イラク各地のスンニー派地区でテロ、「イラク・イスラム国」指揮官声明
2008年04月16日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 「イラク・イスラム国」指揮官「覚醒部隊」を攻撃、部族長らとの合意を宣言
■ イラク、1日で75名以上死亡

2008年04月16日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ドバイ、バグダード:本紙、諸通信社】

昨日火曜(15日)、イラク各地での攻撃により75名以上が死亡した。その多くが、スンニー派アラブ地域で混雑する通りに仕掛けられた車爆弾の犠牲となった。大多数がシーア派の南部での抗争の間、比較的平穏だったスンニー派アラブ地域は、この突発的な暴力事件により緊張が高まっている。

イラク警察によれば、今回の事件は過去数ヶ月間で最悪であり、内一つはバグダード北方ディヤーラ県首都バアクーバの官公庁建物前で発生、死者40名、負傷者80名を出した。爆発は道路上で起き、車で現場を通行中の人びとが犠牲となった。犠牲者の中には女性、子供らが含まれる。この一日でイラク全土では車爆弾、発砲、乱闘等により計75名の死者が出ており、先週出された、イラクにおける治安面での成果は乏しく今後も減退の可能性があるとの米高官らの見解を裏付けた。米軍は、バアクーバでの死者数を36とみなしており、爆発により小型バス3台が破壊され、商店10軒が損傷した点も言及した。米軍報道官声明は、これら事件の目的を住民の恐怖を煽る事としており、頑迷なイラク抵抗の極端な例であると述べた。

救急車が大量の負傷者の移送に走り回る中、ロイターカメラマンが小型トラックを用い死傷者を病院へ運ぶ警察の姿を捕らえた。病院の中庭には白衣に包まれた遺体が並び、廊下には衣服を血に染めた負傷者らが横たわる。政府関連の標的、市民の集まる付近で車爆弾を用いる手口により、バアクーバの爆発はアル=カーイダによる可能性が疑われている。

警察並びに病院筋によれば、昨日火曜、ルマーディで車両を用いたと見られる自爆攻撃により死者13名負傷者14名が出ている。爆発は、イラク西部、アンバール県首都ルマーディの大衆食堂前で発生した。警察によれば、バグダードではイラク警察の車列が車爆弾に狙われ、死者3名、負傷者8名が出た。また、米軍がアル=カーイダ拠点の一つとみなしている北部の都市モースルでは、米軍車列を狙った車両による自爆攻撃があり、現場をイラク警察が包囲する中、第二の車両が爆発した。これによる負傷者は17名。火曜の一連の攻撃は、スンニー派による抗争の新たな幕開けを示している。

他方、アル=カーイダに結びつく各派をまとめている「イラク・イスラム国」の指揮官は、スンニー派に対し、米軍の資金援助により作られた各地の「覚醒部隊」を離脱するよう呼びかけ、覚醒部隊に入隊した者を無罪放免とする旨部族長らと合意したと宣言した。火曜、イスラム・サイトのモニターを専門とするサイト・インテリジェンス・グループが報告するところによれば、指揮官アブー・ウマル・アル=バグダーディは、「堅牢な構築物」と題された30分にわたるボイスメッセージで、イラクのスンニー派の団結を呼びかけ、アメリカのエージェントで問題の根源たる警察、軍、覚醒部隊のみを殺戮してきたとして覚醒部隊を攻撃、また、軍、警察に属するスンニー派は3-5%を越える事がなく、大多数が彼ら(イラク・イスラム国)を支持する戦士である等述べた。

アル=バグダーディは、メッセージ中、スンニー派部族長らと以下を合意したと宣言した。

・部族長らと宗教指導者らが、スンニー派同士の争いを解決するため委員会を結成する。
・裏切り者シーア派による国家の軍や警察、覚醒部隊などから脱退し、全スンニー派が武力をもって十字軍占領者たちと彼らを支持する者たちに立ち向かうよう、部族メンバーらに呼びかける。
・「イラク・イスラム国」は、自発的に彼らとの戦闘を放棄したイラク国軍、警察、覚醒部隊メンバーを無罪放免とする。
・各部族は、その構成員の振る舞いに責任をもつ。
・「イラク・イスラム国」とその他のジハード組織は、禁忌を犯して流血沙汰を起こした者を速やかに上述委員会に引き渡す。

一方バグダーディは、これら合意は、少なくともそれが可能な地域内で宗教指導者と族長らが決起し実行しない限り、有名無実となろうとも述べている。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:13595 )