Hursit Gunes コラム:AKPを下野させるのは法ではなく経済
2008年03月19日付 Milliyet 紙

先週末、最高裁判所主席検事による公正発展党(AKP)の解党請求により憲法裁判所で裁判が開かれることを受け、政治の主要な協議事項もこのこととなった。一部の勢力は提訴を大歓迎する一方、別の勢力はこれがどれほど誤っているかを論じている。喜んだ人々はこれがAKPから解放される機会であると考えている。誤りだと考える人々は、AKPが完全に萎縮してしまうのではないかと心配している。しかし誰も今回の動き(=訴訟)の結果、AKP以外の選択肢が社会基盤において力を獲得するだろうとは考えていない。しかし実際は、本当のことは誰にも分からない。AKPが閉鎖されたとして、その後どうなるのか?さらに悲惨なのは、裁判が起こされたのちにAKPが無罪となり解党されなかったらどうなるのか?

長きにわたる共和国史の政治において、すでに次の教訓を得る必要がある。どの政党に禁止令が出されても、根元に肥料がまかれた穀物のようにまたすぐに大きくなる。自由(共和)党(SCF)はこのようではなかったか?代わってずっとより強力な民主党(DP)が現れた。その後民主党が解党させられると、より強力な公正党(AP)が成立しなかったか?人民労働党(HEP)、民主党(DEP)、人民民主党(HADEP)とそれ以外にもいくつもの党が解党させられたがどうなったか?福祉党(RP)が解党させられたがそれに代わって(得票率)46パーセントのAKPがやって来なかったか?もう十分だ!

■心配は当然だが...

あらかじめ言っておこう、我々はAKPの反動が世俗主義と近代化の点で生み出した心配を当然のものと考えている。しかし政治がこの軸の上に築き上げられては、これを阻止することはできない。トルコでは、右派が昔から保守的な価値観から力を得て政治を行うことに対し、残念ながら左派は名士層や知識人が社会文化的支配権を持つ領域に閉じこもっている。しかし実際は先進的である一方で、社会正義を擁護し、同時に社会の伝統的価値観と調和しつつこれを継続させることはきっと可能であるはずだ。

政党の行く手は法によってではなく、反動の過りが国民に理解されることによって切り開かれるかもしれない。週末にエジェ・テメルクランが(本紙コラム上で)書いたように、社会保障制度改革に反発し、(デモのため)通りを満たした労働者たちは、最終的に政府を再び(交渉の)テーブルに座らせた。つまりAKPを批判し、後戻りをさせたのだ。テメルクランの文章の一部を引用しよう:「...つまりこの国においてAKPの政治を批判している人々は単なる『国民をいじめることに関心のある老練なケマリスト』ではないらしい」。

忘れるべきでないのは、トルコは過去5年間世界中の流動性の豊富さがもたらしたチャンスにより急速に成長し繁栄したことだ。しかし他方では多くの借金を抱えた。特に失業率を低下させることができなかった。さらにインフレ(率)低下政策に失敗した。しまいには並外れた歳入不足に直面した。目下混沌としたグローバルな経済情勢に対して、(財政の)基本的なバランスを失ったトルコは、より大きな困難から逃れられないか、自分の身を守ることができないように見える。

■非常にもろい経済構造

繰り返し言っておこう。トルコは2008年に550億ドルの信用か直接投資を見つけなければならない。どの国民も、900億ドルを超える外貨を売ってこの赤字を埋められると考えてはならない。従って、長年待たれていた為替レートの改善はその端緒であるように見える。上昇する為替レートは農民を満足させられるだろうか?外貨信用を買っている多くの人々はどのように感じるだろうか?インフレ率が為替相場と原油価格によって急速に上昇するとどうなるだろうか?(経済)成長が一層鈍ると、失業率はどの段階まで高まるのか?こうした問いに対する返答が待たれている。
こうした理由により、今後AKPが下野することは免れない。これらの状況を善用できる行動力のある野党がいればそれで十分だ。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:13400 )