イラク情勢:モースルの民兵グループと政府側の戦闘
2008年05月17日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ マーリキー、民兵の武器引渡しに対し報酬と恩赦

2008年05月17日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【バグダード:ハーニー・アーシュール(本紙)】

マーリキー首相は、所定の期日から10日間、モースル県で、重火器並びに中間クラスの兵器を治安機関もしくは地元の族長に引き渡す者に対して報酬と恩赦が与えられる旨発表した。報酬の額、及びこの措置発効の期日は明らかにされていない。武器引渡しの手順に関しては追って公表される。

声明によれば、マーリキーの決定は、武装反政府活動という過ちを犯したが市民に対する犯罪はおかしておらず流血沙汰に関っていない者に、イラク再建に参加し国民の一人に戻るチャンスを与えるために行われた。木曜(15日)、マーリキー首相は、内相、防衛相同席の元、モースルの族長、宗教指導者らの派遣団、及び元イラク軍将校のグループと会見した。「合意」派閥の議員5名を含む派遣団は、会見中、2回にわたるモースルの軍事作戦による拘束者の中で改悛の意を示した者に関して恩赦が出ると知らされた。

モースル作戦司令部の治安筋によれば、米軍の支援を受けたイラク軍が(シリア)国境方面の砂漠側からモースルを包囲した結果、反政府側の活動地域が明らかになった事が、作戦の第一の収穫であった。彼らは、砂漠地帯の商人の姿を隠れ蓑として、イラク・シリア国境越しに外国籍の戦闘員、武器、資金等を密輸している。米軍に支援されたイラク軍は、複数世帯を家宅捜査し、アル=カーイダに属している、あるいは車仕掛け爆弾の製造準備に関った、外国籍戦闘員を国内に招き入れた等の疑いのある者を拘束した。

イラク国軍アル=ズィバーリー中将によれば、モースルの軍事作戦は、動員、諜報、兵站面で時間をかけ詳細な準備の元実施された。地元住民の顔役、長老ら多数を招き、彼らの提案や要請を検討したうえでの治安作戦である。踏み込み捜査のための情報収集と兵站整備が第一段階であり、第二段階の「獅子の咆哮」作戦は、武装テロ組織にとっての先制攻撃となった。現在は、第三段階となる「ウンム・ラビーイーン」作戦実行の準備が行われている。これは2つのパートに分けられる作戦であるが、その第一行程として、モースル全土に軍を再展開する。これに市民の協力を仰ぐキャンペーンが続く。マーリキー首相がそのための資金を決定し、外出禁止令が部分的に解除され次第行われる予定である。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:13856 )