反「FITNA」シンポジウム開催「西洋人の目に東洋は異様な存在として映し出されている」
2008年04月28日付 Iran 紙

 東洋を野蛮な空間として見せることで、人々が慣れ親しんだ身近にある社会とは異質な社会として東洋の諸社会を描き、西洋人の視聴者の目に得体の知れないものであるかのように東洋人を映し出そうとする試みが行われている。

 ファーラービー映画財団のマジード・シャーホセイニー理事長は、作家・評論家協会、及び映画院により開催された反『FITNA』シンポジウムで、次のように語った。「ハリウッドで映画が制作された当初から、イスラームは東洋の国々で広まった宗教として攻撃の対象とされた。そして、このような見方は次第にその色合いを強めていった。映画『エル・シド』はその種の映画の代表であり、そこでは血に飢えたアラブ人イスラーム教徒の姿が映し出されている」。
〔訳注:『FITNA』はオランダの右派政治家による2008年制作の短編映画。今年3月27日にニュースサイトLiveleak上で英語およびオランダ語で公開・配信され物議を醸している。現在は配信停止中〕

 ファーラービー財団理事長は、『十戒』のような映画もまた反イスラーム的な映画のひとつであるとし、「映画『エクソシスト』もこうした傾向がもっとも顕著な作品のひとつだ」と述べた。

 同理事長は続けて「1990年代、イスラーム教徒に対するハリウッドの態度はさらに直接的なものになっていった。そこではイスラーム教徒はしばしばテロリストとして登場し、おそろしい怪物へと姿を変えた。このようなことから、イスラームに対する敵意が映画には根深く残っているということ、そしてこういった映画が次々と作られている以上、今回の問題は偶然生じたものではないということが分かるのである」と述べた。

 レザー・ミール=キャリーミー映画院理事長もまた、次のように述べた。「われわれは、自らの信仰に対するあらゆる攻撃に対応する前に、まず次のような問いに答えなければならない。すなわち、なぜイラン文明およびその価値観への攻撃に対して、芸術界および市民レベルでの敏感さが希薄になってしまったのか!?、という問いだ」。

 この映画監督(=キャリーミー理事長)は次のように続けた。「我々は文化・芸術の分野において自らの道具でもって、我々の価値観、アイデンティティー、文明に対して他者からくわえられた侮辱に応えなければならない」。

 同氏は、映画を利用したイスラームの神聖さとその文明に対する西洋の攻撃に対峙する際には、自信を失ってはならないとし、さらに「このような動きは、西洋人たちの弱さから生じたものである。現在彼らは、一方では自らの文化的生産物によって、我々の信仰に疑問を投げかけ、他方ではイランの文明や文化的財産を侵略の対象にしている」と指摘した。

 また別の報道によると、イスラーム諸国ショートフィルム制作者連盟のメンバーらが、反イスラーム映画『FITNA』の公開を非難する声明を出したとのことである。

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( 翻訳者:米沢佳奈 )
( 記事ID:13794 )