Meral Tamer コラム:貧困層と雇用(下)貧困の民族的側面
2008年03月16日付 Milliyet 紙

ボアズィチ大学社会政治フォーラムの共同議長であるアイシェ・ブーラ教授とチャーラル・ケイデル教授による、トルコの9つの都市の最も貧しい街区で生活する人々の雇用に関する最新の研究結果のまとめを昨日の私のコラムでご紹介し、貧困の民族的側面に関する詳細情報を今日書くと約束していた。1800世帯で行われた調査は、公正発展党(AKP)政権による貧困層への援助政策からロマ人とクルド人が受益されていないことを明らかにした。
トルコ科学技術研究機構(TÜBİTAK)の支援により行われた調査のフィールドワークから各部分をお伝えしよう。

■ロマ人へは援助なし

「エルズルム:我々はロマ人だからといって仕事をもらえない。障害のある我々の仲間ははっきりと言われたらしい、「君はロマ人だから簡単に仕事は見つからない」と。我々は地域として県庁からも市役所からもデニズフェネリ協会(※1)の援助も受けることができていない。犠牲祭や祭日もこれに含まれる。市役所は兵役に行く若者の家族に援助を与えているが、それだけだ。そもそも街区の入り口に建てられた交番(かなり厳重に警備された、軍事基地に似た警察の詰所)によってここをマークしているようだ。
サーリフリ:クルド人人口が多数を占める地区では教育援助や新生児への援助(条件付現金支給プログラムのことを指す)を受けている人はいない。2005年に申請して権利を得た人々がいたが、1度お金を得られたきりで、残りは送られてこなかった。我々はなぜ打ち切られたのか尋ね、郡庁へ行ったが、分からないと言われた。さらに去年は郡知事が地区にやって来た。我々は郡知事になぜお金が打ち切られたのかと尋ねた。郡知事は「分からない」と答えた。

■ズィレ以外は秩序立っていない

ズィレ以外の全ての都市では社会援助政策は無秩序で、恣意的な、透明でない基準に基づいて適用されており、1つの国民としての権利ではなく、単に寡婦(夫)-遺児-高齢者-障害者のカテゴリーを含む、伝統的に正しいと認められている貧困の理解によって行われている。援助が権利の持ち主自身でなく、通常同じ世帯でさえ生活していない近親者の状況を念頭において与えられていることは、深刻な問題を引き起こしている。
サムスンでは、子息が社会保険機構(SSK)の加入者であるために、自身の状況がこれに適するにも関わらず、障害援助を受けることのできない女性の訴えを目の当たりにした。人物でなく家族を基礎とする今日のやり方は、この種の問題を引き起こすことから免れないように見える。しかし実際は、社会権が権利の持ち主個人の権利であることを強調する方法が必要とされている」。

■イェシル・カルト(※2)と保険

他方で調査結果は、イェシル・カルトを所有していることが、保健サービスと様々な社会援助の両方にアクセスすることをとても容易にする役割を果たしていることを明らかにしている。しかしこの状況が、社会保険無しに働くことを推奨する要素となりうると指摘する見方もある。
社会保険に加入した労働者が、イェシル・カルトの権利を失わないために時に応じて雇用者と保険無しで働く交渉を行っていることが分かっている。
ブーラ教授とケイデル教授は、この点から出発して、(全国共通の)一般健康保険制度が、必要かどうかを確認することによってではなく、健康を1つの社会権とみなす本来の一般健康保険の認識を伴って実施されることの重要性を指摘している。


※1 貧困撲滅活動などを行っているトルコの市民社会組織。URLはこちら
※2 グリーンカードの意。収入が最低賃金の3分の1以下で保険に加入していない国民を対象に、医療サービスを無償で受けさせる目的で1992年に提供が開始されたもの。これまでに約1300万人の国民に配布された。参考:2007年9月14日付Zaman紙

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:13370 )