政府、無制限の金貨供給に着手:狙いは金価格の抑制
2008年02月09日付 Jam-e Jam 紙

【経済部】世界的な金の価格上昇と、イラン国内市場における金貨及び金の価格の上昇に対して、政府は価格の統制へ向けた対策を講じ始めた。

 本紙記者の報告によると、世界の金価格は、ニューヨークやロンドンにある大規模な取引所において10日前から目を見張るほどの記録的な上昇を見せている。この記録的な価格上昇の転機となったのはバフマン月10日(1月30日)のことであり、世界の金価格を示す上でもっとも権威あるニューヨークの商品先物電子取引所ナイメックス(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)では、この日932ドル50セントという前例の無い価格が記録された。

 この上昇を受け、テヘラン市場においても金や種々の金貨の価格は記録的な値をつけた。8.33g純金製金貨は23万トマーン(約2万6千円)に、新デザイン金貨(イマーム・ホメイニーの肖像付)は21万1千トマーン(約2万4千円)、半金製硬貨は10万8千トマーン(約1万2千円)、4分の1金貨は6万トマーン(約7千円)にまで達した。世界の金価格の上昇の根本的要因として、大多数の専門家はアメリカ経済の混乱に端を発する、世界を巻き込んだ経済危機にあるとの見方を示している。

 〔ユーロなどの〕その他の信用通貨に対するドル貨幣の価値の下落、アメリカの貿易収支の赤字、予想される金利のさらなる引き下げ、相次ぐ金融危機、そして最後に原油価格の世界的な高騰といった諸要因が、世界経済の発展に影響を及ぼしており、その展望は機関投資家らにとって、見通しの効かない予測困難なものとなっている。

 これらのことが背景となって、こうした投資家らは資産を保全し、通貨価値の低下によって生じる損失を防ぐための、より安全な道へと向かう。そしてもっとも安全な道というのが、言うまでもなく、金の買取・備蓄なのである。こうして、世界の金市場では需給バランスが崩れ、需要に驚くほど傾いた状態にあるのである。そしてこのことこそ、金という貴金属の価格高騰を招いている根本的な原因となっているのである。

 経済の専門家の多くが、金の価格上昇が当分継続すると見ており、そのため市場はさらに大きな変動を予期しなければならないだろう。なぜならば、金の価格高騰の諸要因が、直ちに消えることは無いからである。

 政府の方策

 このような中、政府と中央銀行は市場の過熱化と需要増による価格の上昇を経験しつつある、ここ数日間の金市場における不均衡を是正するために、様々な方策を採り始めている。これらの方策は、世界市場の新たな情況と協調することで、価格の統制にある程度効果を上げることができるだろう。

 政府の方策は、二点に分けられる。一つは、市場に金を大量に供給することで精神的な衝撃を与えることである。このような方策の例として、政府職員へのノウルーズ用の賞与として金貨を支給するとの情報を流したことが挙げられる。この情報は、アリー・アフマディー教育相代行が発表したもので、〔政府当局によって〕非公式な形で一応否定されてはいるが、〔金の〕市場や価格に対して影響を及ぼし、金、とりわけ金貨に対する購買熱を、一定程度鎮めることに成功したことも事実である。しかしながら一部には、こうした情報が金貨市場の不安定化に影響を及ぼさなかったわけではないと見る向きもある。

 大量の金貨が特売に

 他方、中央銀行はバフマン月17日〔2月6日〕から毎日、カールゴシャーイー(救済)銀行にて、8.33g金貨の大量特別販売を行うと発表した。同行の広報が発表したところによると、連日行われるこの特売措置には期日が設定されておらず、金貨の供給は次の発表があるまで継続されるとのことである。カールゴシャーイー銀行の頭取もメフル通信とのインタビューの中で、同行からの金貨の購入量、及び回数についてはいかなる制限も存在しないとしている。アリー・アーデリー頭取はカールゴシャーイー銀行での金貨の大量特売について、「本行はこれまでも定期的に貨幣の特売会を行ってきた。しかし現在、この特売は毎日行われている」と述べた。

(後略)

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( 翻訳者:山下涼生 )
( 記事ID:13129 )