Kadri Gursel コラム:EU問題で矛盾し合う大統領と政府
2008年03月16日付 Milliyet 紙

トルコがEU加盟の道程において、毅然とした、精力的な態度を示すことは、国際プラットフォームにおける影響力の継続という観点からとても重要である。この事実を、3月13、14日にセネガルの首都ダカールで開かれた第11回イスラム会議機構(İKÖ)サミットで、トルコ共和国を代表した人々が思い起こしたことを私は確認した。
アブドゥッラー・ギュル大統領がサミットで行った演説の、メディアに配られた英文を私が翻訳して下に載せた文章そのものは、伝えたメッセージという点から見ればとても正しい。しかし現実の状況と比較したとき、(その正しさと)同じだけあれこれ考えさせられるものである。

■イスラーム世界の出来事

ギュルは、演説で2003年の第10回İKÖサミット以降の5年間でイスラーム世界という観点から生じた前進を評価する一方、最も長い分量をトルコがEU加盟交渉を開始したことに割いた。大統領は、このようにしてイスラーム世界における過去5年の最も重要な前進がトルコのEU加盟プロセスであることを印象付けた。
ギュルの演説でのEUに関する部分は次の通りだ:
「İKÖの1メンバーとして、トルコがEUとの完全加盟交渉を開始したことは、過去5年で生じた最も重要な前進の1つとなった。この前進はイスラーム世界とヨーロッパにおいて満足感と希望を生み出した。トルコはEUとの加盟交渉を継続する一方、イスラーム諸国との関係を、近い歴史で最も素晴らしい水準に引き上げた。このことは、世界の融合や平和、安定や平安を後押しする状況を生み出している」。

ギュルは、上のパラグラフの中で、トルコのEUプロセスとイスラーム世界との関係の間に一種のバランスが保たれているかのように語っている。しかし現実は大統領がİKÖのリーダーたちに説明したようなものではない;バランスは取れていないのだ。トルコのイスラーム世界との関係はAKPの外交政策における優先事項の1つであることは間違いない;そしてもちろんその関係は「素晴らしい水準に」引き上げられた。
EU問題についてはといえば、政府は加盟プロセスの前進に努力することを2005年以降放棄している。ヨーロッパにおいて反トルコを表明する抵抗をも口実にしながら、民主主義と構造改革に向けた取り組みを事実上棚上げにした。
言葉ではなく現状を見ると、トルコが、ヨーロッパとの関係を順調とみなす一方で、急速にイスラーム世界へと接近しつつあるのが分かる。このこともまたその比率において深刻化しつつあるアンバランスさを指し示している。にもかかわらず、大統領の演説で表明されたように、世界平和と世界の安定を後押しするのは、2つのプロセスともどもの前進である。健全でバランスの取れた形での...

■「自分の乗っている枝を切り落とす」政府

(さながら)劇的であるのは、AKP政権がトルコをイスラーム世界の中で到達させたいと望むポジションや力、プレステージという観点から、大統領がトルコのEU加盟の道のりにおける前進の持つ戦略的重要性を認識していることである。トルコのように東洋と西洋の間で他に類を見ないポジションを持つ国のEUにおけるプレゼンスが、イスラーム世界においてもそれだけ強力であることを意味することを我が国の大統領は知っているが、このバランスを壊しているのは最近まで(大統領が)属していた政府である。
トルコのEUプロセスがイスラーム世界にとってこれほど重要であるのだから、このプロセスを事実上お休みしているAKPの行動は自己矛盾した状態にはないか?

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:13379 )