イラク情勢、グリーンゾーンに対する攻撃
2008年04月02日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ アル=ダーリー:マーリキーはイラク国民を省みず、アメリカとイランのための政治を行っている
■ バグダード:止まぬ攻撃にグリーンゾーンから政府関係者多数避難

2008年04月02日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【バグダード:ハーニー・アーシュール(本紙)】

イラク国会にてフサイン・アル=ファッルージー議員は、現在北イラク、スライマーニーヤ在住のタラバーニー大統領が、バグダード並びに南イラクの治安問題解決のためグリーンゾーンに帰還した事を讃えた。また、議員らは、南部の事件の調査委員会を設置し、他の地域ではなくバグダードで集会を持つことを呼びかけた。

バグダード、グリーンゾーンからの信頼できる筋は、繰り返し攻撃にさらされ米イラク双方に死傷者が出た後、多くの高官が同地区を脱出したと述べた。同筋によれば、攻撃は正確であり、それを担うシーア派武装勢力がグリーンゾーンの地図詳細を把握している事を示している。

イラク国内で武力抗争が始まって以来六日経つが、過去数日間グリーンゾーンは、ロケット弾、迫撃砲による激しい攻撃にさらされ、警報が度々発せられた。長時間にわたる攻撃のため、米兵と米関係者らはシェルターに避難している。

情報筋によれば、迫撃砲数十発が連続して打ち込まれる事もあり、政府も米軍もそれを阻止できないため、アメリカ人とイラク高官らの間に懸念が広がった。多くが脱出し、米国人は巨大な米軍基地のあるバグダード空港へ、イラク高官らは他地域、もしくは比較的平穏な北イラクへと逃れた。

火曜(1日)午前、グリーンゾーンは集中的に攻撃され、迫撃砲4発が、政府機関並びに米英大使館所在地近くに落下した。情報によれば、攻撃直後に警報が鳴らされ、米軍がグリーンゾーンの全ゲートを閉じ通行を禁止した。攻撃による被害があったかどうかは知られていない。

バグダードの軍事行動司令部に属する将校によれば、イラク軍は、グリーンゾーン並びに首都内の数地区に向け攻撃を行っている拠点の割り出しと、その攻撃を行っている特定グループの識別に成功した。匿名希望の同イラク将校が情報筋に述べたところによれば、攻撃側のグループはイランで訓練を受けており、彼らの使用する武器はイラン製である。また、指揮官は「ハッジー・マフディ」と呼ばれている。同グループは複数の車両を使用し、異なる複数の地点から攻撃を行っている。一回の攻撃毎に移動し、住宅街、郊外、政府関連のオフィス等を攻撃するという方式である。

イラク軍は、恐らく本名ではないがハッジー・マフディと呼ばれる人物の写真を保有しており、彼のネットワークで動いている数名の情報を有している。彼らの逮捕に向け、軍は住民の協力を仰いでいく方針である。

バーベル警察治安筋によれば、同地区中南部の米領事館が迫撃砲による攻撃を受けたが、被害の程度は不明。同攻撃では米領事館のあるバーベル観光ホテルのフェンス内に全弾が落下し、攻撃後米軍機が上空を旋回した。同筋によれば、3月中に米領事館が攻撃を受けたのはこれで5回目であり、最も激しい攻撃ではロケット弾39発に狙われた。


他方、ウラマー協会会長、シェイク・ハーリス・アル=ダーリーは、マーリキー首相がイラク国民を省みず米国とイランのために政治を行っていると述べた。本紙との談話で同氏は、イラクの政治プランは、それに参加した人々の証言によれば失敗であったと強調、また、条件付で米国と対話する用意がある事を明らかにした。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:13493 )