アフマディーネジャード大統領、マーザンダラーン州を突然訪問:ガス供給停止問題で対策を指示
2008年01月12日付 Jam-e Jam 紙

イランでガス供給停止・低下問題が発生して、今日で14日目を迎える。このような中、大統領は突然、この問題の中心地であるイラン北部マーザンダラーン州を訪問、問題の解決へ向けた努力が本格化している。

 本紙の報告によると、マフムード・アフマディーネジャード大統領は昨日金曜日、突然マーザンダラーン州の中心都市サーリーを訪れた。サーリーはここ最近、ガスの供給停止・低下問題、ならびにナーンの不足・価格高騰といった派生的問題に直面している代表的な都市である。

 国の行政府の長がガス問題に直面するサーリーを訪問したことは、この問題の緊急性、及び石油省による対策の失敗を表す一方、同問題の解決へ向けた国の努力が続けられ、本格化していることを示している。

 各通信社が報じたところによると、大統領はサーリー市各地を密かに視察し、問題の解決へ向けて指示を出した。

 アフマディーネジャード大統領はその中で、技術的な問題を視野に入れつつ、イラン国内の可能なあらゆる地点からガスをイラン北部諸州に引くよう指示した。

 同大統領はまた、北部諸州の市民らの忍耐に謝意を表明した上で、「寒波は全国的な問題である。史上例を見ないほどのこの寒波はまったく予期しなかったものであり、このような問題が発生してしまったのも、このことが原因である」と述べた。

 イラン国営通信の報道によると、大統領はマーザンダラーン、ギーラーン、及びゴレスターンの各州合同による不測事態対策会議に出席した後、記者団を前に、国の3分の2の地域で気温が目に見えて低下していると指摘し、さらに「今し方、技術的な問題を視野に入れつつ、イラン国内の可能なあらゆる地点からガスを北部諸州に引くよう指示したところである」と語った。

 大統領はまた、大気の状態は史上例を見ないものであり、さらに技術的な問題やトルクメニスタンからのガスの輸出停止問題などが加わり、今あるような問題がこの地域で発生してしまったと述べた。

 アフマディーネジャード大統領はまた、トルクメニスタンからのガス供給停止問題を政治問題にしてはならないと述べ、このことについて将来説明を行う予定だとした。大統領はその上で、「イランのガスは信頼のおける場所に接続される必要がある」とし、さらに「現在、技術的・非技術的な問題が発生した場合に、このような問題に直面することのないよう、マシュハド方面から北部諸州に向かうガスのパイプラインを計画しているところだ」と述べた。

 大統領はまた、国民の6割から7割がガスの恩恵を享受しているとした上で、「電気と同じように、より多くの安心を手に入れるためには、国の各地域で利用されているガスは複数の供給源に接続さている必要がある」と述べ、さらに「北部諸州の市民は零下13度の寒さを、あまり経験したことはない。このことも、彼らが多くの困難に耐えなければならない原因となっている」と指摘した。

 「多くの市民が家庭用のガスを享受しているため、その他の暖房機器を手放したり、使わずに放置したりしている。このこともまた、問題を倍加させている」。大統領はこう続け、さらに〔ガス以外の〕暖房機器を〔市民に〕提供するよう指示を出したと語った。

 メフル通信によると、大統領は北部諸州の市民が直面している2週間に及ぶガス停止問題について、同問題は今度の月曜日あるいは火曜日にも解決されれるとの見通しを示したという。

〔中略〕

 ガスの供給停止、50万世帯に影響

 他方、ガス供給停止問題に関してはっきりとした情報が欠如しているために、支援機関ですら、どの地域に住むどれくらいの数の市民が、この問題に直面しているのか正確には分からないといった状況に陥っている。

 内務相は、ガス問題に直面している市民の数は30万世帯であるとしているが、その一方でガス国営公社は50万世帯であると指摘している。少なくとも関係職員らに対して否定的な情報を過少に伝えるといったことのないよう、〔政府内の〕友人たちにはお願いしたいものだ。

 トルクメニスタンに関する最新情報

 本紙記者が得た情報によると、イラン側からの努力にもかかわらず、トルクメニスタンは依然として、イランへのガスの供給を再開する意図はないようだ。

 トルクメニスタンは外交ルートを通じて、ガス供給再開は彼らが主張する100万BTU(British thermal unit= 英熱量)当たり150ドルという価格を受け入れるか否かにかかっていることを、イラン側に伝えている。この価格は従来のトルクメニスタンからイランへのガス輸出価格の2倍に当たる。

 イラン側代表団は当然のように、トルクメニスタンの主張を受け入れておらず、そのため両国の関係もこの問題をめぐって、ある程度冷却化している。大統領もこの問題について近くイラン国民に説明を行うとしている。

 本紙記者が得た情報によると、石油省と外務省の幹部らが出席して木曜日に石油省内で行われた会議の中で、イラン側はトルクメニスタンの過大な要求をきっぱりと拒絶し、北部諸州が直面するガスの不足分については国内資源で補う方向で、必要とされる投資を今後行うことが決定したという。

 このように、トルクメニスタンは我が国に対して約束を反故し、危機を作り出したことに関して、イラン側の断固たる回答を覚悟しておくべきだろう。

 ナーンの価格、高騰

 全国、特に北部諸州でガスの供給が停止・低下したことは、燃料や小麦粉の不足を引き起こし、その結果一部のナーン屋は営業を停止する事態となっている。昨日ファールス通信が伝えたところによると、この問題はテヘランにも波及しているという。

 内務省や商業省、その他関係機関はこの緊急問題に危機感を強めており、ナーンの不足によって経済や社会に多大な損害が及ぼされる可能性があるという。それゆえ、この問題への対策は緊急かつ重大であり、特別の注意を払う必要があるだろう。

〔中略〕

 テヘランの状況は比較的安定

 テヘラン州ガス公社の代表は、テヘラン州におけるガスの供給・消費状況について、「通常通り」であるとして、「一部ガスの供給停止が散発的に見られるが、これは自然なことであり、解決に向かっている」と述べた。

 報道中央局の報道によると、ヤアグーブ・アリー・ホセインニヤー代表は今年の天候は寒く、テヘラン州では零下14度から19度にまで冷え込んでおり、フィールーズ・クーフでは零下20度にまでなっているとして、次のように語った。「木曜日には、テヘランでは史上最高の1億400万立方メートルのガスが消費された」。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:12880 )