ヨルダンでネットカフェ文化の拡大により自由な報道が増加
2008年01月12日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ ウェブサイト文化の拡大に伴いネットカフェで過ごすことが多数の若者たちの習慣に
■ ヨルダン:反抗的なウェブページ作成に必要なものはノートパソコンと水タバコのみ

2008年01月12日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【アンマン:本紙バッサーム・アル=バダーリーン】

 ヨルダンで新しいオンライン新聞の立ち上げを宣言するには、ノートパソコンとネットカフェの座席があって、ジャーナリストたちを水タバコに誘えば十分だ。

 ヨルダンでは現在2つのブームが起きている。1つ目は集団や性別を問わずネットカフェで過ごす文化であり、もう1つはインターネット上のオンライン新聞の刊行である。オンライン新聞は圧倒的な注目を浴び始めており、その影響力は数百万ディナールもの資金に支えられた国民的な大新聞をも凌ぐようになっている。

 2~3人のジャーナリスト仲間で水タバコを吸ったり、電話で連絡しあったり、携帯電話を通じて写真をやりとりすることによって、あっという間に記事が作られていく。アンマンにおいて報道の自由を探求する人々が攻勢をかけている新たなオンライン戦争は急速にかつ激しく展開している。…ジャーナリストたちは驚いて何が起こっているのか自問する。…大新聞の職業的レベルは低下しつつあり、刺激を求める読者を獲得するため週刊誌の真似をしている。…エリートや官僚、政治家や閣僚たちは、電話通信によって衛星テレビ局よりも早く数秒のうちにニュースや写真を配信するウェブサイト上で、彼らを喜ばせたり、怒らせたり、彼らに対する非難や中傷を取り上げたりする記事を、中毒的に読むようになっている。

 吹き荒れる影響はこれにとどまらない。ブログやオンライン・ジャーナリズムの普及に対して、立法は事態を収拾できずにいる。裁判所へはネット空間を通じて意見を述べたジャーナリストたちに対するデジタルな媒体をめぐる告訴が行われ始めた。一方、当局は交錯する政局、政府内の事情、治安情勢の中で、事態への対応についてかなり困惑しているようである。

 若いジャーナリストたちはこの簡素な手段によって、わずかな費用と手間で、今やヨルダンの市場で分割払いで売られているノートパソコンの入ったカバンを抱えて、大手ジャーナリズムや公式の報道機関と競合している。ヨルダンの読者は今や、次の日の新聞を待ったり、公式メディアのニュース番組を待ったりすることもなくなった。ミサイルのように発射される最新のオンラインニュースは刻々と国民に伝えられ、例えば自分の住んでいる地区の薬局で火事が起こっているというようなニュースが写真と共に瞬時に伝えられるのだ。何故なら電話やブルートゥースといった技術を使うことにより国民自身がサイトの特派員となっているからだ。

 当然、様々なオンラインニュースサイトでは他の新聞が報道しないようなことを報じている。「マラーヤー」という最新のニュースサイトの運営者であるナースィル・カムシュが述べているように、この領域において最も重要なことはそれが相互的であるということである。カムシュ氏は「ヨルダン国民は最早、ただニュースを読むだけということはできず、インターネット上で真相を明らかにして率直に意見を述べるというゲームに慣れ親しんでいるのだ。我々は反論であれ異説の提示であれ、また中立的意見の表明であれ、掲載された記事に対して国民が態度を明示する機会を与えている」と語った。

 また、「この相互的な領域は他の新聞や伝統的なメディア機関では提供できないものである。我々は経験によって、ヨルダン国民が自由を望んでいることを知った」と語った。オンライン・ジャーナリズムは実のところネットカフェを拠点やオフィスとして利用しており、こうしたネットカフェでより長い時間を過ごすことはヨルダン国民の文化から切り離せない一部分になっている。近年ではネットカフェは前例のない広がりを見せており、ネットカフェで情報のやり取りをするのが流行となっている。「マラーヤー」やこの分野の先駆けとなった「アムーン」のような主要なオンライン新聞も、もともとは首都アンマンのネットカフェの一つのテーブルとイスとノートパソコンから出発したものであった。

(後略)

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( 翻訳者:垣平浩明 )
( 記事ID:13041 )