお陰で明確な標的に正確な攻撃がなされた。長期間に渉る、そして様々な方向性から続けられた外交戦術は実を結び、テロ組織に対する大規模な軍事作戦が実行された。EU諸国、中東諸国そして米国は、トルコがテロとの闘いにおいてこのような作戦を実行することが正当であると一致して認めた。

 そして丁度今、アブドゥッラー・ギュルはワシントンにいる。このような重要な時期に行われる訪問を軽視することは正しくない;特に、トルコを過小評価する解釈を行うことは完全に間違いである。例えば、「これほど親密な関係を演出するのに、何を売ったんだ?」と述べることは、トルコをバカにしている。ギュル大統領もこの点に言及した。「この地域を熟知している国は我々だ。」と述べ、この発言をする際には大変な自信を示した。同様の自信は、首相にもある。ほんとうは皆になければならない。何故なら、我々が実際に辿ってきた歴史は、トルコに多くの経験を与えてくれているからだ。

 今回の会談で話題となりうる案件は、いずれもトルコが長年にわたって取り組んできたことだ。(トルコは)この地域ではイニシアチブを発揮している。イラン、シリア、ロシア、ギリシャ等、かつて深刻な対立関係にあった国々とも友好な関係を築いた。EU加盟に向けても前進を続けている。その間、米国との関係をトルコは軽視したことはない;ワシントンには絶えず代表団を送った。それらはトルコの立場を説明した。

 我々記者が、ギュル大統領に、訪米に関し幾つかの批判があることを尋ねると、驚いたという反応を見せた。例えば、訪米が、ブッシュ大統領のイスラエル訪問の直前であることが非難された;ギュルはこれがどういう意味だかわからない。このような訪問の直前に、トルコがこの地域に関する考えを述べるチャンスを得られたのだと思う、という。全くそのとおりだ。これは(このタイミングは)トルコにとってはチャンスだし、決して欠点ではない。会談が「ファーストフード」並みになるだろうという非難があると指摘されると、笑って、「まあ、見てみましょう」と言い、こう付け加えた:「恐らくハンバーガーをおごってくれますよ」

 冗談はさておき、近年における訪米を間近で見てきた一人として、以下の事実は自信を持って述べることができる:トルコは、手にした地位のお陰で、その発言が注目される国となった。そして近日中になされる上述の首脳会談は害とはならない;利益をもたらす。昨日まで、越境作戦のために「米国と我が国との関係を台無しにした」と発言した人々が今日、意味のない嫉妬を感じていることは(その結果、わけのわからないことを言うのは)、多いにありうることだ。しかし重要なのは、トルコが抱える問題にそれぞれの立場で責任を持つことである。

(注)袋の事件…2003年、北イラクのスレイマニエで、その地に展開していたトルコ軍特殊部隊兵士11名が、米軍により拘束され直後に開放された事件。拘束時に頭に袋をかぶせるなどの侮辱的行為があったとされ、米トルコ関係の悪化を招いた。

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( 翻訳者:関口 陽子 )
( 記事ID:12828 )