Sami Kohen コラム:ショーなのか、別れの挨拶なのか・・・ブッシュの中東訪問
2008年05月16日付 Milliyet 紙

ある人はこれがブッシュ大統領にとって中東への「お別れ」の訪問だと言う・・・ ある人はパレスチナ問題を解決するための、ホワイトハウスを離れる前の「最後の努力」と言う... またある人は、ブッシュの今回の5日間の中東訪問が、地域のために何かをしたということを証拠付けるための「ショー」であると...
「訪問の理由」が何であれ、ジョージ・W・ブッシュ大統領が中東へこの5か月間で2度目の訪問をするとは興味深い事態である。これは共和党の大統領が、民主党の前任者とは逆に、アラブ-イスラエルの対立に対する無関心な態度を最後の最後になって変えたことを示している。
しかし少々遅過ぎはしなかっただろうか?もしこの訪問の目的が「お別れ」、あるいは「ショー」ではなく、真に両者を和解させることであるならば、相当遅くなってしまった...
ブッシュの今回の訪問は、地域の諸条件がもしかしたら最も適当でないかもしれない時に当たっている:アナポリス和平プロセスは暗礁に乗り上げている状態だ... パレスチナの2つの地域(ガザとヨルダン川西岸)は互いに断絶している... ハマスとイスラエルの間の緊張は頂点に達している... レバノンでは内戦が激化し、ヒズブッラーが力を増しており、政府は難しい運営を迫られている... イスラエルでもオルメルト首相による不正行為の疑いのため、政治的な見通しは不透明だ...

■楽観的過ぎる!

(中東での)このように混迷した ―そして暗い― 様相にもかかわらず、ブッシュ大統領が今回の訪問に出発する際、和平の形成に期待していると述べたこと、さらに今年の末までにパレスチナとイスラエルの間に合意が形成されるだろうと主張したことは、正直あまり真実味があるようには思えない。
確かにパレスチナ問題において交渉のプロセスが絶たれている訳ではない。オルメルトとアッバース(パレスチナ自治政府大統領)の間で対話は継続している。イスラエル筋によれば、「一歩一歩いくらか前進」しているという。
しかしパレスチナの高官によれば、会談は「耳の聞こえない者同士の対話」に相違ない...
もともとブッシュがこの訪問に際しても擁護し、イスラエルも認めている「独立パレスチナ国家」の建設について「原則的には」合意がある。しかしこの種の不一致全てがそうであるように、この問題に関しても「肝心なのは細部」である。土地、領域、避難民、イスラエル人入植者、そしてエルサレムの地位といった問題はもともと細部ではなく、問題の基本的な要素である。そしてこれらのいずれに関しても今までの会談では具体的な進展が見られなかった。ブッシュが語ったように、年末までに合意が形成されるであろうという兆候はない。
さらに、アッバース政権によって到達される合意がどれほど「パレスチナ問題の解決」を意味するかという点もまた問うに値する問題だ。パレスチナ第2の地域、ガザは、ハマスが支配している状態にあり、ここでの政府はイスラエルを承認しない、ならびに和平交渉に参加しないという方針を強固に主張している。この状況で(イスラエルと)アッバースとの合意がもたらされるなら、これは単にパレスチナのヨルダン川西岸部分を対象とするだけで、ハマスの支配下にあるガザはこの範ちゅうには含まれないことになる。しかし実際は今でも最も大きな紛争と緊張の生じている地域はここガザなのだ...

■よい知らせ...

「パレスチナ側」での外交努力に多くの ―そして迅速な― 結果を期待していない専門家たちは、今「シリア側」を優先することが有益であると考えている。この考えによれば、イスラエルがゴラン高原からの撤退を承認するとの通告ののち、トルコの仲介により、現実味のある交渉のプロセスに入る可能性が高い。
この方向で、いくつかの事態の展開が期待されている。トルコがホスト役を務めるであろうイスラエル-シリアの「間接会談」が近く始まることが計画されている。
この会談の実現は、もしかしたら昨今の中東の不和に関する最もよい知らせとなるかもしれない...

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:13867 )