Can Dundarコラム:「アナ"ドルムシュ"・ジェット」
2008年04月28日付 Milliyet 紙

4月26日金曜日夜・・・。アンカラ空港・・・。ある子供たちのグループは、先生たちに引率されて20時00分発の飛行機でアダナに向かうことになっていた。子供たちの家族は広場でそれを見送っていた。
1時間半が経っても、子供たちから連絡はない。携帯電話の電源はオフ・・・。家族たちは心配のあまりざわつきだした。しばらくして電話があった。
「まだアンカラなんだ。飛行機にトラブルがあったみたいで。機内で1時間半も待たされたんだよね。」
家族たちは心配のあまり、再び空港に駆けつけた。
乗客たちは不満を爆発させたのだった。説明アナウンスのひとつもなかったので、機内では言い争いは起こるわ、抗議の声は上がるわ、緊迫した状況になったらしい・・・。
22時00分に乗客たちは新しく別の飛行機に乗り換えた。

***

その同じ夜・・・。
イズミルの局長たちは、アンカラでの大統領との面会から帰るところだった。
アンカラ発イズミル行の飛行機が満席だったので、イスタンブルを経由して戻ることになっていた。
しかし、それはかなわなかった・・・。
23時05分にイスタンブルを飛び立つはずの飛行機が飛び立てなかったのである。問い合わせてみたところ、5人分のオーバーブッキングが生じたことが分かった。「地上業務のミス」だという。客室乗務員たちは行ったり来たり・・・。問題は延々と長引いていく。前方のいくつかの席は空いたままだが、オーバーブッキングの乗客たちをそれらの席に座らせることはできないようだ。[客室乗務員は]「いましばらくお待ちください」と言うばかり。
乗客たちは1時間45分も待たされた。ぶつぶつ言い出した頃、機長が「レーダー・システムの点検作業と地上業務上のいくつかの問題のため」離陸できなかったことをアナウンスしたのだった。

***

さらに、その同じ夜・・・。
21時45分アンカラ発イズミル行の乗客たちは、「アナドル・ジェット」のカウンターの前にいた。経験の浅い地上係員が、鈴なりの乗客に向かって、今後は(アンカラ-イスタンブル路線と国際路線以外については)マイレージが獲得できないことを説明していた。
機内に足を踏み入れた乗客たちは、ドルムシュ[乗り合いミニバス]同然の光景を目の当たりにした。座席は窮屈なつくりで、人は折り重なるようだし・・・。座席の上の物入れに収まらなかった手荷物は通路に鎮座していた。
離陸すると、乗客には「水1パックとケーキ1個」の機内サービスが出された。客室乗務員たちは素っ気なかった。
着陸した乗客たちは、それらとは別の理由でクレームをつけに走った。
ある人は199新トルコリラ[約16250円]で航空券を購入したのに、別の人は59新トルコリラ[約4817円]で購入したのだ・・・と。
地上係員は「それ[クレーム]はもっともでございます」と言いながら、同時に「それ[差額返還など]はちょっと難しいのですが」とも述べて説明にあたった。
「お早くお問い合わせいただいたお客様はお安く、直前にご搭乗いただいたお客様はお高くお求めいただく・・・今後はそういうことでございまして・・・」

***

混乱が起こった原因は、トルコ航空が4月23日に導入した「よちよち歩き」ブランド「アナドル・ジェット」だ。
トルコ航空は民間のローコストキャリアに対抗するためアンカラを発着する国内線について運賃の値下げを実施した。
新しい運賃は目も疑わんばかり。29新トルコリラ[約2638円]・・・。
飛行機を高嶺の花から引き摺り下ろし、アナドル[アナトリア]の人々が廉価で飛行機に乗れる可能性が作り出されたのは、もちろんプラスだ。
けれども、物価が倍倍で跳ね上がっていくこのご時世に、運賃をこれほど引き下げるのは、「いくらライバルがいないとはいえ、私たちは騙されてるんじゃないだろうか」と考え込まされる話だ。
より悪いのは、トルコ航空が「シートピッチをもっと詰めて、機内サービスをもっと減らせば、そこから得た資金でより多くの乗客を運ぶことができる」という方針に立つことで、良質のサービスを放棄してしまうこと。[フラッグキャリアとそれ以外の航空会社を分かつ]細枝の上でではなく、細枝の下で競合することだ。
更に、「もう幾らか払って、もうちょっと快適に行くことにしようか」と言うことさえできない。アンカラからは「ドルムシュ・ジェット」以外のフライトはないのだから。

***

よろしくない可能性はまだある。
機内サービスの切り詰めや地上業務の導入後数日間に起こった不手際が、今後機体整備の面にも反映される可能性だ。
このような問題を抱えて歩みだした「未熟児」の初日の決算報告は次の通り。
トルコ航空、アナドル・ジェットにより乗客を増やすも、高度は下降中。
着陸態勢に入り、価格も下降中。
皆様シートベルトをお締めください。

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( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:13691 )